山林の宅地化を考えていらっしゃる方必見!手順と工事費用を説明いたします!
1.地目変更について
1-1.地目「山林」を「宅地」に地目変更するには
地目山林を宅地に変更する際には、次のようなことに注意し、市町村で確認しなければなりません。
- 農政事務所などで「保安林」に指定されていないか確認
- 環境創造局などで「地域森林計画対象民有林」に指定されていないか確認
- 環境創造局などで「農業振興地域の整備に関する法律の農振地域」に指定されていないか確認
- 土木事務所などで「土砂災害警戒区域」に指定されていないか確認
- 建築局などで「市街化調整区域」に指定されていないか確認
- 建築局などで「希望の建物が建築できるか確認」
- 「農業振興地域の整備に関する法律の農振地域」に指定されているか確認
- 「保安林」に指定されている場合、許可または届け出が必要になる事があります。
- 「地域森林計画対象民有林」で樹木の伐採をする際には届け出や報告書の提出が必要になる事があります。
- 「農業振興地域の整備に関する法律の農振地域」に指定されていると、農振法適用除外の申請をしないと建物は建てられません(建物を建てるのはかなり難しいです)
- 「土砂災害特別警戒区域」で建築をする際は、建築物の建築に構造上の制限がかかり、許可を要することがあります。
- 「市街化調整区域内」で建物を建築する際には、立地基準や開発基準をクリアする必要があり、許可を要します。
- 「都市計画区域内」で建物を建築する際には建築確認申請が必要になります。
1-2.地目が「山林」の土地に家を建てるには、「宅地」への地目変更が必要
不動産登記法第37条では、「地目、または地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない」とされております。
不動産登記法第164条では、「地目変更登記を一か月以内に行わないと、10万円以下の過料に処する」とあるので、山林を造成するなどして宅地化した場合は速やかに宅地に地目変更しましょう。
2.山林の造成について
2-1.山林の土地造成費用
山林を宅地化する場合、土地の造成費用が一番高くなります。国税庁の財産評価基準を宅地の造成費の参考にした場合、首都圏、中部地方の宅地造成費の目安は以下の通りで、傾斜によって金額がかなり変わってきます。
東京・神奈川・千葉 | 埼玉・茨城・群馬 | 静岡・愛知・三重 | |
3度超5度以下 | 18600円/㎡ | 18400円/㎡ | 18100円/㎡ |
5度超10度以下 | 22800円/㎡ | 22600円/㎡ | 22200円/㎡ |
10度超15度以下 | 34900円/㎡ | 34600円/㎡ | 33500円/㎡ |
15度超20度以下 | 49500円/㎡ | 49100円/㎡ | 47000円/㎡ |
20度超25度以下 | 54700円/㎡ | 54400円/㎡ | 52100円/㎡ |
25度超30度以下 | 57900円/㎡ | 57100円/㎡ | 55300円/㎡ |
令和2年度 財産評価基準 傾斜地の宅地造成費
例えば、土地の面積を60坪(約198㎡)と仮定すると、財産評価基準を元に造成費の計算をすると造成費の目安は以下の通りになります。
東京・神奈川・千葉 | 埼玉・茨城・群馬 | 静岡・愛知・三重 | |
3度超5度以下 | 3,682,800円 | 3,643,200円 | 3,583,800円 |
5度超10度以下 | 4,514,400円 | 4,474,800円 | 4,395,600円 |
10度超15度以下 | 6,910,200円 | 6,850,800円 | 6,633,000円 |
15度超20度以下 | 9,801,000円 | 9,721,800円 | 9,306,000円 |
20度超25度以下 | 10,830,600円 | 10,771,200円 | 10,315,800円 |
25度超30度以下 | 11,464,200円 | 11,305,800円 | 10,949,400円 |
令和2年度 財産評価基準 傾斜地の宅地造成費
2-2.地盤改良費用
宅地を造成するだけならともかく、宅地化して建物を建てるには地盤改良費用が別途でかかることもあります。
地盤改良にも【軟弱地盤を掘ってセメントなどと混ぜて固める『表層改良』】【地中に電信柱のようなコンクリートの柱を注入する『柱状改良』】【地中に鋼管の杭を打ち込む『鋼管杭工法』】があり、工法によって費用が変わってきます。
山林を宅地に地目変更をするには、さまざまな法律が絡んでまいります。山林の地目変更やご売却をお考えの方は、ニッチな不動産のプロである「URUHOME」までご相談くださいませ。
著者情報
高橋 樹人