「再建築不可物件の条件って何?」

再建築不可物件の買取りなど、ニッチな不動産取引でおなじみドリームプランニングでは、日々そんなお問い合わせが寄せられております。

そこで今回は、再建築不可物件の条件や理由を分かりやすく徹底解説!負動産の再生事例なども紹介するので、お悩み解決の参考になさってください。

【この記事は、こんな方におすすめです】

著者情報

再建築不可物件の条件は?その理由や事例を徹底解説!with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年より日本全国の再建築不可などの特殊な不動産を専門的に買い取ってまいりました。
どんな再建築不可でも買取りさせて頂きますので、お困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。

  1. 再建築不可物件の条件①接道義務を満たしていない(建築基準法第43条)
  2. 再建築不可物件の接道義務を満たす方法
  3. 再建築不可物件の条件②他の法律や条例等に抵触している土地
  4. 接している道路によって不動産の価値って変わるの?
  5. 再建築不可物件を再建築可能に!負動産再生の事例を紹介
  6. 再建築不可物件でお悩みならURUHOMEへご相談を

1.再建築不可物件の条件①接道義務を満たしていない(建築基準法第43条)

再建築不可物件の条件は大きく(1)接道義務を満たしていない(2)法律や条例に抵触している、この2つに分けられます。

ここではまず、再建築不可物件の主要因となる接道義務について解説していきましょう。

1-1.接道義務とは(建築基準法第43条)

接道義務とは文字通り敷地が道路に接する義務で、建築基準法第43条に規定されています。

建築基準法 第43条

(敷地等と道路との関係)

第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

(以下略)

道路に2m以上接していない土地に建物を建ててはいけません。
当然、建替え(再建築)もできないので再建築不可物件となります。

▲接道義務について分かりやすく徹底解説したページです。こちらもどうぞ!

1-2.建築基準法の道路に2m接していない敷地は再建築不可物件に

道路に接する敷地が2m未満である
道路と接している間口が2m未満の敷地は、再建築不可物件に

建築基準法第43条に定められた通り、道路に対して2m以上の接道がない敷地は再建築不可物件となります。

また道路に対して2m接していても、敷地の奥までずっと2m以上の幅がキープされていなくてはなりません。

イメージとしては道路から直径2mのボールを転がして、スムーズに敷地の奥までゴールできればOK。途中に構築物があったり幅が狭まったりしていたらダメ、再建築不可物件です。

1-3.建築基準法の道路でない道路に2m接していても再建築不可物件

建築基準法の道路に接しておらず、43条2項の許可も受けられない。
2m以上接していても、その道路が基準法道路(建築基準法の道路)でないと再建築不可物件に

道路に2m以上接していないと、接道義務を満たせず再建築不可物件となります。

では道路に接していれば何でもいいのかと言えば、実は必ずしもそうではありません。

接道義務の条件となる道路とは、建築基準法第42条1項1~5号に定義されたものを指します。

建築基準法 第43条 【クリックで全文表示】

(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
一 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路
二 都市計画法、土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法(第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
三 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
四 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
(以下略)

これ以外の道路については、どんなに広くて立派であっても建築基準法では道路と見なされません。
そういう道路は法外道路などと呼ばれます。

法外道路に2m以上接していても接道義務を満たしたことにはならないため、敷地と接している道路が建築基準法で言う基準法上の道路なのか、事前に確認しておきましょう。

1-4.そもそもまったく道路に接していない袋地は再建築不可物件

そもそも敷地が道路に接道していない。
当然、道路とまったく接していない袋地も再建築不可物件に

他人の土地に囲まれて、道路とまったく接していない敷地を袋地(ふくろじ)と言いますが、この袋地も接道義務を満たしていないため再建築不可物件となります。

ちなみに袋地を囲んでいる土地を囲繞地(いにょうち)と言いますが、このままでは道路に出られません。

民法第210~213条では道路に出るため囲繞地を通り抜ける権利(囲繞地通行権)が認められているものの、あくまで通り抜ける権利であって土地の所有権ではないため、接道義務は満たせないのです。

