法外道路かつ、土砂災害特別警戒区域の建て替え
「再建築不可を相続してしまった」
「接している道路が建築基準法の道路じゃない」
そんなお悩みの土地をお持ちでいらっしゃいませんか?
所有している不動産が建築基準法の道路に接道していないだけで
建て替え出来ないというのは納得できないですよね。
しかも、それだけで不動産の価値がガクッと落ちるというのも残念な話です。
そこで今回、再建築不可物件をお持ちの方や
再建築不可物件の売却依頼を受けている業者様に
どのように再建築不可物件を建て替えるか
数ある再建築不可の物件の再生事例の中から
「法外道路かつ土砂災害特別警戒区域のため再建築不可の物件」
を建て替えた事例をご紹介
再建築不可を専門とする不動産業者の社長が
どのように再建築可能にして建て替えるかを全て公開します。
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、
東京・神奈川の再建築不可、傾斜地などの特殊な不動産を専門的に取り扱うため、
多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
当サイトURUHOMEは、私達の積み上げてきたノウハウを
不動産のお悩みを抱えていらっしゃる方々の問題解決に少しでもお役に立てればと思い、
「ニッチな不動産のお悩み解決サイト」として立ち上げたものです。
大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、
無料査定を行い、5000万円位までの物件であれば最短2日でお買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.横浜市保土ヶ谷区神戸町―相談の経緯
横浜市保土ヶ谷区で「建築基準法の道路に接道していない上、敷地が土砂災害特別警戒区域にかかっているため、再建築不可となっていて売却できない」という土地のご相談を受けました。
建物も昭和30年頃に建築された建物で、床もベコベコで躯体もかなり痛んでおり、リフォームして利用するのも困難な建物でした。
周辺も暗く、隣接地の傾斜もかなり急で、敷地内に樹が覆いかぶさるように立っていて、
売却がかなり困難な不動産であることが分かりました。

1-1.物件の調査
公図を取得し、前面道路の部分を調査してみると、7人で所有していることが分かりました。
また、前面道路は建築基準法の道路ではなく、43条2項2号の道路でもありませんでした。
このため、建物を建て替えるには私道所有者全員から道路として利用する誓約書を取得する必要がありました。
更に、本物件に至るまでの道路に、持分を持っていない土地も含まれている事もわかりました。
この場合、土地所有者から通行承諾を取得した方が安全なので、土地所有者とも交渉しなければなりませんでした。

1-2.土砂災害特別警戒区域にかかる土地
また、本物件を調べてみると、土砂災害特別警戒区域に存することになる計画が分かりました。
近年の自然災害により、土砂災害の区域の見直しが行われ、本物件も土砂災害特別警戒区域にかかる事になりました。
土砂災害特別警戒区域に敷地のどこまでがかかっているかについては、横浜川崎治水事務所に備え付けられている、土砂災害特別警戒区域の座標点を参考に土地家屋調査士に依頼して、土砂災害特別警戒区域がどのように敷地にかかっているかを特定しなければなりません。
土砂災害特別警戒区域に敷地がかかっている場合、警戒区域にかかっている場所を外して建物を配置するか、土砂災害が起こった時にかかる土圧に耐えうる擁壁を築造したうえで建物を建てることも可能です。
今回は、土砂災害特別警戒区域から建物の配置をはずして建てることにいたしました。

1-3.土砂災害特別警戒区域とは?
土砂災害特別警戒区域
土砂災害特別警戒区域とは、建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれのあると認められる土地の区域であり、一定の開発行為の制限や居室を有する建築物の構造が規制されます。
また、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域を指定する際に、基礎調査を行います。
現地の地形、対策施設の整備状況、土地の利用状況を調査し、土砂災害により被害を受けるおそれのある区域を決定します。
土砂災害特別警戒区域に指定されると、次のような事があります。
(1)特定開発行為に対する許可制
住宅・宅地分譲や社会福祉施設、幼稚園、病院等の特に防災上の配慮を要する者が利用する施設を建築するための開発行為(特定開発行為)は、知事の許可が必要となります。
(2)建築物の構造規制
土砂災害発生時に想定される土石等の移動・堆積の力に耐えられるよう、居室を有する建築物の構造が規制されます。なお、土砂災害特別警戒区域内では、居室を有する建築物の建築行為は、建築確認が必要となります。
(3)宅地建物取引における措置
宅地建物取引業者は、特定開発行為に関する知事の許可を受けた後でなければ、当該特定開発行為にかかる宅地または建物の広告及び売買契約の締結を行うことはできず、 当該宅地または建物の売買にあたっては、特定開発行為の制限に関する事項について重要事項説明を行うことが義務付けられています。

