「飲食店を始めたいけど、市街化調整区域では営業できない」
そんな話を聞いた方も少なくないかと思います。

しかし、一定の条件を満たすことで市街化調整区域でも飲食店を営業できる可能性もあることをご存じでしょうか。

今回は市街化調整区域の買取のプロが飲食店を営業出来る条件を徹底解説!
営業許可の基準や手続き費用など、皆さんの飲食店営業に役立つ知識が盛りだくさんです。

【この記事は、こんな方に向けて書きました】

著者情報

市街化調整区域で飲食店は営業できる?許可基準や費用など徹底解説!with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年の創業より市街化調整区域の買取業者として日本全国の調整区域の買取をしてまいりました

大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、5000万円位までの不動産であれば最短2日で買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。

  1. 市街化調整区域(区域区分)とは
  2. 市街化調整区域で飲食店を営業できるケース(都市計画法第34条・神奈川県の例)
  3. 地区計画による用途規制の緩和(都市計画法第12条の4)
  4. 市街化調整区域で飲食店の営業許可をとるには(神奈川県の例)
  5. 市街化調整区域に関するお悩みはURUHOMEへ

1.市街化調整区域(区域区分)とは

そもそも市街化調整区域とは何でしょうか。

読めば「市街化を調整する区域」くらいは分かるものの、市街化とは何を言うのか、調整とはどうするのか……これから解説していきましょう。

1-1.区域区分とは

区域区分とは、文字通り都市計画「区域」を「区分」すること。

市街化調整区域は、都市計画法第7条に定められた区域区分の一つです。

都市計画法
第7条 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる。ただし、次に掲げる都市計画区域については、区域区分を定めるものとする。
(以下略)

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

計画的なまちづくりのため、都市計画区域は市街化調整区域と市街化区域、そしてどっちでもない非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域内)に区分されます。

1-2.市街化調整区域とは

都市計画法第7条第3項の定義によれば、市街化調整区域とは以下のものです。

都市計画法 第7条
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

この条文において、市街化調整区域の「調整」は「抑制」と置き換えることができます。
つまり調整というのは、市街化のスピードを調整≒おさえるイメージですね。

市街化=都市開発を抑制すべきということは、つまり積極的に都市開発すべきではない区域と言えるでしょう。

街が発展するのはいいことのように思いますが、無計画に都市開発を進めてしまうと、インフラ整備のコストがかさんで財政を圧迫してしまいます。

例えば、山奥に一軒だけ建てた家のためだけに道路や電気・水道・ガスを完備してあげるのは、不経済かつ非合理的です。

行政としてはなるべく開発して欲しくない事情があるため、建物を建てたり事業を営んだりすることに多くの制約がかけられます。

だから開発すべき地域を選択し、リソースを集中するために適切な区域区分が必要なのです。

 市街化調整区域についてもっと詳しく知りたい方はこちら

1-3.市街化区域とは

そこで、市街化のリソースを集中するために選択された区域こそが市街化区域。都市計画法では第7条第2項に定義されています。

都市計画法 第7条
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

小難しい言葉をかみ砕くと

(1)もう市街地として発展している場所
(2)今後10年くらいで優先して計画的な市街化を進めたい場所

と言えます。

市街化調整区域に比べて開発ウェルカムな事情があることから、行政による比較的許可基準も比較的ゆるく、スムーズに店舗を建てたり営業できたりするでしょう。

1-4.非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域内)とは

市街化調整区域でも市街化区域でもない……区域区分が定められていない(線引きされていない)場所は、文字通り非線引き区域と呼ばれます。そのままですね。

非線引き区域とは正式名称ではなく、都市計画法の条文では「区域区分が定められていない都市計画区域内」とあります。
でも、実務的には自治体職員も不動産業者も「非線引き区域」と呼んでいるので、それで大丈夫でしょう。