民法 第210条

(公道に至るための他の土地の通行権)

第二百十条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけがあって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

(以下略)

▲私道の通行料について分かりやすく解説。囲繞地の通行料にも応用できます。

2.再建築不可物件の接道義務を満たすには

再建築不可物件の接道義務を満たすためには、どうすればいいのでしょうか。

大きく分けて(1)建築基準法の道路に2m以上接するよう敷地を広げる(2)2m以上接している法外道路を建築基準法の道路にする、2つがあります。

2-1.隣地を買い取る&借りる等で接道義務を満たす

道路と接している幅を広げるためには、隣地を買い取ったり借りたりする必要があります。

(1)隣地を全部買い取る

(2)隣地を一部買い取る

(3)隣地を有償で借りる(賃借する)

(4)隣地を無償で借りる(使用貸借)

(5)隣地の一部と敷地の一部を等価交換する

隣地を全部買い取ってしまえば、一番手っ取り早いですね。
資金に余裕があるならトラブルのリスクも低いおすすめの方法と言えるでしょう。

一部買い取りならお金は節約できます。しかし相手に土地の分筆登記や、場合によっては塀などを取り壊す手間を強いることになるため、若干ハードルが上がります。

2-1-1.隣地を借りて接道義務を満たしても融資が受けられない

接道義務は隣地を買わず借りることでも満たせますが、その維持は相手次第な部分もあるため不安定な状態が気がかりです。

また、他人の土地を借りて接道義務を満たす場合、不動産の担保価値が低くなるというデメリットがあります。

例えば、貸した人が亡くなって代替わりした場合、相続人が貸したことを認めない事も考えられます。

つまり、貸した人が貸した土地の権利を自分の土地と主張されると、借りた側は接道義務を満たしていると主張できなくなってしまうのです。

金融機関も担保として不安定な土地に対して融資は難しいという考え方になり、買い手も現金で購入できる方に限られてしまいます。

そうすると、売買価格も安くなってしまうというのが、隣地を借りて接道義務を満たすデメリットと言えます。

▲再建築不可物件の購入にローンを使いたいけど……そんな方は必見!

2-1-2.等価交換で接道義務を満たすのは難しい

そして条件によってはお互いの土地を部分的に等価交換することで接道義務を満たす手も考えられるでしょう。ただし等価の判断が難しいため、交渉が難航することも考えられます。

また、等価交換をする場合、基本的にはお願いをする立場であり、相手方からするとしてもしなくてもどちらでもよい、むしろ面倒なのでそのままが良いと考える方がほとんどです。

そのため、等価交換は簡単ではありません。普段から良い関係を築くなどして相手への根回しなど慎重に行いましょう。

2-2.接している道路を建築基準法の道路にする

2m以上接している道路を建築基準法の道路にすれば、接道義務を満たせます。

(1)但し書き道路を申請する(建築基準法第43条2項2号)

(2)みなし道路(2項道路)の終端の判定を申請する(建築基準法第42条2項)

一定の基準を満たして特定行政庁が建築審査会の同意を得た「但し書き道路」、あるいはみなし道路の終端の判定(延長)によって、敷地に接している道路を建築基準法の道路にできれば、接道義務を満たせるようになります。

2-2-1.但し書き道路(43条2項2号の許可)の申請をする

但し書き道路(43条2項2号の許可)の申請をするためには、道路を所有する地権者全員の合意が必要になるなど、スムーズには行かないケースがほとんどです。

合意といっても、印鑑証明書付きの誓約書を道路所有者から取得する必要があるのですが、基本的にはどの自治体でも「道路を道路として利用して、工作物などの築造を一切行いません」という内容の誓約書の取得が但し書き申請の必須要件となります。

道路の所有者からしても、何の得になるか分からない但し書き道路申請の為に、印鑑証明書付きの誓約書を提出してもらうというのは難しいというのは容易に想像がつくかと思います。

