定期借地とはナニ?【一般定期借地,事業用定期借地,建物譲渡特約付き借地権】についてメリット、デメリットなどとともに解説します。
所有している空地を貸してほしいと言われたけど、定期借地って何だろう?
定期借地にはどのようなものがあるの?
定期借地のメリット、デメリットはナニ?
そういった疑問にお答えいたします。
1.定期借地権は原則更新が無く、地主にとって不利な旧法借地と異なる性質のものです
1-1.定期借地権は借地借家法改正によって生まれた地主に不利でない契約
借地借家法改正の前の借地契約では、借地契約期間満了後の法定更新や建物買い取り請求権が認められるなど、地主にとって不利な制度でした。
そこで、1992年に借地借家法が改正され、定期借地権という概念が生まれました。これは旧借地法時代には無かった規定で、地主が契約期間が満了する事によって借地契約を終了させることが出来るようになった画期的な法改正でした。
かつて借地契約が満了しても借地人が更新を望めば地主は正当な自由なくそれを拒むことが出来ませんでしたので、これは地主にとって革命的な出来事です。
あくまで旧法借地の時になされた借地契約は旧法が適用されますので、1992年以前から貸していた土地に関しては、そう簡単に契約を終了させられませんのでご注意ください。
1-2. 定期借地権には更新がありません
定期借地契約と普通借地契約との大きな違いは、定期借地契約には更新が無いという事で、契約期間満了と共に地主は貸していた土地の明け渡しを受けられるというものです。
契約については書面で交わさなければならない(事業用定期借地権は公正証書によってなされなければならない)という注意点はありますが、定期借地権が出来たことにより地主にとっても極度に不利であった旧法借地の土地が一生返還されないかも知れないという不安から解放されたとも言えます。
定期借地権の売買は評価の非常に難しい物件です。売却や相続でお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。
2.定期借地権にも3種類の契約があります。
事業用定期借地権 | 一般定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | |
建物の用途 | 事業に限る | 自由 | 自由 |
契約方式 | 公正証書による | 書面による | 規定なし |
存続期間 | 10年~30年 | 50年以上 | 30年以上 |
契約内容 | 事業用であることを明示して公正証書にて契約する。借地借家法の強制規定が排除される | 契約更新、建物買い取り請求をしない旨の特約 | 存続期間満了後に借地権者が借地上の建物を地主に譲渡する旨の特約 |
返還方法 | 借地人が建物解体する事により更地返還 | 借地人が建物解体する事により更地返還 | 地主が建物を買い取る |
2-1.一般定期借地権のメリット、デメリット
基本的な一般定期借地の期間は50年以上となり、借地契約期間満了後には、借地を更地にして返還しなければならない決まりがある為、貸す側にとっては土地の更地返還がうけられるうえ、その期間安定した収入が見込めるメリットがあります。借りる側にとってははその期間法律で認められているため、安定した土地の活用が可能です。
50年以上という長期が条件なので、地主は「土地を返還してほしい」借地人は「別の土地を利用したい」と思っても移動をする際に制限が生まれるというリスクを伴います。
2-2.事業用定期借地権
期間が10年から50年までと定められている事業用定期借地というものもあり、住宅ではなく店舗や工場などビジネスに使用します。期間が最低で10年と短いので、早めの切り上げが予想される事業に適しているのがメリットです。またあくまでも借りる形なので、土地を購入するよりも費用を抑えられます。
その反面使用目的が限られる上に、事業が予想と違って成功あるいは失敗して期間を変更したくても不可能だというデメリットがあります。
2-3.建物譲渡特約付き借地権のメリット、デメリット
特殊な例として建物譲渡特約付き借地権があり、期間を30年以上に設定した後、それが終わると地主が建物を買い取るというものです。そしてその買取が行われると、借地権がなくなるのが特徴です。一般定期借地の内容を変更させた形ですが、一般だと建物があっても土地にして返さなければなりません。
主にマンションのディベロッパーなどが利用することが多く、ある一定期間借地上の建物から利益を得て、地主に売却するというスキームです。
土地を借りても収益が上がらなかったり、地主は借地契約が終わった時に建物を買い受ける特約に基づき、まとまった金銭が必要になるというデメリットがあります。
改正された借地借家法と利点を生かし、どういった形で土地を借りるのが良いか、貸すのが良いか、それぞれの契約のメリットデメリットを理解した上で土地の賃貸をしましょう。
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人