「再建築不可物件を建て替え可能にしたい」
「再建築不可物件を高値で売却したい」

再建築不可物件はじめニッチな不動産でおなじみのドリームプランニングでは、日々そんなご相談を多数いただいております。

そこで今回、再建築不可物件を再建築可能にするための方法を、不動産のプロが徹底解説!
皆さんが再建築不可物件に関するお悩みを解決する手助けとなることでしょう。

【この記事は、こんなお悩みを持っている方に向けて書きました!】

著者情報

再建築不可物件の建て替え方法は?不動産のプロが徹底解説!with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年より日本全国の再建築不可などの特殊な不動産を専門的に買い取ってまいりました。
どんな再建築不可でも買取りさせて頂きますので、お困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。

  1. 【結論】再建築不可物件も建替え可能にできる
  2. 再建築不可物件を建て替える具体例
  3. 再建築不可物件とは何か
  4. 再建築不可物件を放置するリスク
  5. 再建築不可物件を高値で売却するには?
  6. 再建築不可物件の買取り業者を選ぶ方法
  7. 再建築不可物件でお悩みなら、URUHOMEへご相談を

1.【結論】再建築不可物件も建替え可能にできる

結論から先に申し上げますと、再建築不可物件でも建て替え可能にできます。
厳密には、建て替え可能にできる可能性がある、と言っておきましょう。

具体的な方法についてはこれから解説していくので、お時間と意欲のある方はおつき合い下さい。

一方「そんな時間がないor時間をかけたくない!すぐにでも再建築不可物件を売却したい!」という方は、ドリームプランニングへ買取りをご用命いただければ喜んで承ります。

2.再建築不可物件を建て替える具体例

それでは早速はじめましょう。

再建築不可物件を建て替え可能にする方法は、再建築不可物件の種類によって変わってきます。
それぞれ解説していきましょう。

2-1.建築基準法の道路に十分接していない旗竿地のケース

建物はその建っている敷地が建築基準法の道路に十分(2m以上)接していなければなりません。これを接道義務と言います。

建築基準法 第43条
(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
(以下略)

建物の敷地が2m以上接していない土地には建物が建てられず、建築基準法が定められる以前から建っていた建物については、建て替えができないのです。

※行政当局から「今すぐ取り壊せ」と言われないだけ、まだ温情と言えますが……。

入口が狭くて奥が広がっている。こういう土地を上から見ると旗のような形をしているため、旗竿地(はたざおち)と呼ばれます。

※敷地の入口から奥までまっすぐ狭いケースもあるのでしょうが、そんな土地にまとも合法的な建物は建ちません。余談まで。

さて、こんな旗竿地の建て替えを可能にするには、大きく二つの方法が考えられます。

▲接道義務について徹底解説しているページはこちら。分かりやすいと評判です!

2-1-1.隣地を購入or借りて2mの接道を確保する

【難易度 ★★★★☆☆】

敷地の入口が狭いなら、入口を広げればいいのです。

と言っても土地が伸び縮みできるする訳はありませんから、具体的には敷地入口に接する隣地を購入or借りる方法が考えられます。

土地の接道義務は購入しても借りても満たせるので、再建築不可物件の建て替えが可能となるのです。

ただ、必ずしも自分の希望通り&必要なだけの隣地が手に入るとは限りません。隣地を分割したくないからすべて購入してくれとか、そもそも譲りたくないケースも考えられます。