2-2-2.みなし道路(建築基準法第42条2項)の終端の判定を申請する

こちらは、現在接道している道路が建築基準法の道路ではないけれども、直ぐ近くまで2項道路が来ている場合、その終端がどこかを判定してもらう事により建築できるようになることがあります。

その為には、近隣の家が建築された時にどのように建築確認申請が出されているかなどを証拠として役所に提出する必要があります。

また、道路に接する土地の所有者から、2項道路がどこまでかを認めてもらう必要があります。

というのも、2項道路は現在幅員が4mに満たず、建物を建て替える際は中心から2mセットバックしなければならないため、前面道路が2項道路と認めるとセットバックが生じてしまうからです。

2項の終端判定においては、但し書き申請より近隣との交渉が難しくなることもあり、法律的な知識を駆使するプロでも骨が折れます。

但し書き道路も、2項道路にすることも、交渉が上手く行けばよいのですが、上手く行かない事の方が多いので、費用対効果を考えると無理に接道義務を満たそうとするより、売却した方が早いでしょう。

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3.再建築不可物件の条件②他の法律や条例等に抵触している土地

接道義務を満たしていない以外でも、法律や条令等に抵触することで再建築不可物件となってしまうケースがあります。

3-1.市街化調整区域(都市計画法第7条3項)

市街化調整区域とは都市計画法第7条3項に規定された区域区分の一つで、原則として建物を建てることができません。

都市計画法 第7条3項

3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

現在市街化調整区域に建っている建物の中には、属人性をもつものがあります。属人性とは「その人に限って許可する」というもので、その人以外の人が建物を建てたり使ったりできないのです。

だから再建築不可物件になってしまうのですが、属人性を解除することで再建築可能になるケースもあります。ただし簡単ではありません。

区域区分には市街化調整区域のほか、積極的に市街化(開発)したい市街化区域や、どっちにも線引き(区分)されていない非線引き区域があります。

▲市街化調整区域について、分かりやすく徹底解説!こちらもどうぞ。

3-2.敷地面積最低限度(建築基準法第53条の2)

建物の敷地は最低限の面積が定められており、その基準を下回る敷地面積では原則として建物の再建築ができません。

建築基準法 第53条の2【クリックで全文表示】

(建築物の敷地面積)

第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
一 前条第六項第一号に掲げる建築物
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの
三 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
四 特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
2 前項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度を定める場合においては、その最低限度は、二百平方メートルを超えてはならない。
3 第一項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められ、又は変更された際、現に建築物の敷地として使用されている土地で同項の規定に適合しないもの又は現に存する所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば同項の規定に適合しないこととなる土地について、その全部を一の敷地として使用する場合においては、同項の規定は、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当する土地については、この限りでない。
一 第一項の都市計画における建築物の敷地面積の最低限度が変更された際、建築物の敷地面積の最低限度に関する従前の制限に違反していた建築物の敷地又は所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば当該制限に違反することとなつた土地
二 第一項の規定に適合するに至つた建築物の敷地又は所有権その他の権利に基づいて建築物の敷地として使用するならば同項の規定に適合するに至つた土地
4 第四十四条第二項の規定は、第一項第三号又は第四号の規定による許可をする場合に準用する。

この場合は再建築不可物件の隣地を買ったり借りたりすることで敷地面積を確保して、その上で建築確認をとれれば再建築が可能となるケースもあります。

3-2-1.敷地面積最低限度未満でも再建築が可能な例外(横浜市の例)

なお、敷地面積最低限度未満であっても、条件によっては再建築を認めている自治体もあるので確認しましょう。

例えばドリームプランニングの本社がある神奈川県横浜市では、以下の条件にあてはまれば再建築を認めているそうです。

(A)平成8年5月9日以前から、建築物の敷地として利用していた。

(B)平成8年5月9日以前から、土地の権利を有していた。

最低限敷地面積に満たない敷地での建築について 横浜市

(A)は察しがつくものの(B)の「土地の権利」とはどういう意味なのか、横浜市建築局情報相談課の方に確認してみました。

(A)敷地が狭くても、昔からその土地を分割せずに住んでいた家については、今後も再建築を認めます。

(B)以下の条件を満たした者については、その敷地の再建築を認めます。
B-1.その敷地で建築確認をとって以降、敷地を分割して(他人に与えて)いないこと。
B-2.以下B-甲・B-乙どちらかの条件を満たしていること。

