「底地に抵当権を設定して融資を受けたけど、返済が滞って抵当権が実行されそう」
「底地の抵当権が実行されたら、借地人はただちに退去しなくちゃいけないの?」
などと言った疑問や悩みをお抱えの地主さんは、少なくないのではないでしょうか。

借地人にしてみても、地主の借金が原因で、いきなり家を叩き出されてはたまりませんよね。

そこで今回は、底地にまつわる抵当権と借地権の関係や、対抗手段などをプロが徹底解説します。

監修者情報

底地の抵当権実行で借地権が消滅?【不動産のプロが徹底解説】with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

当サイトURUHOMEを運営する株式会社ドリームプランニングは、底地専門の買取業者として2005年に創業いたしました。
創業より培ってきたノウハウにより、「再建築不可の底地」「共有持分の底地」など、様々な底地買取の実績があり、日本全国の底地を買取させて頂いております。
どんな底地でも買い取りさせて頂いておりますので、お困りの底地がございましたらお気軽にご相談ください。

  1. 底地とは?抵当権とは?
  2. 底地の抵当権が実行されたら、借地権はどうなる?
  3. 底地に設定されている抵当権を消したい!その方法は
  4. 借地人がローンを利用するには?
  5. 底地の抵当権でお悩みなら、URUHOMEへご相談を

1.底地とは?抵当権とは?

冒頭にサラッと底地だの抵当権だの借地権だの言ってきましたが、中にはピンとこない方もいるかも知れません。

話の流れで何となくニュアンスは分かるかとは思いますが、改めて確認しておきましょう。

1-1.底地とは何か

底地(そこち)とは他人に貸している土地のことで、主に貸している側(地主)からの呼び方です。
借りている側(借地人)からは借地(しゃくち、かりち)などと言います。

同じ土地を指していても、立場によって「底地」「借地」と呼び方が変わるのです。

他人に貸しているため自分ではほとんど利用できませんが、定期的に地代を徴収できるメリットもあります。

1-2.抵当権とは何か

抵当(ていとう)とは、融資などを受けるときに設定する(抵当に入れる)担保財産のこと。
よく「借金のカタ」などと言うアレですね。

返済が滞れば、抵当権を設定した財産は持って行かれてしまいます(これが抵当権の実行です)。

抵当権とはその抵当を受ける権利で、融資した側を抵当権者、融資を受ける側を抵当権設定者と呼びます。

基本的に権利に関する用語は「~権者」がその恩恵を受ける側、「~権設定者」が恩恵を与える側、と覚えると分かりやすいでしょう。

1-2-1.底地に抵当権が設定されるケース(金融機関、国税局)

基本的に、底地を購入する場合は住宅ローン等を利用することができません。

なので底地に抵当権が設定されることはあまり多くないものの、例えば相続税を納付するために金融機関でローンを組まねばならない時や、納税猶予を申請する時に国税局が抵当権を設定する時などがあります。

1-3.借地権とは何か

借地権とは、読んで字のごとく土地を借りる権利です。
土地を借りている人をそのまま借地人と言い、地代さえ払えば基本的には自由に使えます。

ただし更新時に更新料がかかったり、建物の売却・増改築・用途変更(自宅→店舗など)に際して地主の承諾(状況により承諾料も)が必要だったりなど、完全な所有権に比べて制限も少なくありません。

また土地の所有権を確保していないことから、今回のように抵当権の実行などで住処を追われてしまうリスクも孕んでいます。

2.底地の抵当権が実行されたら、借地権はどうなる?

さて、地主が底地に抵当権を設定しても、順調に融資を返済するなどできていれば何の問題もありません。

これがもし地主が返済を滞らせ、金融機関など債権者(抵当権者)によって抵当権を実行されてしまったら、借地人はどうなってしまうのでしょうか。

借地権を主張して、そのまま住み続けられるのかどうか。
それを判断するカギは、抵当権と借地権の登記順となります。

先に登記した方の権利が優先される。
これを対抗関係と言い、借地権と抵当権のどっちが先に登記されたかで明暗が分かれるのです。

2-1.借地権が抵当権より先に登記された場合

借地権が抵当権よりも先に登記されていれば、底地の抵当権を実行された場合でも立ち退く必要はありません。
つまり借地人はそのまま住み続けられます。

地主さんとしては、借地人から責められなくてよかったですね。

ただし、借地権について登記する(地主が借地人のために登記してあげる)義務はないため、多くの場合ではわざわざ借地権を登記してあげていません。しかしまだ手はあります。