交渉の成否は隣地所有者との関係が大きくものを言うため、十分な配慮が必要となるでしょう。

また、より難易度は上がりますが自分の敷地と隣地を等価交換することでも接道が確保できますね。

ちなみに隣地を購入した場合は問題ないのですが、隣地を借りている場合は権利が不安定な状態です。なので、金融機関からの住宅ローンが受けにくいことをお含みおき下さい。

▲再建築不可物件でローンを組めるのか?裏ワザを解説しています。

2-1-2.43条2項2号(専用通路型)の許可を受ける

【難易度 ★★★☆☆☆】

自治体によっては、2mの接道義務を満たせていなくても、包括同意基準を満たして43条2項2号(専用通路型)を得て建て替え可能になるケースがあります。

包括同意基準というのは、自治体によって接道義務を満たさない土地でも建て替えを認める(規制を緩和する)条件をまとめたものです。

例えばドリームプランニングがある神奈川県横浜市では、物件の立地条件しだいで間口が1.5mでも建て替えが認められることもあります。

43条2項2号許可(専用通路型)とは、建築基準法第43条2項2号に基づく特別な許可のこと。条文がこちらです。

建築基準法 第43条2項
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

要するに「この基準に合致すると自治体が判断した敷地については、接道義務を満たしていない再建築不可物件であっても建て替えを認める」ということです。

ちなみに、同じ神奈川県でも川崎市については間口が1.8m以上ないと包括同意基準の適用は受けられません。

東京都23区でも新宿区が間口1.5m以上で建て替えOKだったり、世田谷区では間口が1.8m以上ないと建て替えNGだったりと自治体によって基準が異なるので、事前に確認しましょう。

また自治体によっては包括同意基準よりもさらに厳しい個別審査基準を設けているケースが見られます。

この個別審査基準による建て替えは、金融機関の融資がかなり厳しくなるため注意しましょう。

2-2.建築基準法の道路にまったく接していない袋地のケース

接道義務が不十分な旗竿地が再建築不可物件であるならば、建築基準法の道路にまったく接していない土地はどうでしょうか。もちろん建て替え不可に決まってますよね。

こういう基準法道路にまったく接していない土地を袋地(ふくろち・ふくろじ)と言います。まさに袋のネズミ状態です。

ちなみに、袋地を取り囲んでいる土地は囲繞地(いにょうち)と呼ばれます。現在法律用語としては使われていませんが、現代でも「囲にょう地」などと書かれることケースもあるため覚えておくといいでしょう。

他人の土地を通らないと基準法道路に出ることができない袋地は、囲繞地を通りぬける囲繞地通行権が民法第210条で認められています。

民法
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

が、これはあくまで通行する権利であって、敷地の接道義務を満たしている訳ではありません。

袋地の接道義務を満たして建て替えを可能にする方法は、やはり土地を確保することです。

▲ 袋地を再建築可能にした事例についてはこちらになります!

2-2-1.隣地を購入して、2mの接道を確保する

【難易度 ★★★★★☆】

袋地を建て替え可能にする方法で最もシンプルなのは、隣地を購入して2m以上の接道を確保することです。

ただこれは「言うは易く行うは難し」の典型で、土地の一部を購入する時は、その土地をすべて確定測量してから分筆しなければなりません。

その手間(大抵3ヶ月~)と費用(事前調査から登記まで数十万円単位)は決してバカにならないものがあります。

また隣地所有者の立場で考えると自分の土地を切り売りすることに抵抗感を覚える方もいるでしょう。

旗竿地のケースでもそうですが、シンプルでいながら難易度の高い方法と言えます。

2-2-2.隣地を借りて、2mの接道を確保する

【難易度 ★★★★☆☆】

隣地の購入が難しい場合は、隣地の一部を借りて2mの接道を確保することも検討しましょう。この借りる時は有償(賃借)でも無償(使用貸借)でも構いません。

先ほども解説したとおり、自分の土地として所有していなくても、借りた土地も含めて2mの間口さえ確保できていれば接道義務が満たせるのです。

しかし土地を貸した側にすると、貸した部分の土地については建築確認をとるための敷地として算入できません。

敷地が十分に広ければいいのですが、狭い場合は土地の一部を貸してしまったために希望の大きさで建物を建てられないなど、トラブルが起こる可能性があります。

また、隣地所有者が自分の土地を売ってしまって、新たな買主ともめるケースも少なくありません。

そうした事態をふせぐために、隣地を借りて建築確認をとる場合は必ず貸借契約を締結し、第三者(土地を売った場合の新たな買主)にも受け継がせる継承させる旨を特約に入れておきましょう。