B-甲.平成8年5月10日以降に建築基準法第53条の2第3項の適用を受けて建築された建物がある。
B-乙.以下の条件をすべて満たしている。
・対象地と隣接するすべての土地について公図が揃っている。
・対象地の登記簿謄本によって、平成8年5月9日以前から現在までの土地所有者が確認できる。
・隣接地についても、すべて登記簿謄本で平成8年5月9日以前から現在までの土地所有者が確認できる。
・平成8年5月9日の時点で、対象地の面積が敷地面積最低限度未満である。
・対象地とすべての隣接地の土地所有者が異なっている。
・今後建物を建てる際は、対象地を分割せずに使用する。

……ややこしいですが、要するに「平成8年5月10日以降に土地を分割していないこと」を証明し、かつ「今後も土地を分割しないこと」を約束せよと言っているのですね。

「対象地とすべての隣接地の土地所有者が異なっている」というのは「隣接する敷地を持っているなら、合わせて少しでも敷地を広く使いなさい」と言いたいのでしょう。

3-3.土砂災害特別警戒区域(土砂災害防止法第9条)

土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)では土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を設定しています。

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律

(土砂災害特別警戒区域)

第九条 都道府県知事は、基本指針に基づき、警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為の制限及び居室(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第四号に規定する居室をいう。以下同じ。)を有する建築物の構造の規制をすべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものを、土砂災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。

(以下略)

土砂災害が発生した場合、警戒区域(イエローゾーン)の中でも特に被害が大きな地域についてはレッドゾーンに指定。
開発行為や建築物の構造に制限がかかっているため、条件を満たさなければ再建築不可となっているのです。

逆に言えば、鉄筋コンクリート造にするなど条件を満たせば再建築が可能となるケースもあるので、具体的には自治体で確認しましょう。

3-4.【番外編】宅造法にかかる2項道路(宅地造成等規制法)

これは厳密に言うと再建築不可物件ではないのですが、宅造法(宅地造成及び特定盛土等規制法)にかかる2項道路も再建築が厳しいです。

2項道路とは建築基準法第42条2項に規定される「みなし道路」のこと。再建築時にセットバック(道路幅を広げるために敷地を後退)が必要となるのですが、条件によっては難しいでしょう。

例えば間知石(けんちいし)を使った古く大きな擁壁を後退させるのに宅地造成が必要となった場合、そのままやり替えるのはコスト的にあまり現実的ではありません。

例えば、セットバックが必要な土地で、高さ5m程度の間知石積の擁壁の上に、宅地がある場合など間知石の擁壁をやり替えるだけでも数千万円かかってしまう事があります。

このような土地で、擁壁をやり直しても500万円程度でしか売却できない場合、他の土地を買った方が良いという事になり、実質的に再建築不可物件と言えます。

3-5.【番外編】がけ条例

土砂災害防止法や急傾斜地崩壊危険防止法では、高さ5m超の崖(水平面から30°超の斜面を持つ土地)について、開発行為や建築行為に一定の制限をかけています。

それより低い崖であっても、自治体によっては独自に「がけ条例(名称は自治体によって異なる)」を設けている場合があるため確認が必要です。

例えばドリームプランニングの本社がある横浜市では「横浜市建築基準条例」の一環として崖に関する条項を定めており(第3条)、高さ3m超の崖について規制をかけています。

例えば崖の下端から一定の距離(崖の高さ×2)以内で建物を建てる場合は擁壁や防護壁を設けなければなりません。

再建築不可物件ではありませんが、例えば高さ20m位の崖の真下に家がある場合、全て鉄筋コンクリート造で建物を建てなければならず、構造的に強い制限がかかると言う意味で再建築不可に近いと言えます。

▲崖条例(建築基準法第19条4項)の制限について詳しく紹介。合わせてどうぞ!