1-4.がけ条例にかかる敷地
がけ条例(通称)とは、がけの近くにある建築物の安全性を確保するために都道府県等の自治体によって定められた条例です。がけの高さやがけからの距離によって、建築行為が制限されます。
横浜市では「横浜市建築基準条例 第3条」に、高さ3mを越えるがけの下端から水平距離ががけの高さの2倍以上を超える位置に建物を建てる場合、擁壁や防護壁を建てなければならないという決まりがあります。
本物件については、がけの傾斜が防護壁を築造しなければいけない程では無かったため、擁壁や防護壁を築造しなくても大丈夫という事でした。
1-5.擁壁の防災対策工事助成金について
横浜市で個人で所有している土地に2m以上のがけ崩れが生じる可能性がある土地の場合、工事費の1/3以内または市で定めた単価により算出した金額のうちいずれか少ない額で、限度額は400万円の助成金を受け取れることがあります。
横浜市崖地防災対策工事助成金の適用を受けることができるかは、審査がありますので、工事着手前に、建築局建築防災課に相談しましょう。
2.横浜市保土ヶ谷区神戸町―再建築不可物件の買取
本物件について、土地所有者様も再建築不可物件の上、がけに囲まれていて利用方法が無いという事で、弊社でお買取りさせていただくことになりました。
43条2項2号の許可を取得できるかは分かりませんでしたが、とにかく所有者様がお困りという事で弊社でご希望金額で買取させていただくことになりました。
「崖下で湿気も多いため、建物の損傷も激しくそのままではどうにも利用出来ない」という事でしたので、弊社で何とか再生をさせていただくことにいたしました。

3.横浜市保土ヶ谷区神戸町―再建築不可物件の再生
今回の建物については、再生できるかどうかは43条2項2号の誓約書を取得できるかに全てがかかっていました。
具体的には、「建築審査会包括同意基準3-3」という基準に適合していれば、救済措置として再建築可能になるのですが、そのためには、私道の所有者全員から将来にわたり私道の維持管理する旨の誓約書が提出されなければならないという高いハードルがありました。
また、本物件に至る道路の一部の持分を持っていない部分の道路についても、道路所有者から通行承諾を頂かなければなりませんでした。
3-1.私道の維持管理の誓約書
私道所有者は、計7名で弊社以外に計6名の所有者から私道の維持管理の誓約書を取得しなければなりませんでした。
1件1件挨拶にまわり、誓約書を頂くことで、前面道路が43条2項2号の道路として認定されるので、署名を頂きたい旨をご説明に回りました。
自分達も建て替えの際に必要になるという事で、意外と皆様あっさりと納得していただき、2か月位で皆様から誓約書を頂くことが出来ました。
3-2.持分が無い道路の通行承諾の取得
本物件に至るまでの道路の一部に、宗教法人が持っている私道が含まれており、そこは道路の持ち分を持っていませんでした。
宗教法人から通行承諾を取得するには、総会、総代会などの同意を得なければ通行承諾は取得することは出来ません。
弊社で本物件を取得したことで、私道の所有者である宗教法人に挨拶に何度か足を運びましたが、総会や総代会の同意を得ることが難しいという事で、結局は私道の通行承諾は頂けなませんでした。
しかし、通行に関しては黙認をしていただくという話でまとまりました。

3-3.古家の解体、井戸の埋め戻し
古家の解体と共に、敷地内にあった井戸の埋め戻しを行いました。
井戸を埋め戻した際は、お祓いを行うのが一般的で、今回も埋め戻しと合わせてお祓いをして頂きました。
また、43条2項2号の許可を得るには、道路の中心から2mまでを道路として提供したうえで、道路提供した部分と道路を同じ高さにして、舗装もしなければなりません。
解体時には建物計画を考えた上で残土の運び出しなどを行わなければならないため、建築する工務店と解体業者と入念な打ち合わせが必要になります。
3-4.土砂災害特別警戒区域を考慮した建物計画
土砂災害特別警戒区域内に建物を建築する場合
土砂災害特別警戒区域の範囲を特定したうえで、土砂災害に耐えうる擁壁を築造するか、土砂災害特別警戒区域を外した建物計画をしなければなりません。
今回は、土砂災害特別警戒区域に建物がかからないように建物配置を行いました。
また、1階の日当たりが悪かったため、2階リビングにした上で、屋上にルーフバルコニーを配しました。

4.新築一戸建てとして売却
敷地のすぐ隣が傾斜地になっていたり、周辺に手入れがされていない空き家が点在している、車が非常に入りにくいなど、売却には苦労すると思いましたが、駅から10分以内と近かったため、問い合わせも多数いただきました。
建物完成するまではイメージがつかないという事でご契約頂けなかったのですが、完成と同時に2番手までお申込みを頂き、無事ご購入頂きました。

5.難しい再建築不可物件の売却はURUHOME
ニッチな不動産でお馴染み”URUHOME”を運営するドリームプランニングは、創業18年、再建築不可物件、傾斜地などの訳あり不動産に特化した不動産の買取を行ってまいりました。
そのため、今回のように再建築不可かつ、土砂災害特別警戒区域など他社様より買取を断られた難易度の高い物件でも、高値でお買取りさせていただくことが可能です
特に、都内の城南地区、川崎、横浜、藤沢などを中心に、全国の再建築不可物件の買取をさせていただいております。
最短30分で査定、お問い合わせから2日で決済した物件も多数ございます。
相続などでお困りの土地、建物をお持ちの土地所有者様、相続予定のお客様、不動産仲介業者様は、是非一度当社までご相談くださいませ。