市街化調整区域でも市街化区域でもないので、都市開発の許可基準は文字通りケースバイケースとなります。

実務的には市街化調整区域よりは比較的ゆるめで、市街化区域よりは比較的厳しめな肌感覚ですね。

都市計画地域

2.市街化調整区域で飲食店を営業できるケース(都市計画法第34条・神奈川県の例)

これまで解説してきたとおり、基本的には市街化調整区域で家を建てたり、店舗を開業したりすることはできません。

しかし、現実的には市街化調整区域にも人が住んだり、観光や産業などで利活用されていたりします。

そうした人たちに向けて必要なサービスを提供する観点から、飲食業の営業が許可されるケースもあるのです。

今回は神奈川県を例に詳しく解説していきましょう。

2-1.地域住民向けに飲食店を営業(都市計画法第34条第1号)

都市計画法第34条第1号に、こんな規定があります。

都市計画法 第34条
一 主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

これは「市街化調整区域に住んでいる人たちの生活に最低限必要なものを売ったり加工したり、修理したりその他の業務を行うための建物を建てる開発行為については、都道府県知事が開発許可を出す場合があります」という意味です。

市街化調整区域で開発許可が下りるケースでは、たいていこの都市計画法第34条第1号を根拠としています。

地域住民向けに飲食店を営業する許可

2-1-1.神奈川県の市街化調整区域で営業できる飲食店の種類

では、神奈川県の市街化調整区域で飲食店を営業したい場合はどうでしょうか。

神奈川県が出している「「都市計画法第34条第1号」の運用基準」では、以下の飲食店について基準を定めているようです。

大分類宿泊業・飲食サービス業
中分類飲食店
小分類(1)食堂・レストラン
(2)専門料理店(料亭を除く)
(3)そば・うどん店
(4)すし店
(5)喫茶店

※参考:都市計画法に基づく開発許可関係事務の手引について-神奈川県ホームページ

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

飲食店の代表格とも言えるラーメン屋は(1)の食堂なのか、中華料理を手広く扱うことで(2)の専門料理店になるのか、それとも同じ麺類ということで(3)そば・うどん店に分類されるのでしょうか。ちょっと疑問ですね。

ちなみに神奈川県では認めていても、自治体によっては市街化調整区域での飲食店営業を認めないケースもあるので注意が必要です(例えば横浜市に確認したところ、一切不可との回答でした)。

2-1-2.対象顧客戸数の確保が必要

さて、いくら住民のために営業する飲食店でも、供給過剰になってしまっては意味がありません。

なので神奈川県では、飲食店の営業許可に際して開業する店舗に対象顧客戸数の確保を義務つけています。

対象顧客戸数とは要するに「お客となりうる近隣住民の戸数」で、神奈川県の基準は以下のとおりです。

【飲食店の対象顧客戸数】

  1. 対象顧客戸数は開業しようとする店舗から半径500m以内の範囲で300戸を確保すること。
  2. 高速道路や鉄道、河川などで地形的に分断されて「どう考えても日常的には来店しないだろう」と思われる範囲の住戸は除外すること。
  3. 既存の店舗等が描く円とかぶる範囲については、一定の割合で住戸数を減らすこと。

この三つ目の規定は互いの描いた円のかぶった部分について、同業同種店舗等については範囲内の住戸数を1/2減らし、同品目店舗は1/4減らすというものです。

同業同種店舗等とは、例えばうどん屋とそば屋のように、小分類レベルで同じ店舗を指します。

また同品目店舗とは、例えばうどん屋に対して和食レストランでもうどんを提供しているような「同品目を取り扱っている」レベルの店舗です。

同業同種店舗等の円と同品目店舗の円同士がかぶった場合は、影響のより大きな同業同種店舗等の方が優先されます。

これらの条件を経た上で300戸を確保できなければ、いわゆる供給過剰として飲食店の営業が許可されないでしょう。

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

2-2.観光客向けに飲食店を営業(都市計画法第34条第2号)