4.接している道路によって不動産の価値って変わるの?

不動産の価値は、接している道路(前面道路)の種類によって変わります。

所有する不動産が、建築基準法道路種別でどの道路に接しているかは、自治体によってはホームページで確認する事も出来ます。

道路の種類には大きく以下の種類があり、価値の高い順に並べてみましょう。

基準法道路(建築基準法第42条1項1~5号)……100%
みなし道路(建築基準法第42条2項)……60~80%
但し書き道路(建築基準法第43条2項)……50~60%
法外道路(建築基準法の定める道路ではない)……30~50%
※基準法道路の不動産価値を100%とした場合の目安です。具体的には他の条件などによって変わります。
※ちなみに私道は共有持分や承諾書の有無によって評価が変わるため、いずれも公有道路(建築基準法の道路か、公共機関の所有する道路)と仮定します。

4-1.基準法道路(建築基準法第42条1項1~5号)

法律で定められている建築基準法の道路、建築基準法第42条1項1号から5号までの道路を指します。不動産取引の上では申し分ない条件となります。

1項1号から5号までの道路を解説すると大体以下の様なニュアンスになります。

 建築基準法の条文(種別)内容
(1)法42条第1項第1号道路法による道路 (国道・都道・区道などの公道)
(2)法42条第1項第2号都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などでできた道路 (開発道路)
(3)法42条第1項第3号建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に既に存在していた道 (既存道路)
(4)法42条第1項第4号都市計画法などの法律により2年以内に事業が行われる予定のものとして特定行政庁が指定したもの (計画道路)
(5)法42条第1項第5号土地を建築敷地として利用するために新たにつくる道で、特定行政庁から指定を受けたもの (位置指定道路

建築基準法の道路に2m以上の接道があれば、そもそも再建築不可物件とはならないため、資産価値に影響はありません。

4-2.みなし道路(建築基準法第42条2項)

前面道路の幅員が4mに満たないものの、とりあえず4m以上の幅員がある道路と同じに「みなし」た道路のこと。根拠法規は建築基準法第42条2項です。

建築基準法 第42条2項

2 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。

再建築に際しては道路の幅員を4mに近づけるよう、セットバックが必要になります。

セットバックは基本的には道路の両側がそれぞれ後退するため、道路の中心から2mまで敷地を後退させなければなりません。自分の敷地であっても、道路として提供しなければならないのです。

しかし片方が物理的にセットバックできないなどの場合は、反対側の道路端から4mの幅まで後退するなど例外もあります。

また、道路の中心をどこに持ってくるかで後退幅が異なるため、争いになるケースも少なくありません。

中にはセットバックした部分を自由に通行させるのが癪にさわるのか、私有地であるのをいいことにポールを建てたり置き石を設置したりといった意地悪なケースも散見されます。

そうしたことから、みなし道路に接道している不動産価値は、法定道路に比べて若干下がってしまうでしょう。

4-3.但し書き道路(建築基準法第43条2項)

建築基準法第43条2項に規定された但し書き道路は、あくまで「道路として使用する道路状の空き地」という扱いです。

建築基準法第43条

1 略

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

(以下略)

但し書き道路(2項2号の許可)として認定されていても、新たに再建築する場合は所有者全員の誓約書が必要になるケースもあり、場合によっては接道義務を満たせず再建築不可物件となってしまう事もあります。

誓約書が必要になるかどうかは、近隣で直近に建築されているかどうか、自治体の判断などによっても異なります。

そのため、基準法道路はもちろんのこと、2項道路に比べても再建築できるかどうかは不透明であり、大きく資産価値が下がってしまうのは言うまでもありません。

4-4.法外道路(建築基準法の定める道路ではない)