余談ながら、昔は「勝手に他人の土地を自分の土地に算入し、建築確認を申請する」という方法が頻繁に行われていました。

現在は民間機関によって建築確認を審査しているのですが、建築確認の申請時に貸借契約書の提出を求められない(からしっかり管理されていない)ケースも当たり前のようにあります。

たとえ今は大丈夫だったとしても、後で大きなトラブルに発展してしまうリスクを考えると、必ず貸借契約を締結しておくのがおすすめです。

2-3.接している道路が建築基準法の道路でないケース

土地は2m以上を接道があるけれど、その道路は何でもいい訳ではありません。

道路とは建築基準法第42条で定める道路を指し、それ以外の道路にどれだけ接していようと、基本的には再建築不可物件となってしまいます。

建築基準法 第42条
(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
一 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路
二 都市計画法、土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法(第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
三 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至った際現に存在する道
四 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの

……さて、接している道路が建築基準法の道路でなかった場合はどうすればいいのでしょうか。建て替え可能にする方法を見ていきましょう。

2-3-1.隣地を購入or借りて、建築基準法の2m接道を確保する

【難易度 ★★★★★★】

これは前面道路が建築基準法の道路でなかった場合、建築基準法の道路に通じている隣地を購入するパターンです。理論上はこれで再建築不可物件の建て替えが可能となります。

しかしそこを通らなければ建築基準法の道路に出られない袋地の場合と異なり、隣地所有者にしてみれば「そっちの道路を使ってくれ」と言いたくなってしまうでしょう。

普段から通行・利用している土地ではないため、隣地の購入はよりハードルが上がってしまうのです。

2-3-2.43条2項2号(路線型)の許可を受ける

【難易度 ★★★☆☆☆】

前面道路が建築基準法の道路でない場合、市町村で43条2項2号の許可(旧・但し書き道路)を受けると再建築不可物件でも建て替えが可能となります。

43条2項2号の許可とは、接道義務を満たしていない敷地でも建て替えを許可する建築基準法上の特例です。

先ほどふれた専用型ではなく、こちらは路線型と呼ばれる許可になります。

この場合は道路所有者から「私道の維持管理の誓約書」を取得することで、43条2項2号の許可により建て替えができるのです。

「私道の維持管理の誓約書」では、43条2項2号の許可を受ける道路について「この場所を道路として扱い、工作物などを設置しない」ことを誓約します。

▲ 43条2項2号の救済措置を利用して再建築する方法についてはこちらです!

2-4.43条但し書き道路で建替え承諾(誓約書)がもらえないケース

【難易度 ★★★☆☆☆】

「但し書き道路」をごく簡単に言うと、建築基準法上の道路ではなく「道路状の空き地」です。正式名称は「43条2項2号の認定・許可を要する道路状の空地」といいます。

昔の水路などを道路として利用しているものの、あくまで道路ではありません。

本来は建築基準法の道路に接していないと再建築できないのですが、色々な条件が整えば、この但し書き道路に接していても再建築可能となるのです。

先ほど紹介した方法で以前に建物を建てた敷地などがこれに該当します。ただし建て替えをする際には、再度43条2項2号の許可(但し書き道路に接道していることで特例で再建築する許可)を得なくてはなりません。

その際、場合によっては私道の所有者より「私道の維持管理の誓約書」を取得する必要があります。

なぜか誓約書が必要かというと、但し書き道路(現・43条2項2号道路)の私道所有者が道路内に建物や工作物を築造すると「私道が道路としての機能を果たさなくなってしまう」からです。

なお、直近で他の方が誓約書を取得している場合については、改めて誓約書をとる必要がないケースもあります。

▲ 43条但し書き道路について詳しくはこちらをご参考になさってください!

