借地上の建物を建て替えるには【建て替え承諾の要否、承諾料の適正価格】について解説します
借地上の建物を建て替えたい。
建物を建て替えるときは地主の承諾は必要?
建替えの承諾料は幾ら位なの?
そんな疑問にお答えいたします。
1.借地上の建物を建て替えるときは承諾料が必要?
1-1.借地上の建物を建て替えるとき、地主の承諾は必要?
借地上の建物を建て替えるとき、地主の承諾が無いまま建て替えてしまうとトラブルになるので、地主の承諾を取ることが無難です。
契約更新後に無断で建て替えをすると、借地権が消滅してしまいますので注意しましょう。
詳しく説明しますと、「借地契約の期間満了前」に承諾の無いまま建て替えても即座に借地権が消滅する事は無いですが、期間満了の際に契約更新が出来ないという事も大いにあります。
借地借家法7条は期間満了前に建物を建て替えた場合、地主の承諾がある場合に限り承諾があった日か建物が建てられた日、いずれの早い日から20年存続すると規定しております。
また、「借地契約更新後」に地主の承諾の無いまま建て替えると借地借家法第8条2項を根拠に地主は土地の賃貸借契約の解約の申し入れが出来、地主が解約の申し入れをしてから3か月で借地権が消滅すると解されています。
ですので、「借地契約更新後に地主の承諾が得られない場合」は、まず「裁判所に地主の承諾に変わる許可をもらう」のが何より大事です。
借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
1.契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2.前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
1-2.地主の承諾を貰うとき、承諾料は必要?
建て替えの承諾料については、増改築禁止の特約があり、金額について具体的に明記されている場合は支払い義務はあります。
増改築禁止特約が無く、金額についての具体的な明記がされていない場合は、建て替え承諾料を払わなくても良いとも言えますが、良好な関係を維持したい場合は建て替え承諾料を支払った方が無難と言えます。
借地と底地は長年の歴史の中で形を変えて存続しています。地域によって慣習も違うのでこちらも参考にしてみましょう。
2.建て替え承諾料の相場は幾ら位?
2-1.居住用木造住宅の場合、増改築は更地価格の1~3%
地主から建て替え承諾を得て承諾料を支払う事となった場合、木造住宅で一部の増改築であれば増改築承諾料として1~3%、建て替えや全面改装の場合は更地価格の3%位が一般的です。
相場を大幅に超えた請求がされたり、納得できない金額の場合は地主と交渉することができます。しかし、交渉しても話し合いがまとまらない場合が多く、なかなか工事が始められないことになります。
話し合いでは難しい時は、借地権に詳しい不動産業者や不動産鑑定士に頼んで妥当な金額を計算してもらいましょう。
2-2.木造住宅からRC住宅への建て替えは更地価格の5~10%
木造住宅からRC住宅への建て替えは借地の条件変更も伴う為、建て替え承諾料の費用は高くなります。一般的には更地価格の5~10%位が一般的です。
借地上の建物の建て替えの際は地主様と借地人様の間でトラブルになる事が多く、専門の不動産業者や弁護士に事前に相談する事をお勧めいたします。
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人