【調整区域内で建てられる建物、建築時と違う用途で使う場合の用途変更、開発運用弾力化】を解説
市街化調整区域内の不動産を購入・相続したけど
「好ききなように賃貸して良いの?」
調整区域内の建物を貸していたけど
「賃貸借契約が終了したから他の用途に変更出来る?」
建物の用途変更がしやすくなったって聞くけど、どう変わったの?
調整区域の不動産を取得した方から、このようなご相談を頂くことが良くあります。
結論からご説明いたしますと、注意すべきは2点
「市街化調整区域内の建物が賃貸できるかは建てられた時期によって異なる」
「調整区域内ですでに建物が建てられている場合、誰に対して許可したかによって異なる」
というものです。
そして賃貸できるものであっても
「住宅などで貸していたものを店舗などとして賃貸する『用途変更』が難しい」のが現実です。
今回は
「いつ建てられた建物であれば賃貸できるか」
「誰に許可したものであれば賃貸できるか」
「用途変更をするために、どのようなハードルがあるか」
をご説明いたします(^^)
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は
日本全国の市街化調整区域の物件や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に扱っており、これまでも多数の相談を頂いてまいりました。
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1.市街化調整区域内の賃貸は場合によって可能
1-1.市街化調整区域内での建築は規制されています。
住宅の建築と街の環境の整備には密接な関係があり
街の環境整備については、法律で規制されております。
これは、無秩序な建物建築を容認すると
「地域一体の居住性能の低下や、公衆衛生環境や交通基盤などに重大を影響を与える可能性」
があるからです。
簡単に言いますと
誰もが好き勝手な場所に建物を建てたら、インフラ整備も出来ないし
計画的なまちづくりが出来ないから、法律でまちづくりの決まりをつくっているのです。
その街づくりの決まりが「都市計画法」です。
この法律で市街化を誘致する「市街化区域」と
市街化を抑制する「市街化調整区域」に分けられており
「市街化調整区域」では原則として新たな建物の建築や賃貸は規制されてきました。
余談ですが、都市計画法に基づく線引が実施されているのは、首都圏や地方主要都市などがほとんどです。
1―2.調整区域内の建物を賃貸できるかは
「建てられた時期」と、「誰に許可をしたか」によって異なることがあります。
「市街化調整区域内の建物を取得して賃貸して良いか?」
というご相談を受ける事が良くあります
市街化区域内であれば、自分の建物を当然のように賃貸しても問題ありません。
しかし、調整区域内の場合
「建てられた年と、誰に許可したかによって賃貸できないこともある」
ため注意が必要です。
「市街化調整区域の建物を賃貸出来る場合」と
「賃貸出来ない場合」は、以下の通りです。
〇調整区域内で建物を賃貸出来る場合
①「居住用建物を市街化調整区域に指定される前から保有していて
市街化調整区域指定後そのまま居住用として賃貸する場合」
②「居住用建物を調整区域に指定されたあとに適法に建て替えた場合で
同じく居住用として賃貸するとき」
これらの場合は基本的に
「市街化調整区域内の建物を賃貸しても特に問題はありません」
(※一部の地方自治体では、都市計画法の解釈が異なり禁止されていることもあります)
〇調整区域内で建物を賃貸出来ない場合
①「調整区域に指定されたあとに
『農家の分家』や『土地を所有していた者の建築の特例』
によって建物を建て替えた場合」
②「市街化調整区域内の建物の用途変更を行い、適法に届出を行わなかった場合」
これらの場合、都市計画法に違反の可能性があります。
ちょっと難しいのですが①の場合
「特定の人のみ使用できるよう建築許可を受けたものなので、居住用であっても賃貸してはいけない」
というものです。
良くあるのが、農家の分家として家を特例で建てたパターンです。
これは、農家の分家である人に対して特別に許可して建てた建物なので
他の人が住むために賃貸や売買をしてはいけないというものです。
本来は市街化調整区域は建物が建てられないエリアにも関わらず
農家の分家の場合、農業に携わることもあるので
特別に建てても大丈夫ですよと許可したものですので
他の人がそこに住むのはダメですよねという話になってしまうのです。
②の場合については、
例えば居住用として適法に建て建物であっても
他の用途(例えばコンビニや販売所)など
許可なく建てたときと違う目的で使ってはいけないというものです。
都市計画法では、許可を受けた目的以外で建物を使用すると