2-5.市街化調整区域にあるケース

市街化調整区域は都市計画法で建築物の建築を制限しているため、原則として建て替えができません。

しかし手段がまったくない訳ではなく、主に以下2パターンで建て替えができるようになる可能性があります。

2-5-1.(旧)既存宅地の適用を受けて建て替えをする

【難易度 ★☆☆☆☆】

市街化調整区域の指定前に宅地として使われていた土地(旧既存宅地)については、既存宅地制度が廃止される2001年5月18日までであれば、市街化調整区域内でも建て替えに都道府県知事の許可は不要でした。

それから経過期間を経て、現在では旧既存宅地の要件に該当すれば、環境保全上の支障がある場合を除いて建て替えが許可できることとされているのが一般的です。

こうした経緯から、多くの自治体では旧既存宅地内の土地であれば、建て替え可能となっているのです。

2-5-2.特例的に認められる開発・建築の許可を受ける

【難易度 ★★★☆☆☆】

先ほども解説したとおり、市街化調整区域では原則的に建築行為が禁止されています。

しかし、特例として建築が認められる建物があるため、こうした建物であれば建て替えもできる可能性が高いでしょう。

この特例的に認められる建築物は(1)都市計画法で認めたもの(2)自治体が独自に認めるものの2つに大分されます。

一例として、以下のような建物の建築・建て替えが可能であることが多いです。

【都市計画法によって特例で認められた建築物】

  • 農業・林業・漁業を営む方が居住するための住宅
  • 農産物の直売所
  • 第二種特定工作物(運動場、レジャー施設、墓地)……など

【自治体の開発審査会によって特例的に認められた建築物】
※神奈川県横浜市の例

  • 特別養護老人ホーム
  • 社会福祉施設、学校
  • 障碍者グループホーム
  • 幹線道路沿道の特定流通業務施設……など
▲ 市街化調整区域での再建築不可物件についてはこちらで詳しく解説しております。

3.再建築不可物件とは何か

さて、ここまで再建築不可物件で建て替えを可能とする方法や建て替えできるパターンなどについて詳しく解説してまいりました。

結論から先に紹介したのはいいですが、中には「そもそも再建築不可物件とは何なのだ」と思われている方もいらっしゃることでしょう。

そこでここからは予備知識編として、再建築不可物件について解説して参ります。

3-1.再建築不可物件のメリット・デメリット

再建築不可物件とは、文字通り再建築(建て替え)ができない物件のこと。名前からしてデメリットが明示されているものの、メリットがないわけでもありません。

ここでは再建築不可物件のメリット&デメリットを解説していきましょう。

▲再建築不可物件について、分かりやすく徹底解説しています!

3-1-1.再建築不可物件のメリット

再建築不可物件のメリットを挙げてみると、ざっとこんな感じです。

(1)資産価値が低いので、相場よりも安く購入できる
(2)固定資産税・都市計画税・贈与税・相続税などが安い
(3)初期投資&維持コストが抑えられるので、不動産投資の利回りを出しやすい

そのままでは建物の建て替えができない再建築不可物件。建て替え可能にする手間暇コストを考えたら、資産価値が低くなるのは仕方ないところでしょう。

これは買主にしてみれば安く買えるということであり、また税金が安いためランニングコストも抑えられます。

これから紹介するデメリットを制御できるのであれば、利回りを上げやすいので不動産投資向きの物件と言えるでしょう。ただし上級者向けですね。

3-1-2.再建築不可物件のデメリット

再建築不可物件のメリットがあれば、当然デメリットもあります。

(1)建て替えができない
(2)住宅ローンの融資審査が通りにくい
(3)物理的に使いにくい(道路の狭さなど)

先ほどもふれたとおり、再建築不可物件にとって最大のデメリットは建て替えができないこと。

古くなっても建て替えられないのはもちろん、大地震などで建物が倒壊してしまっても、問答無用で建て替えはできないのです。

そうなると「土地はあるけど住む家がない」状態となってしまい、他に住む場所を借りるとなれば家計を圧迫してしまうでしょう。

また購入しようにも資産価値≒担保価値が低いため金融機関が住宅ローンの融資を渋ることが予想されます。

住宅ローンを組むためには、他に担保を追加するか金利の高いノンバンクを利用するなど返済が苦しくなるかも知れません。

何より再建築不可物件は接道はじめ敷地の狭いケースが多いため、使い勝手が悪いことは想像に難くないでしょう。

正直なところ、出来ることなら再建築不可物件に自分からは手を出さない方が無難です。

3-2.再建築不可物件の活用方法(建て替え以外)

さて。なるべく手を出したくないとは言っても、相続などで再建築不可物件を手に入れてしまうようなケースもあるでしょう。

当社ドリームプランニングでも、そのようなお客様からのご相談が多く寄せられています。

では、建て替えできず持て余している再建築不可物件をどうするか?