法外道路については再建築するためには但し書き道路としての許可を受けたり、そのために道路所有者全員の誓約書が必要になったりなど、再建築を可能にするためのハードルはかなり高いです。

その手間とコストを織り込むと、不動産の価値を大きく落とさざるを得ないでしょう。

5.再建築不可物件を再建築可能に!負動産再生の事例を紹介

さて、ここまで再建築不可物件の条件などについて解説してきました。

再建築不可物件の取り扱いが非常に難しいことはご理解いただけたかと思います。

しかし、再建築不可物件であっても再建築を可能に出来ない訳ではありません。

ここでは当社ドリームプランニングで再建築不可物件を再建築可能にした負動産再生の事例を紹介していきましょう。

▲再建築不可物件を再建築可能にするには?分かりやすく解説しています。

5-1.横浜市鶴見区の再建築不可物件を再生した事例

▲横浜市鶴見区の事例を詳しく解説しています。こちらもどうぞ!

【物件概要】
場所:横浜市鶴見区朝日町
図面:測量図なし/公図上では完全に接道なし(袋地)
現地:約2mの未舗装通路(専用通路)で公道に通じている

調査の結果、本物件の建築計画概要書はなし。ただし隣接地の建築計画概要書では専用通路部分が本物件の敷地であるように扱われていました。

台帳記載証明を確認すると建築確認が以前にとれていることが判明。建築基準法上では適法に建てられていたことが分かります。

これを踏まえてドリームプランニングでは再建築を可能にできる活路を見出し、お客様から本物件を買い取り。以下の段取りを経て再建築を可能としました。

(1)隣地所有者と調停により所有権界について合意する

(2)公図の誤りを証明し、公図を訂正してもらう

(3)接道義務を満たしていることを証明する

(4)建築基準法第43条2項2号による再建築の許可をとる

その上で建物を解体し、土地として再販。市場よりも割安だったので3番手まで申し込みが入り、現金購入のお客様に販売できたのです。

5-2.横浜市保土ヶ谷区の再建築不可物件を再生した事例

▲横浜市保土ヶ谷区の事例を詳しく解説しています。こちらもどうぞ!

【物件概要】
場所:横浜市保土ヶ谷区神戸町
接道:法外道路(7人で共有)のため再建築不可
条件:土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

調査の結果、法外道路の共有者全員から建築基準法43条2項2号の誓約書(将来的に道路として維持管理する旨)をとることで再建築可能になることが分かりました。

合わせて、持分がない道路について通行承諾をもらう必要があります。

難しい案件でしたが、ドリームプランニングで買取りさせていただき、再建築を可能にするため乗り出しました。

(1)私道の維持管理に関する誓約書……約2ヶ月に及ぶ交渉

(2)持分がない道路について通行承諾……承諾得られず、黙認してもらう

(3)古家の解体・井戸の埋め戻し……同時にセットバックも行う

(4)建物を再建築……レッドゾーン部分を外して建てる計画

こうして前面道路が43条2項2号の許可をとれたため、再建築が可能となりました。

立地的には駅から徒歩10分と好条件のため多数の問い合せがあり、新築建物の完成から間もなく、新たなお客様にご購入いただけた次第です。

6.再建築不可物件でお悩みならURUHOMEへご相談を

以上、再建築不可物件の条件や再建築を可能にした事例などを紹介してきました。

再建築不可物件でお悩みの際は、手間暇かけてご自身で再建築を可能にするより、売却した方が時間もお金も節約できます。

当サイトURUHOMEを運営しているドリームプランニングでは、2005年の創業以来多数の再建築不可物件を取り扱ってまいりました。

永年の不動産取引でつちかったノウハウを、今回もお客様の悩み解決に役立てられることでしょう。

再建築不可物件の買取り査定はもちろん完全無料。早いケースでは、ご連絡いただいてから査定まで2時間、2日で売却できたこともございます。

持て余している再建築不可物件のスピード売却&現金化をご希望でしたら、ぜひ一度ドリームプランニングまでご相談くださいませ。

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