「1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性」もあるので気をつけましょう。
昭和45年以降に建てられた建物は、調整区域指定後に建築された可能性があります。
建築時に特定の人物だけが利用できる申請がされていないか、確認しましょう。
自治体によって都市計画法の解釈が異なり、一部自治体で市街化調整区域内の賃貸を例外なく禁止していることもあります。
1-3.調整区域内の建物で賃貸可能でも、用途制限があり、用途変更する場合許可が必要です。
特定の人物のみの利用が許された建物でなくとも
建築したときの用途と異なる場合、都市計画法による用途変更(建築許可)が必要になります。
そもそも市街化調整区域では、都市計画法に基づく都市計画は定めないのが原則です。
そのため都市基盤や公共インフラの整備も積極的には実施されていません。
さらに、都道府県知事による開発許可も原則としてうけることができません。
市街化調整区域内では
「調整区域に指定される前に建てられた建物」
「建築時の使用目的に反しない場合」
については賃貸可能です。
ただ、繰り返しで恐縮なのですが、居住用として建てた建物などを別の方法で利用する場合
「用途変更手続き」が必要になるので気を付けましょう。
そして、この用途変更の手続きについては条例や自治体の解釈で異なるので
かなり大変な手続きになります。
例えば「コンビニエンスストアとしての建築許可を取っていたものを日用品販売店に変える」
「一戸建てを共同住宅として利用したりする」場合など許可が必要です。

1-4.市街化調整区域内の建物の用途変更が出来ずにお困りの方はご相談ください
市街化調整区域内の建物の用途変更については
「難易度が高く、専門的な知識と手続きが必要」になります。
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2.市街化調整区域内の用途変更許可は得やすくなりました
- 2-1.開発許可制度運用指針の変更
- 2-2.一部用途変更の許可が得やすくなりました
- 2-3.しかし、依然として原則開発許可は認めれにくい
2-1.開発許可制度運用指針の変更
昨今、少子高齢化の進行によって、空き家の増加が問題になっております。
これは、もはや地方に限定されたものでなく、首都圏や大都市圏でも問題となりつつあります。
このような社会情勢の変化を踏まえて
2016年12月27日、国交省は「開発許可制度運用指針変更」を打ち出し
『市街化調整区域における規制を一部緩和』しました。
どのような開発案件であれば認められるかは各地方自治体の判断にゆだねられております。
2-2.集落維持のために必要な賃貸住宅など、一部用途変更の許可が得やすくなりました
この指針の変更が何かというと
「従来の市街化調整区域における都市開発のありかたを緩める方向に政策を一部変更し
用途変更の許可を得やすくした」
というものです。
具体的には
「観光客を誘致するために必要な宿泊や飲食の用途に供する施設を賃貸に出す場合」
「既存集落の維持の為に必要な賃貸住宅」
についての用途変更の許可得やすくなりました。
後者で典型的なのは、既存集落の高齢者が利用するグループホームへの用途変更などです。
法改正により市街化調整区域内で用途変更を行い、賃貸をしやすくなりました。

2-3.しかし、依然として原則開発許可は認めれにくく、賃貸できないことも
もっとも市街化調整区域を緩和するといっても
開発許可は原則認めないという基本路線に変わりはありません。
それというのも賃貸などへの用途変更を認めるには
- 市町村の地域振興や観光振興などの計画に整合している
- 用途変更の対象となる建築物は(10年ほどの期間を目安に)相当期間適正に使用された
などの要件を充足することが要求されているからです。
この要件を充足しているからと言って簡単に認められるわけでもないので
調整区域の用途変更は難しいという事は念頭に置くようにしましょう。
少子高齢化で調整区域内で空き家が増えております。
国交省の方針は「古民家を地域創生に利用したい」という住民の要望に基づいて
「市街化を促進しないという基本方針を残しつつ、地域再生に役立てるための許可はしよう」
という形になっております。
市街化調整区域内での用途変更は、依然としてハードルが高いのには変わりはありません。
建物の賃貸は可能(※一部不可)ですが、用途変更を行う際は必ず許可を得るようにしましょう。
3.許可を得れば新規で賃貸住宅を建てることも可能
ここまで市街化調整区域に既に建っている建物を賃貸する場合について主に解説してまいりました。
しかし、新規でアパートなどを建築することも出来るのでしょうか?