先ほど解説した方法で建て替えができればいいのですが、建て替えできなかった場合について考えてみましょう。

3-2-1.リフォームは慎重に

建て替えができないなら、建物をリフォームして活用すればいい……そう考える方がいるかも知れません。

確かに一定基準(建築基準法第6条2項)を満たしていれば、再建築不可物件でもリフォームは可能です。

建築基準法 第6条
2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

(1)防火地域or準防火地域の外で
(2)工事部分の床面積が合計10㎡以下の増築・改築・移転工事

リフォームでキレイにできれば、わざわざ建て替えなんてしなくていい……しかしちょっと待って下さい。

確かにリフォームでパッと見キレイにはなるでしょう。しかし、建物の強度は十分でしょうか?

せっかくキレイになっても、躯体が老朽化していたら地震などに耐えられないかも知れません。

自分で住むならともかく、他人様に貸したり売ったりした家が強度不足で倒壊でもしたら……想像するだけでゾッとします。

外見だけでなく、内部まで十分強度を保っているかを確認してからリフォームを検討しましょう。

▲再建築不可物件でリフォームを行う場合の注意点などをまとめました!合わせてどうぞ。

3-2-2.解体=更地で活用するアイディア

建て替えがダメ、リフォームも難しいとなれば、いっそ建物を解体して更地で活用する方法も選択肢に入ってきます。

周囲に状況に合わせて資材置き場や駐輪場、貸し農園やレンタルスペースなど、アイディア次第で活用できることでしょう。

  • 資材置き場……周囲に業者がある場合など
  • 駐輪場……駅や大規模施設などが近くにある場合など(間口2m以下の再建築不可は難あり)
  • 貸し農園……土壌汚染の心配がない地域など(主に調整区域)
  • 太陽光発電……SDGsブームで人気だが、悪徳業者や環境破壊が深刻化(主に調整区域)
  • 風力発電……風の強さなど地理条件が限られる。また台風被害などが心配(主に調整区域)
  • キャンプ場……近年のアウトドアブームで人気だが、別途許可等が煩雑(主に調整区域)
  • レンタルスペース……倉庫などを置くのはハードルが上がるので注意

接道が2mないことから、自動車の出し入れが頻繁な駐車場は難しいと思われます。

できれば毎年かかる固定資産税や都市計画税くらいはペイできると嬉しいですね。

お気軽にご相談ください
再建築不可物件の査定はお任せください
最短2時間で査定可能!高値買取いたします
再建築不可物件の電話相談
再建築不可物件を簡単メール査定

4.再建築不可物件を放置するリスク

建て替えはできないし、リフォームも活用も難しい……そんな再建築不可物件を持て余している方は少なくないでしょう。

ヘタに建物を解体してしまうと、固定資産税等が6倍になってしまうからそのままにしておくしかない……もしそうお考えでしたら、注意が必要です。

ここでは再建築不可物件を放置しておいた場合に想定されるリスクを解説していきましょう。

4-1.犯罪(不法侵入・放火など)リスク

再建築不可物件に誰も住んでいない空き家状態だと、不法侵入のリスクが考えられます。

一度もぐり込みに成功すれば、とりあえず雨風は避けられるし、人目につかないと分かれば次第に行動も大胆になっていくでしょう。

悪質な場合だと違法行為(薬物乱用、違法物品売買、賭博や売春など)の拠点にされかねません。

まかり間違って殺人事件でも発生した日には、再建築不可物件どころか事故物件(心理的瑕疵物件)というレッテルまで貼りついてしまいます。

それでも屋内だけで収まってくれれば、まだマシな方かも知れません。もし建物に放火され、周囲に延焼などしてしまったら大惨事です。

失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)という法律により、放火されるなど火事を出して延焼してしまった場合、基本的には賠償責任を問われません。