市街化調整区域で飲食店を営業できる可能性はまだあります。都市計画法第34条第2号の条文を見ていきましょう。

都市計画法 第34条
二 市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

これは鉱物資源や観光資源などを地域活性化に役立てるための建物・施設であれば、開発許可が下りる可能性を示唆しています。

つまり今回のケースでは、観光客・参拝客を相手にする飲食店などが考えられるでしょう。

神奈川県内では(1)伊勢原市大山地区 (2)愛川町塩川滝周辺地区及び宮ヶ瀬ダム周辺地区 (3)大井町いこいの村あしがら地区の3地区が指定されているので、それぞれ解説してまいります。

なお、いずれの地区についても
(1)建築物が周辺の自然環境と調和すること、
(2)農地を使う場合は農地転用の許可を受けられること等の条件があるのでご留意ください。

観光客向け飲食店を営業する許可

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

2-2-1.伊勢原市大山地区

伊勢原市大山地区と言えば、江戸時代から大山詣りで有名。神奈川県内でも有数の観光スポットです。

※参考:日本遺産「大山詣り」伊勢原市

そんな伊勢原市大山地区における料理飲食店の営業については、次のとおり規定されています。

(1)一般食堂
(2)料理店
(3)すし屋
(4)レストラン
(5)バー

等。いずれも食品衛生法施行令第5条第1号で規定する飲食店営業に当てはまる店舗であることが条件です。

また、風俗営業等取締法第1条の許可が必要な店舗については、同条第2号と第5号に適合する必要があります。

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

※参考:食品衛生法施行令|e-Gov法令検索

※参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|e-Gov法令検索

ラーメン屋を営業したい場合は(1)の一般食堂が近いでしょうか。
ちなみに(2)の料理店とは食事がメインではなく、遊興を目的としたお店(主として異性をあてがう接客サービス)を指すので当てはまりません。

また、管理のために居住部分を設ける場合、居住部分の床面積は店舗部分の半分以下でなくてはならないことも注意しましょう。

2-2-2.愛川町塩川滝周辺地区及び宮ヶ瀬ダム周辺地区

豊かな自然に包まれた神奈川県愛川町。その中でも名所となっている塩川滝と宮ヶ瀬ダム周辺でも、飲食店を営業することが可能です。

※参考:塩川滝|愛川町ホームページ

※参考:宮ヶ瀬ダム|愛川町ホームページ

【塩川滝・宮ヶ瀬ダム共通】

(1)飲食店(食品衛生法施行令第35条第1号飲食店営業に該当する店舗)
※塩川滝周辺地区については、塩川添浄水場より北側区域(要するに上流域)を除きます。

この食品衛生法施行令第35条の第1号(飲食店)とは何なのか、確認しておきましょう。

食品衛生法施行令
第35条 法第五十四条の規定により都道府県が施設についての基準を定めるべき営業は、次のとおりとする。
一 飲食店営業
(以下略)

※参考:食品衛生法施行令|e-Gov法令検索

「飲食店」の本拠法規(第1号)を確認したら「飲食店営業」って、これは飲食店なら何でもいいのでしょうか。
少なくともラーメン屋なら普通に営業できそうですね。

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

2-2-3.大井町いこいの村あしがら地区

温泉や眺望風呂、各種のスポーツ施設を楽しめる大井町の公営宿泊施設・いこいの村あしがら。この周辺地区でも飲食店を営業できる可能性があります。

※参考:あしがら温泉 いこいの村あしがら‐大井町観光サイト‐神奈川県大井町ホームページ

(1)飲食店・食堂(食品衛生法施行令第1号に該当する店舗)
(2)喫茶店(食品衛生法施行令第1号に該当する店舗)

とりあえずラーメン屋は営業できそうですね。

ほか建築物の要件もあり、建築物の形態は周囲の景観と調和がとれたものとして大井町の同意が必要となります。

他にも敷地要件(1ヘクタール未満)や建築制限(土砂災害警戒区域内では再建築禁止など)があることも注意しましょう。

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

2-3.中長距離ドライバー向けに沿道で飲食店を営業(都市計画法第34条第9号)