結論から申し上げますと、場合によっては可能です。
ここでは、どういった場合に新規で賃貸住宅を建てられるか見ていきましょう。
3-1.条例で指定する区域内での開発行為(法34条11号)
34条11号を簡単に説明すると以下のようなものになります。
- 市街化区域に隣接している
- おおむね五十以上の建築物が連たんしている
- 条例で指定する土地の区域内において行う開発行為
11号による許可は、市長が条例で区域を指定して、指定された区域内では住宅や共同住宅を許可するものです。
相模原市では令和5年1月1日以降区域指定による開発許可申請が出来なくなるなど、廃止する自治体も増えています。
理由としては、全国で進めているコンパクトシティの方針(立地適正化計画などにより、全国で都市機能を集約している)と相反するためだと考えられます。
3-2.開発審査会の議を経た開発行為法34条14号)
34条14号の許可により建てられる建築物は色々ありますが
共同住宅が建築できるのは主に「既存宅地」「線引き前宅地」に該当する場合です。
〇既存宅地とは
市街化調整区域に指定される前から「宅地」として利用されていた土地です。
〇線引き前宅地とは
しかし、平成12年の都市計画法改正で既存宅地制度が廃止され、それ以降の市街化調整区域として線引きされる以前に地目が宅地となっていたもの
例えば横浜の場合、34条14号の許可に基づき、周辺の市街化を促進するおそれがなく、市街化区域内において行うことが困難な開発行為等を「開発審査会提案基準」という基準を作って許可をしています。
34条14号の許可ー横浜市開発審査会提案基準(一部抜粋)
- 農家の分家住宅(提案基準4号)
- 特別養護老人ホーム(提案基準20号)
- 線引き前宅地(提案基準26号)
- 障害者グループホーム(提案基準29号)
- 医療施設(提案基準33号)
この中で「線引き前宅地」に該当するものだけが共同住宅を建築できることになっています。
多くの自治体では「線引き前宅地」であれば共同住宅を建築できますが、敷地面積の基準や、駐車場の基準、建蔽率、容積率は異なります。
4.市街化調整区域内の不動産で困ったら
市街化調整区域の不動産の賃貸は色々と手続きが難しいことが分かってきました。
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また、やはり賃貸は難しいという事で売却も考えている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、市街化調整区域の不動産の事で困ったとき、売却するときにどのようにすればよいかご説明いたします。
4-1.市街化調整区域の不動産を売却するには【東京・神奈川編】
既存宅地でない場合、市街化調整区域内の不動産の賃貸が意外と難しいことを説明してまいりました。
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調整区域の不動産は、きちんとした手続きを踏まずに売買してしまうと法律違反となり
そもそもの売買が白紙解約になってしまうこともあります。
ですので、東京・神奈川の市街化調整区域で不動産の売却をお考えの際は、調整区域の不動産売買を専門としているドリームプランニングへご相談くださいませ。
4-2.市街化調整区域の不動産の相談・売却【日本全国編】
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