失火ノ責任ニ関スル法律
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

【意訳】火事を出してしまった場合について、民法第709条の規定(不法行為による損害賠償責任)は適用しない。ただし重大な過失がある場合を除く。

だからと言って堂々としていられるかと言われればそうもいかないものです。

また再建築不可物件を放置しておいたことが「失火者ニ重大ナル過失アリタル」とされるかどうかの判断も難しいでしょう。

いずれにしても、再建築不可物件の処分は文字通り火急の課題と言えます。

4-2.管理不全(倒壊・破損など)リスク

再建築不可物件が風雨によって劣化していくと、地震や台風など災害が起こらなくても倒壊・破損してしまうリスクが高まります。

ブロック塀の崩れた破片が歩行者に当たってケガをさせてしまったり、走っていた自動車に当たって傷をつけてしまったり……いくらでも考えられそうです。

また電線がショートして火災が発生したり、台風で屋根瓦が飛び散って隣家のガラスに直撃したり……などなど考え出したら、夜も眠れません。

こうした場合、民法第717条に規定されている「土地工作物責任」を追及され、多額の損害賠償は免れないでしょう。

民法
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
(以下略)

【意訳】建物や設置したものの手入れが不十分なため、他人に損害を与えてしまった場合、その建物などを使っている人(借りている人)が賠償責任を負います。ただし、使っている人がちゃんと管理していた場合は建物などのオーナーが責任を負わねばなりません。

建物は人が住んで風や手を入れないと、一気に劣化していくものです。加えて害獣や害虫などが棲みつけば、建物の劣化はさらに加速していくでしょう。

建て替えやリフォームとは行かずとも、せめて最低限の掃除などメンテナンスを欠かさず行い、これ以上の経済的負担を少しでも抑えたいところです。

4-3.近隣住民とのトラブル発生リスク

再建築不可物件を放置しておくと、近隣住民とのトラブルが発生するリスクが考えられます。

よくあるのが「ゴミを不法投棄されている」「野良猫が棲みついている」「今にも崩れそうで怖い」「怪しい人が出入りしている」「草木が生い茂ってヤブ蚊が大量発生している」「異臭がただよい始めて不快」……などなど。

近くに住んでいなければ、見て見ぬふりもしたくはなるでしょう。しかし、いつかは現実を突きつけられることになります。

何より、いつまでもご近所さんたちが大人しく我慢してくれるとは限りません。クレームだけならまだ感謝すべきで、何なら嫌がらせやそれ以上の仕返しを図る方がいても不思議ではないでしょう。

もちろん嫌がらせをする方が悪いのですが、ならばその火種を作ったのは誰なんだと言われて、泥仕合に発展する様子が目に浮かびます。

今は少なからず面倒であっても、避けられるトラブルは避ける努力をしておいた方が賢明です。

4-4.行政代執行による解体リスク

増え続ける空き家問題を解決しようと、2015年5月に空き家対策特別措置法が2015年5月に施行されました。

それに伴い、周囲に対して著しく悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」に指定。その後、自治体が勧告をおこなうと固定資産税の減免措置解除がとられることになります。

つまり「どんなにボロい空き家でも、土地の上に建物がありさえすれば固定資産税が1/6に減免される」優遇がなくなり、固定資産税が6倍にはね上がるのです。

さらに2023年6月に空き家対策特別措置法が改正されました。これによって「管理不全空家(特定空家の前段階)」に対しても自治体の指導や勧告が可能となり、こちらも固定資産税が6倍になる(減免措置解除の)可能性が浮上しています。

「特定空家」に指定されると行政代執行による解体が可能となり、その解体費用は所有者に請求されるのです。

解体費用は市場価格を大きく上回る(懲罰的な意味合いも含まれているものと考えられる)ため、それなら自分から進んで解体した方が得策でしょう。

今後、再建築不可物件をいつまでも放置することは許されない機運が高まっていく見込みです。

▲ゴミ屋敷も社会問題となっています。放置しておくリスクなどを詳しく解説!