都市計画法第34条を調べると、住民サービスや観光サービスのほか、中長距離ドライバー向けの休憩施設として飲食店を営業できるケースもあるようです。
その条文を確認しましょう。

都市計画法 第34条
九 前各号に規定する建築物又は第一種特定工作物のほか、市街化区域内において建築し、又は建設することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

ここだけ読むと何のこっちゃ?と思われるかも知れませんが、神奈川県ではこの条文を沿道施設の休憩所に当てはめています。

恐らく「市街化区域内において建築し、又は建設することが困難又は不適当なもの」という部分が、市街化調整区域を通っている中長距離道路のドライブイン休憩所に当てはまるのでしょう。

確かにこうした施設は市街化区域から離れていることも多いので、無理やり市街化区域に建てても意味がありませんからね。

ここで営業できる飲食店は、あくまで中長距離ドライバーの休憩目的に沿ったものとなります。

(1)食堂
(2)喫茶室

落ち着いて飲食を楽しむのではなく、あくまでも栄養補給と一時休憩が主目的ですから、ラーメン屋の営業はできそうですね。

喫茶室は喫茶店とは違うのでしょうか。どちらかと言えば喫茶店に比べて「一服つけたらすぐに出発しよう」という気ぜわしさが感じられます。

ちなみに第34条第9号の飲食店には住居部分を設けることはできません。またドライバーありきの施設なので、十分な広さの駐車場を設けることを忘れないようにしましょう。

中長距離ドライバー向けの休憩施設として飲食店を営業する許可

※参考:3 市街化調整区域における基準(都市計画法第 34 条)

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3.地区計画による用途規制の緩和(都市計画法第12条の4)

市街化調整区域で飲食店を営業する場合、ここまで解説してきた都市計画法第34条の各号(1号・2号・9号)を適用するほか、地区計画を利用する方法が考えられます。

地区計画とは都市計画法第12条の4に定められているもので、都道府県単位で定める都市計画に対して、市町村版の都市計画と言えるでしょう。

都市計画法
(地区計画等)
第十二条の四 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画を定めることができる。
一 地区計画
(以下略)

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

あくまで市街化調整区域の本質を損なわない範囲でですが、地区計画の策定によって飲食店の営業もある程度緩和される可能性があるのです。

地区計画は全国各地で策定されています。静岡県静岡市の事例が分かりやすかったので、今回はそちらを解説していきましょう。

3-1.静岡市の市街化調整区域における地区計画適用について(事例)

静岡県静岡市では市街化調整区域を大きく3つの適用エリアに分け、各エリアで計27の地区計画が策定されています。

(1)産業系土地利用誘導エリア
(2)観光資源活用エリア
(3)地域まちづくり推進エリア

※参考:地区計画について:静岡市

※参考:市街化調整区域における地区計画の活用について:静岡市

3-1-1.産業系土地利用誘導エリアで飲食店は営業できる?

産業系土地利用誘導エリアとは「静岡市地域基本計画」に基づく地域特性を活かした分野の産業を誘致するエリアです。

具体的には駿河湾の豊かな海水を活用した海洋・エネルギー分野で、海流を活かした諸発電や海水採取などになります。

誘致された企業で働く方が増えれば、そうした方に向けたサービスも必要となるので、飲食店も当然必要となるでしょう。ラーメン屋も営業できそうですね!

※参考:市街化調整区域における地区計画適用についての基本方針:静岡市

※参考:地域未来投資促進法(地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)に基づく「地域基本計画」について:静岡市

3-1-2.観光資源活用エリアで飲食店は営業できる?

観光資源活用エリアとは久能山東照宮や日本平、三保の松原など世界に誇る観光資源を活用、魅力を発信していくエリアです。

観光地自体の整備はもちろんのこと、観光客を受け入れるためのサービスを充実させる必要があるため、情緒や自然環境を損なわない範囲で飲食店なども必要になるでしょう。

地元の産物を活かしたご当地ラーメンを売り出したら、人気が出そうですね!