2-1-1.借地上の建物を登記しても対抗できる

借地借家法の規定(第10条)により、借地上に建っている建物を登記することで、借地人は抵当権の実行にも対抗できるのです。

借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

借地借家法 第10条 (借地権の対抗力)※参考:借地借家法|e-Gov法令検索

要するに「借地権を登記していなくても、土地の上に建っている家の所有権を登記していれば、土地の借地権を登記しているのと同じ効果が認められる」ということです。

ただしこの場合の登記は、借地権を持つ本人名義でなくてはいけないので注意しましょう。
また、底地に抵当権が設定されるより前に登記しておく必要があります。

ちなみに借地上の建物を登記するのに、地主の承諾は必要としません。
借地人が法務局で所有権保存登記を行えばOKです。

【所有権保存登記の必要書類】

  • 登記申請書
  • 住民票
  • 委任状(司法書士などに依頼する場合)
  • 住宅用家屋証明書(登録免許税の軽減措置の適用を受ける場合)
<以下は住宅家屋証明書の取得に必要な書類>
  • 建築確認済証or検査済証
  • 建築確認済証or検査済
  • 表題登記の登記完了証&受領証or登記事項証明書
  • 住民票
  • 売買契約書or譲渡証明書(建売住宅の場合)
  • 家屋未使用証明書(建売住宅の場合)
  • 申立書(新居に住民票を移していない場合)
  • 現在の住居の売買契約書(持ち家の場合)
  • 賃貸借契約書(賃貸の場合)
  • 申請書の複本&認定通知書(認定住宅の場合)

【所有権保存登記の費用】

  • 登録免許税………不動産価額×0.4%
  • 司法書士報酬……2~6万円(相場)
  • 住民票など発行手数料

ただし土地を借りる前から抵当権が設定されている場合はどうにもなりません。
なので借地人は借りようとしている土地に抵当権が設定されていないかよく確認する必要があります。

そしてまだ抵当権設定されていなければ、なるべく早く建物の所有権を登記した方がいいでしょう。

2-2.抵当権が借地権より先に登記された場合

一方で、抵当権の方が借地権よりも先に登記されていた場合、というか先ほども紹介した通り、借地権を登記していない場合がほとんどでしょう。

この場合、借地人は対抗できません。残念ながら、抵当権が実行されれば建物を壊して退去せざるを得なくなってしまいます。

2-2-1.抵当権者の同意が登記されていれば、借地権が優先される

ただしこれでは借地人があまりに不利ということで、2004年の民法改正でこのような条件が追加されました。

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

民法 第387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)※参考:民法|e-Gov法令検索

※参考:民法|e-Gov法令検索

要するに「抵当権者全員が同意して、その同意を登記した場合は、抵当権より後に登記した借地権でも、抵当権に優先させることができる」ということです。

これなら抵当権が実行されても立ち退かずに住み続けられますが、その大前提となる抵当権者全員の同意を得るのが容易ではありません。

借地人を保護するため交渉に臨まれる場合は、ご自身だけではなく借地権など法律関係を熟知している不動産会社にアドバイスを求めるのがベストです。

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3.底地に設定されている抵当権を消したい!その方法は

さて、底地に抵当権を設定していると、いつ実行されるんじゃないかと借地人は不安でたまりません。地主としても、できればそんな状態は早く終わらせたいところ。
何とかならないのでしょうか。