5.再建築不可物件を高値で売却するには?

建て替えできないなど、持て余している再建築不可物件を売却しようと考えている方は多いと思います。

そして売却するなら、少しでも高値で売却したいですよね。

ここでは再建築不可物件をより高値で売却するためのテクニックを解説していきましょう。

▲再建築不可物件を高値で売却する裏ワザをまとめているページです。合わせてどうぞ!

5-1.再建築不可物件の売却相場は通常物件の50~70%

結論から言うと、再建築不可物件の売却相場は再建築不可でない同じような条件の物件に比べて、50~70%の価格で取引されることが多いです。

それだけ再建築不可物件というハンディキャップは大きいですが、物件の売却相場は他の要素も複雑にからみ合っています。

立地条件や建物の状態など、メリットを最大限にアピールして再建築不可物件を少しでも高く売却しましょう。

5-2.一般の方に売却する方法

難易度★★★★★
売却価格★★★★☆
実現性★☆☆☆☆
※筆者の実務的な肌感覚で星付けしています。ご参考まで。

再建築不可物件を売却する際、最も高価格帯で購入してくれるのが一般の方(エンドユーザー)となります。

端的に言えば、自分で住むことが前提なので、安かろう悪かろうでは選ばないからです。

ただし自分で住むとなれば汚い状態では購入しませんし、かと言っていきなり費用をかけてリフォームしてあげても「イメージに合わない」と言われた日には目も当てられません。

多くの方にとって、マイホームの購入は一生に一度の大きな買い物。ですから、石橋叩いても渡らないくらいの慎重さで検討される方がほとんどです。

つまり、売り手としては売却まで非常に長い期間がかかります。それで購入してくれればまだいいですが、熟慮検討した結果として「やっぱり見送ります」となるケースも少なくありません。

また再建築不可物件を引き渡した後に雨漏りや白アリ被害、給排水設備など見えない部分の支障が出た場合は、契約不適合責任≒修繕等義務を負わねばならないこともあります。

特約で契約不適合責任をつけないこともできますが、購入する立場にしてみれば「そんな物件、何か欠陥があるんじゃないの?」と警戒されてしまうことが多いでしょう。

5-3.不動産投資家に売却する方法

難易度★★★★☆
売却価格★★★☆☆
実現性★★☆☆☆
※筆者の実務的な肌感覚で星付けしています。ご参考まで。

2020年ごろの不動産投資ブームにより、投資初心者の方が再建築不可物件を積極的に購入されていることがありました。

しかし一過性のブームが過ぎ去ると賃借人は入らず、さりとて売却もできないまま再建築不可物件を持て余している方が多くいます。

それからしばらく経って、現在では不動産投資家の知識レベルも向上。セミプロレベルの方が再建築不可物件を検討し、不動産業者よりは若干高い価格帯で購入される方が多い状態です。

しかし、セミプロレベルに知識を仕込んでいるため再建築不可物件を見る目が厳しくなります。

購入申込書を書いても、何か気に入らないことがあればすぐにキャンセルするケースも少なくありません。

不動産投資家の方々はあくまでも利益を最優先するため、一般の方や不動産業者に比べて要求が厳しく、振り回された挙句に徒労で終わるケースも多いです。

5-4.不動産会社に売却する方法

難易度★★★☆☆
売却価格★★☆☆☆
実現性★★★☆☆
※筆者の実務的な肌感覚で星付けしています。ご参考まで。

不動産会社は事業として不動産を買い入れています。そのため再建築不可物件を引き渡した後のトラブル発生リスクが低く、話がスムーズで面倒が少ないのが特徴と言えるでしょう。

