「連棟式建物を所有しているけど、どんなところに注意してリフォームすればよい?」
連棟式建物をリフォームして活用するには気になる事です。
そこで今回、連棟式建物をリフォームする際の注意点について解説致します。
これから購入される方、購入されてリフォームする方は参考にして頂けましたら幸いです。
著者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、日本全国の連棟式建物や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に取り扱うため、多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、無料査定を行い、5000万円位までの物件であれば最短2日でお買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.連棟式建物をリフォームする際の注意点
1-1.耐震補強工事をする際は、出来れば建物全体の補強をするのがベストです。
連棟式建物をリフォームする場合、厳密にいうと一戸のみ耐震補強工事をしても効果が低く、建物全体の補強工事をするのがベストな方法です。
耐震補強をする際に良く行われる工事は以下の通りです。
- 壁の補強(筋交いを入れたり構造用合板、金物によるの補強)
- 基礎の補強(ひび割れたRC基礎の補強)
- 劣化の改善(シロアリなどの構造部の被害の改善)
- 屋根の軽量化
上から順にご説明してまいります。
〇壁の補強について
筋交いは柱と柱の間に斜めに設置した木材の事で、筋交いを増やすことにより、より強い壁になります。
また、構造用合板(厚さ7.5㎜以上)による補強で、横揺れに強い壁になります。
それ以外には、柱や梁の接合部には「筋交い接合金物(筋交いを繋ぐ金物)」、柱と土台の接合部には「ホールダウン金物(地震の時に柱が土台から抜けるのを防ぐ)」、梁同士の接合部には「火打ち金物(小屋組みや梁を斜めに連結して変形を抑える)」など金物で構造体を補強する方法もあります。
費用は筋交い、構造用合板共、一か所につき5~20万円程度の補強費用が必要になります。
〇基礎の補強について
”布基礎(基礎部分の土が露出しているもの)”の場合は、コンクリートの打ち増しなどを行い”べた基礎(基礎部分の土がコンクリートでおおわれているもの)”にする事で強度の補強にもつながります。
また、ブロック基礎など、鉄筋コンクリートではない基礎もあるので、既存の基礎の内側か外側に鉄筋コンクリートを補強する事もあります。
その他にも、基礎にひび割れがある場合は、エポキシ樹脂を注入して補修する事もあります。
(この場合、基礎は元の強度以上になることはありません)
鉄筋コンクリートの補強は2~10万円(/m)、エポキシ樹脂の注入は1~5万円(/1箇所)
がおおよその相場です。
〇劣化の改善
構造部である柱や梁の劣化で最も多いのがシロアリ被害による劣化です。
白アリに柱などが食われることにより、柱がスカスカになり構造として劣化します。
腐朽した柱については補強する方法もありますが、新しい柱に取り替えるのが一番安全です。
〇屋根の軽量化
瓦などの重い屋根の場合、スレートなどの軽い屋根材に葺き替えることで、地震などによる負担を減らすことができます。
ただ、瓦には遮音性、耐熱性、耐久性など、他の屋根材よりも優れたところもあります。
葺き替える材料については、軽さ以外に耐久性などについても検討することをお勧めいたします。
基本的に、屋根を軽くするよりは、壁の補強をする方が耐震補強のコストは安く済みます。
ただ、屋根が傷んでいる場合などは、屋根の軽量化をするとよいです。
1-2.基本的にリフォームローンが使いにくい
連棟式建物は購入する時だけでなく、リフォームする時もローンが使いにくいというデメリットがあります。
住宅ローンと一緒にリフォームローンを借りる場合は住宅ローンとして借りる事が出来ますが、リフォームローン単体の場合、不動産の担保価値としても低いため、基本的にフリーローンなどを使うのが一般的です。
〇住宅ローン、リフォームローンの相談を誰にするか
リフォームローン単体の場合、担保評価の関係で審査出来る金融機関が限られており、「不動産SNSウチカツ」で相談すると、連棟式建物でお勧めのリフォームローンの金融機関を教えてくれます。
住宅ローンとして借りる場合も同じく「不動産SNSウチカツ」で相談可能ですので、連棟式建物の融資でお悩みでしたら相談してみてください。
1-3.構造上主要な部分や雨漏りの補修などが難しい
連棟式建物は建物が連なって建築されているため、傾きがあったりしても建物全体を直さねばなりません。
また、雨漏りなどが発生した場合で、発生箇所が他人の専有部分で所有している専有部分まで進行していた場合、元となる箇所を直さないと何時までたっても雨漏りは治りません。
私も取得した連棟式建物の隣の家が雨漏りしており、私の所有している建物内も若干湿っぽくなっていたため、私の負担で雨漏りの補修をしたことがあります。
構造体が共有となってしまっているため、問題の発生源が自分のところでなくとも補修しなければならない可能性があります。
自然災害で大きな問題が発生した場合などにおいても、だれが幾ら費用負担をするかなどの問題もあります。