※参考:市街化調整区域における地区計画適用についての基本方針:静岡市

※参考:日本平 久能山 観光協会

3-1-3.地域まちづくり推進エリアで飲食店は営業できる?

地域まちづくり推進エリアは、既存集落のコミュニティを維持・向上させるためにサービスを集約・効率化することが図られています。

地元住民のニーズに応える形であれば、飲食店の営業も歓迎・許可されるでしょう。激戦区が近いなどの事情がくなければ、ラーメン屋も開けるはずです。

※参考:市街化調整区域における地区計画適用についての基本方針:静岡市

4.市街化調整区域で飲食店の営業許可をとるには(神奈川県の場合)

さて、ここまで市街化調整区域で飲食店やラーメン屋を営業できる可能性について紹介してきました。

続いては市街化調整区域にかかわらず、飲食店の営業許可をとるための手続きや費用を解説していきましょう。

※参考:食品関係の営業を始めるためには‐神奈川県ホームページ

4-1.飲食店の営業許可をとる手続きは?

神奈川県で飲食業の営業許可をとる手続きは、大きく以下の通りです。

(1)事前相談
(2)許可申請
(3)施設検査
(4)新規営業者講習会

4-1-1.事前相談

飲食店の建築(新築・増改築など)工事に着手する前に、施設の平面図を担当課に持参します。

平面図が施設基準に適合していることが確認できてから着工しましょう。

4-1-2.許可申請

工事が順調に進み、工事が完了する14~10日前に許可申請の手続きを行います。

4-1-3.施設検査

工事が完了したら、申請者が立会って施設検査を受けましょう。

施設に不備があった場合は、改善工事が完了した後に再検査を受けなければなりません。

4-1-4.新規営業者講習会

施設が完成し、営業許可が下りたら晴れて飲食店やラーメン屋などを開店できます。

新規営業者講習会に参加して、修了したら営業許可書が交付されるので大切に保管しましょう。

4-2.飲食店の営業許可申請に必要な書類は?

飲食店の営業許可申に必要な書類は以下の通りです。

(1)営業許可申請書
(2)施設の図面
(3)業務計画書
(4)食品衛生責任者の資格証明書
(5)法人番号または登記事項証明書
(6)水質検査成績書の写し
(7)製造方法の概要

4-2-1.営業許可申請書

申請書の用紙は保健福祉事務所に置いてあるので申請当日に書いてもいいのですが、あらかじめダウンロードして、用意しておくとスムーズでしょう。

※参考:申請書ダウンロード 営業許可申請書(食品衛生法施行細則)

4-2-2.施設の図面

これから建築しようとする施設の図面が、事前相談に必要です。

寸法やトイレ・流し・手洗いなどについて詳細に記載されたものを用意しましょう。

4-2-3.業務計画書

これは自動車を使って移動食品営業をいとなむ場合に必要となります。

車両データや仕込み場所の有無、取り扱い食品などを詳しく記入していきましょう。

4-2-4.食品衛生責任者の資格証明書

調理師免許証や養成講習会の修了証書など、食品衛生責任者の資格を証明する書類を提出します。

ちなみに食品衛生責任者は全国で共通する資格なので、営業許可を申請する都道府県以外で受けたものも有効です。

※参考:食品衛生責任者養成講習会(集合方式)のご案内|公益社団法人 神奈川県食品衛生協会

4-2-5.法人番号または登記事項証明書

これは法人として飲食店を営業する場合に必要となります。

営業許可申請書に13ケタの法人番号を記載するのですが、登記事項証明書(交付後6ヶ月以内のもの)でも代用可能です。

4-2-6.水質検査成績表

飲食店で井戸水などを使っている場合に必要な書類です。
採水後6ヶ月以内のものを提出しましょう。

4-2-7.製造方法の概要

これは自分の店で食品を製造する場合に、どのような方法で製造するのかを書面で説明するものです。

許可申請の種類で見ると、食品製造には菓子・アイスクリーム類・乳製品・清涼飲料水・食肉製品・みそ又はしょうゆ・酒類・豆腐・納豆・麺類・そうざい・複合型そうざい・漬物などがあります。

4-3.飲食店の営業許可をとる費用は?