再建築不可物件を一般の方や不動産投資家に売却する場合、仲介業者による物件調査が重要です。

しかし再建築不可物件の仲介経験があまりない業者では、調査のチェックポイントを見落としたことによるトラブルが発生してしまうことが少なくありません。

給排水・境界・越境・私道利用の取り決め・自治体の条例や地域特有の慣例など……これらを過不足なく調べ上げるには、経験とノウハウがものを言います。

しかし再建築不可物件を専門に買取りする不動産業者であれば、購入後に発生しうるトラブルは事前に想定済み。なので、買取りした後にトラブルが発生するケースはほとんどないでしょう。

また、不動産業者の買取に際しては契約不適合責任を免責とするケースが多く、残置物についてもそのまま引き取れるなど融通の利くケースが多いです。

近年ではSNSが普及・発達したこともあり、悪評が立ってしまうと商売が成り立たなくなってしまいます。

そのため不動産会社でも誠実な対応が必要となり、顧客満足度の高いサービスが期待できるでしょう。

6.再建築不可物件の買取り業者を選ぶには

再建築不可物件を買取専門業者に売却するなら、インターネットで検索するのが早いです。

「○○〇(自治体名) 再建築不可物件 買取り」などと検索すれば、再建築不可物件を取り扱う買取専門業者がいくらでも出てきます。

ただし検索順位は必ずしも優良な業者とは限りません(詳しくは割愛しますが、ざっくり言えば検索エンジンの事情によるものです)。

再建築不可物件の買取り実績やノウハウの有無についてはGoogleの口コミ評判などを調べた上で2~3社に絞り込むのがいいでしょう。

あまりたくさん査定依頼をしてしまうと、何社からでも連絡がきて対応が大変煩雑になってしまいます。

どのみち査定結果は誤差レベルしか変わらないので、対応可能な範囲で査定依頼するのがおすすめです。

6-1.買取り金額だけで即決せず、他の条件も比較検討する

さて、それでは再建築不可物件の買取り業者を3社に絞り込み、それぞれ査定金額を出してもらったとしましょう。

それぞれこんな買取り条件を提示してきたとします。あなたなら、どの業者に買取りしてもらいますか?

  • A社:買取り金額1,500万円/残置物の撤去&私道通行承諾の取得は売主負担
  • B社:買取り金額1,450万円/私道通行承諾の取得は売主負担
  • C社:買取り金額1,400万円/残置物の撤去も私道通行承諾の取得も業者負担

買取り金額だけで見たら、圧倒的にA社ですよね。しかし残置物の撤去と、私道通行承諾の取得という高いハードルが残っています。

残置物の撤去をは自分で出来るならタダですが、そのくらいの簡単な残置物ものであれば、そもそも業者がサービスでやってくれるでしょう。

重量物の規模や数量によっては、撤去費用が軽く50万円を超えてしまうケースも少なくありません。

さらに面倒なのが私道通行承諾の取得。
こちらは私道の所有者を探し出すのはもちろん、所有者の人柄によっては平気で数十万円・数百万円単位の金銭を要求してくることもしばしば。

買取り金額こそ高くても、付随する条件を満たすためのコストを差し引きした結果、損してしまったら残念です。

なので目先の買取り金額に目を眩まされず、総合的に判断しましょう。

7.再建築不可物件でお悩みなら、URUHOMEへご相談を

以上、再建築不可物件を建て替え可能にする方法から高値で売却する方法まで、分かりやすく徹底解説してまいりました。

ここまで読んで下さった方の多くは「こんなに面倒なの?」と思われた方も少なくないと思います。

再建築不可物件でお悩みでしたら、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングへ一発買取りをご相談くださいませ。

当社は2005年の創業以来、神奈川県・東京都を中心に全国各地のニッチな不動産を買取りしてきました。今回も再建築不可物件の買取でお役に立てると思います。

お急ぎの方は人気のスピード売却&現金化がおすすめです。最速のケースでは、ご連絡いただいてから2時間で査定完了&2日で売却できました。

再建築不可物件を早く高く売却したい方は、ぜひ一度ドリームプランニングまでご相談くださいませ。

お気軽にご相談ください
再建築不可物件の査定をしませんか?
最短2時間で査定可能!高値買取いたします
再建築不可物件の電話相談
再建築不可物件を簡単メール査定