結論から言うと、簡単ではないものの抵当権は抹消することが可能です。

また、抵当権が設定されているようなめんどくさい底地は、いっそ売却してしまうのも一手かも知れません。

3-1.抵当権抹消登記をすれば底地の抵当権を消せる

抵当権を抹消するには、底地を抵当に入れる理由となっていた融資や納税などの債務を完済する必要があります。
これが一番大変だという声が聞こえてきそうですが……。

ただし債務を完済しても自動では消えてくれません。
抵当権の抹消登記を行わなければならない
ことを忘れないでください。

抵当権の抹消登記にともなう必要書類と費用はこちらになります。

【抵当権抹消登記の必要書類】

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報…表紙は「解除証書」や「弁済済証」など。
  • 抵当権者(金融機関等)が抵当権の消滅=債務の完済を証明する書類
  • 委任状…抵当権者が登記申請を抵当権設定者に委任する書類
  • 登記識別情報or登記済証…表題は「登記識別情報通知」。

【抵当権抹消登記の費用】

  • 登録免許税…1,000円/登記申請時にかかる
  • 事前調査費用…332~600円/抵当権が設定されているか、登記内容の確認手数料
  • 抵当権抹消確認費用…332~600円/抵当権が抹消されているか、登記内容の確認手数料
  • 司法書士への報酬…1~2万円(相場)/抵当権抹消登記手続きを依頼する場合

そもそも債務の完済からして大変でしょうが、抵当権を抹消できた時の解放感・達成感は、実に大きなものでしょうね。

3-2.抵当権が設定されている底地の買取り相場は?

とは言うものの、抵当権を抹消するのは手続きがちょっと面倒なため、中には抵当権が設定されたままで底地を売却したいと考えている方もいるかと思います。

抵当権が設定された底地を売却した時に、手元に残る金額は底地の評価額から残債を差し引いた価格を基に算出するのが一般的です。

抵当権つき底地の売却価格=更地価格×(1―借地権割合)

底地評価額は更地価格に100%から借地権割合を引いた値をかけて求めます。

借地権割合というのは、土地の価格について借地権価額が占める割合を言い、土地によって30~90%の10%刻み(7段階)で設定された数値です。

借地権割合は国税庁のホームページから確認できますから、自分の所有している底地についても確認するといいでしょう。

※参考:財産評価基準書|国税庁

例えば更地価格が3,000万円、借地権割合が60%、残債が300万円だった場合の底地について、売却後に手元に残る金額は次のとおり求めます。

更地価格3,000万円×(100%-借地権割合60%=40%)
=底地評価額1,200万円

底地評価額1,200万円-残債300万円
抵当権付き不動産を売却した際に手元に残る金額 900万円

3-2-1.借地人に買ってもらう場合の底地の相場

ちなみに抵当権つき底地の買取り相場は、取引相手によって大きく影響を受けます。

借地人に買い取ってもらう場合は話し合いになりますが、一般的には底地評価額と同じ程度(若しくは更地価格の30~50%程度)になることが多いです。

基本的には、相続税路線価から計算した土地価格に、底地の割合を乗算した価格が底地の売却相場になります。

3-2-2.買取業者に買い取ってもらう場合の底地の買取り相場

不動産会社に買取りしてもらう場合は底地評価額の50%~70%程度(若しくは、更地価格の15~40%)になる事があります。

ただし不動産会社の中には、底地の買取りを敬遠するところも多いでしょう。
ただでさえ底地は権利関係が複雑なので、底地専門の買取業者でないと買い取ってくれないのです。

ですので、不動産会社の底地買取りを検討する時は、底地や抵当権など権利関係に精通しているかをあらかじめ確認するのがおすすめです。

当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングは、底地の買取に精通しており、底地評価額より高い価格での底地買取実績もございます。

底地の売却でお困りの方はお気軽にご相談ください。

4.借地人が住宅ローンを利用するには?

ところで、借地人の中には借りた土地に居宅を建てる時、住宅ローンの利用を検討している方もいるでしょう。

住宅ローンの利用には、融資を受ける担保として不動産に金融機関の抵当権を設定されます。
しかし、借りている土地を抵当に入れてしまうことは出来るのでしょうか。

借地の場合はどのようにすればよいのか、注意すべき点などを解説していきます。

4-1.借地人が抵当権を設定できるのは、借地上にある建物だけ

借地人が家を建てるための住宅ローンを組む時、抵当権を設定できるのは借地上の建物だけで、借地権に設定することはできません。

つまり家を新築するなら「これから建てる家を抵当に入れるので、それを担保にお金を貸して」ということですね。

ただし借地上の建物に抵当権を設定した場合、その効力は建物だけでなく、敷地の利用権にも及ぶことが判例(1965年5月4日、昭和39年(オ)1033建物収去土地明渡請求事件)で示されています。