さて、飲食店の営業許可をとるための手続きや必要書類をととのえたら、費用も気になるところです。

今回は飲食店を開くケースなので、関係する営業許可申請手数料を一覧にしました。

【飲食店のみ営業する場合】

飲食店営業新規16,000円継続12,000円

【食べ物を製造する場合】

菓子製造業新規14,000円継続10,500円
アイスクリーム類製造業新規14,000円継続10,500円
乳製品製造業新規21,000円継続15,750円
清涼飲料水製造業新規21,000円継続15,750円
みそ又はしょうゆ製造業新規16,000円継続12,000円
酒類製造業新規16,000円継続12,000円
豆腐製造業新規14,000円継続10,500円
納豆製造業新規14,000円継続10,500円
麺類製造業新規14,000円継続10,500円
そうざい製造業新規21,000円継続15,750円
複合型そうざい製造業新規21,000円継続15,750円
漬物製造業新規14,000円継続10,500円
※参考:食品関係の営業を始めるためには‐神奈川県ホームページ

4-3-1.飲食店で自家製食品を製造販売する場合、手数料はどうなる?

飲食店の営業許可について調べているうちところで、こんな疑問が湧きました。

例えばラーメン屋を営業するとして、自家製の麺とみそで味噌ラーメンを提供する場合は、飲食店営業許可と「みそ又はしょうゆ製造業」「麺類製造業」の許可をすべてとらねばならないのでしょうか。

さっそく神奈川県厚木保険福祉事務所食品衛生課に確認したところ、以下のような回答をいただきました。

(1)自家製の麺やみそを味噌ラーメンや味噌汁に使うなど、店内で飲食するメニューとして提供する場合
 ⇒ 飲食店営業の許可だけでOK!
 ⇒ 手数料は新規16,000円/
   継続12,000円のみ

店内での飲食提供する場合は飲食店営業の許可で可能

(2)自家製の麺やみそを、そのまま持ち帰りの麺や味噌として販売する場合
⇒ 別に「みそ又はしょうゆ製造業」
  「麺類製造業」の営業許可が必要!
⇒ 手数料は飲食店営業と合わせて
  新規46,000円/
  継続34,500円となります。

自家製の麺やみそを持ち帰りの麺や味噌として販売する場合は「みそ又はしょうゆ製造業」「麺類製造業」の営業許可も必要

また販売用も兼ねて麺や味噌をつくる場合は、設備などの条件も独自の≒飲食店単体より厳しい基準が採用されるとのことです。

なので自家製の麺やみその販売を検討する場合は、施設や設備の計画段階から入念に確認しておく必要があるでしょう。

5.市街化調整区域に関するお悩みはURUHOMEへ

以上、市街化調整区域でラーメン屋など飲食店を営業できる可能性について徹底解説してまいりました。
ご自身で飲食店を開業されたい場合は、ぜひご参考にしていただければと思います。

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確かに市街化調整区域でも飲食店を営業できる可能性はゼロではありません。
しかし開業までのハードルが高いのも事実です。

飲食店を開業できる裏ワザをアピール材料として売却のに交渉をするより、持て余している市街化調整区域の不動産を、そのまま買取りしてもらった方が手っ取り早いのではないでしょうか。

当社は2005年の創業より、神奈川・東京を中心に全国の市街化調整区域をはじめとするニッチな不動産の買取専門エキスパートとして、皆様のお悩みを解決してまいりました。

永年の不動産取引でつちかった法律知識と各種ノウハウが、今回も役立てられることでしょう。

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