※参考:裁判例結果詳細|裁判所

よって抵当権が設定された建物が支払いが滞る事により抵当権が実行された場合、競売で借地上の家を購入した者は家の所有権と共に借地権も得られるのです。

土地の利用については地主の承諾が必要ですが、地主が承諾しなかった場合でも裁判所に申し立てることで、承諾に代わる許可が得られます。

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。

借地借家法 第20条(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可) ※参考:借地借家法|e-Gov法令検索

借地人が建てた家に抵当権を設定し、支払いを怠ったせいで抵当権が実行されてしまった場合、地主は家の競落人に対して敷地の利用を受け入れざるを得ません。
何とかならないのでしょうか。

4-2.借地上の建物に抵当権を設定するには、地主の承諾が必要

借地権付建物を購入する時は、金融機関から建物に抵当権設定をすることを求められます。
この時、不動産登記法の観点からは、地主の承諾は不要となっています。

しかし多くの金融機関では借地人に融資する前に「借地人が地代を滞納した場合、借地契約を解除する前に金融機関へ通知する」旨が記載された地主の承諾書を求められるでしょう。

なぜなら、そうしないと借地人が地代を滞納して地主が借地契約を解除した場合、融資の担保である借地権が消滅してしまうからです。

そこで先ほどの文言を入れることで、借地人が地代の支払いを滞らせても金融機関が変わって地代の支払いをし、地主が借地人の借地契約を解除するより前に抵当権を実行することで、借地権を消滅させずに、競売の落札者が建物を確保することが可能となるのです。

つまり、金融機関は借地人にローンを貸すときに、「借地人が地代を延滞したら銀行が変わって地代を支払うから教えてね」という承諾書を地主に貰っておくことで、地代延滞が発生した時(この時にはほとんどローンも滞納している)に借地権建物を売却して、借地人に貸したお金を回収してしまうことができるのです。

銀行融資の時には、この地主の承諾書があるために、実際は地主の承諾なしで借地上の建物に抵当権を設定することは出来ないのです。

ちなみに抵当権設定の承諾にも承諾料が求められることが多く、抵当権設定承諾料は借地権価格の10%ほどが相場と言われています。

借地人が底地の上に家を建てたいと考えていることが分かったら、地主としては今後のトラブルを予防するためにも、金融機関も交えてなるべく入念に協議した方がいいでしょう。

5.底地の抵当権でお悩みなら、URUHOMEへご相談を

【底地の抵当権まとめ】
・抵当権が実行された場合は、先に登記されていた方の権利が優先
 →借地権が先に登記されていれば、借地人は住み続けられる
 →抵当権が先に登記されていたら、家を壊して出ていかねばならない
 →抵当権者全員の同意が登記されていれば、後から登記した借地権が優先
 →借地上の建物をあらかじめ借地人名義で登記してあれば、住み続けられる
・抵当権の抹消には、債務の完済が必要
・抵当権の設定されている底地の売却は手続きがちょっと面倒

……などなど、底地に抵当権が設定されている場合について、様々なアプローチで解説してきました。

底地に抵当権が設定されると、借地人としてはいつ追い出されるか不安ですし、地主さんとしても売却が面倒な不動産となってしまいます。

いざ急に現金が必要になって、抵当権が設定されている底地を売却しなくてはならない時、個人売買ではトラブルが心配だし、権利関係が複雑だから経験の浅い不動産会社には敬遠されてしまうでしょう。

そんな時には、当サイトURUHOMEを運営しているドリームプランニングにご相談くださいませ。

当社は創業より18年間、底地の買取専門業者として東京・神奈川を中心に底地の買取りをしてまいりました。

トラブルに発展しそうな底地や借地の買取りについても多くご相談いただいており、お客様と二人三脚で問題解決に取り組んでおります。

抵当権付きの底地だけでなく、底地全般についてのお困りごとなどございましたら、何でもお気軽にご相談くださいませ。

創業以来蓄積されたノウハウで、どんな底地でも買い取らせていただきます。

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