「住宅ローンを組もうとしたら、市街化調整区域だからと断られた」
「市街化調整区域の不動産は、金融機関のローンが下りないから買いにくい」
市街化調整区域などニッチな不動産買取を手がけていると、日々そのようなお声をいただくことがございます。
実は市街化調整区域でも、金融機関や条件によってはローンが組めるケースもあるのです。
今回は市街化調整区域の買取り会社の代表が、市街化調整区域のローン条件について分かりやすく解説いたします。
【この記事は、こんな方のために書いております】
- 市街化調整区域の購入でローンを検討されている方
- 市街化調整区域の購入でローンが組めずお困りの方
- 市街化調整区域の不動産でお悩みをお持ちの方
著者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年の創業より市街化調整区域の買取会社として日本全国の調整区域の買取をしてまいりました。
大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、5000万円位までの不動産であれば最短2日で買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
- なぜ市街化調整区域はローンが組みにくいのか
- 市街化調整区域でローンが組める可能性がある金融機関
- 市街化調整区域でローンが組めない金融機関
- 市街化調整区域でローンを組むなら、信金・労金・農協が有利
- 市街化調整区域でローンを組める条件まとめ
- 市街化調整区域のお悩みなら、まずはURUHOMEへご相談を
1.なぜ市街化調整区域はローンが組みにくいのか
冒頭で、金融機関や条件によっては市街化調整区域でもローンが組めると言いました。
ということは、原則的に「市街化調整区域はローンを組みにくい」ということになります。
なぜ市街化調整区域ではローンを組みにくいのでしょうか?
その理由をさぐるため、まずは市街化調整区域とは何なのかについて、分かりやすく解説してまいります。
1-1.市街化調整区域とは
そもそも、市街化調整区域とは何でしょうか。
市街化調整区域とは都市計画法に定められた区域区分の一つで、第7条第3項でこのように定義されています。
都市計画法 第7条
※参考:都市計画法|e-Gov法令検索
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
市街化を抑制すべき区域……何だか分かるような分からないような。つまり開発をなるべく抑えた方がいい場所のことです。
なるべく開発しない方がいい場所ですから、もちろん人が住むのは推奨されていません。
そこで人が住むための家を建てようとすると、さまざまな制約が立ちはだかってきます。
1-1-1.市街化区域とは
市街化調整区域が「市街化を抑制すべき区域」だと言うなら、反対に積極的に市街化すべき地域はあるのでしょうか。
都市計画法では区域区分の一つとして市街化区域(第7条第2項)が定められており、その条文がこちらです。
都市計画法 第7条
※参考:都市計画法|e-Gov法令検索
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
市街化調整区域よりちょっと長くなりましたが、こういう場所が市街化区域とされています。
(1)すでに市街地として賑わっている区域
(2)今後10年以内に優先して、計画的に開発すべき区域
行政当局としては積極的に開発して欲しい事情があるため、市街化区域の不動産は市街化調整区域に比べて売買が楽に行えるでしょう。
1-1-2.非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域内)とは
都市計画法第7条で定めている区域区分には3種類が存在し、これまで紹介してきた市街化調整区域と市街化区域、そしてそのどちらでもない「非線引き区域」があります。
区域区分を定めることを俗に「線引き」と呼んでおり、どっちにも線引きされていないから非線引き区域。実にシンプルですね。
ちなみにこの名称は正式なものではなく、都市計画法の条文では「区域区分が定められていない都市計画区域内」と呼ばれています。
ただ、実務的には自治体職員も不動産業者も「非線引き区域」と呼んでいるため、そう覚えておけば問題ありません。
土地利用の制限については「市街化調整区域よりはゆるい感じだけど、市街化区域よりは厳しめな感じ」と言ったところでしょうか。
何せどっちでもないので、開発許可や建築許可についてはケースバイケースで判断するしかないのが実情です。
1-2.だから市街化調整区域ではローンが組みにくい
ここまで、市街化調整区域を含む区域区分について解説してきました。
市街化調整区域に家を建てるのは大きな制約がかかっているため、不動産としての価値が大きく下がってしまいます。
買う側としては安く買えると言えなくもありませんが、金融機関の審査が厳しく、ローンを組みにくいというデメリットは否めません。
買い手がローンを組むとき、金融機関は融資の担保として、購入する不動産を抵当に入れます。
もしローンの返済が滞ったときは、不動産の抵当権を実行(借金のカタにとること)して競売にかけ、その売却金額を融資の返済に充当するのです。
そのとき資産価値の低い市街化調整区域の不動産では売却が難しく、また売却できたところで、損失の埋め合わせができません。
だから金融機関は市街化調整区域の購入にローンを組むことを嫌がる≒審査が厳しくなるのです。
市街化調整区域はローンを組むのが難しいと言われるのは、こういう事情によります。
2.市街化調整区域でローンが組める可能性がある金融機関
さて、市街化調整区域の購入には金融機関の審査が厳しくなり、ローンが組みにくい事情について解説してきました。
しかしローンの可否については金融機関ごとに判断が異なります。なのでもし市街化調整区域でローン利用を検討している時は、実際に聞いてみるのが一番です。
とは言え、片っ端から確認して回るのは大変なので、ある程度こちらで調べておきました。
みなさんが市街化調整区域のローンを検討する際のご参考にどうぞ。
- 2-1.みずほ銀行
- 2-2.りそな銀行
- 2-3.三井住友銀行
- 2-4.三菱UFJ銀行
- 2-5.住信SBIネット銀行
- 2-6.楽天銀行
- 2-7.SBI新生銀行
- 2-8.auじぶん銀行
- 2-9.イオン銀行
2-1.みずほ銀行
みずほ銀行では、建築確認申請が下りていれば市街化調整区域でもローンの申し込みは可能ということです。
ただ、申し込みは可能でも審査が通るかはまた別問題。ハードルが高いのは間違いないでしょう。
※参考:購入したい物件が調整区域になっているのですが、ネット住宅ローンの申込はできますか。 みずほ銀行
2-2.りそな銀行
りそな銀行について調べてみると、文中「※市街化調整区域内や都市計画区域外等の一部の物件に関しましては、お取扱いできない場合がございます。」とのこと。
市街化調整区域内の物件についてはローンの取り扱いができない場合がある、ということは、裏を返せば「取り扱いできる=ローンが組める場合もある」と言えます。
※参考:取扱いできない物件や地域はありますか?|住宅ローンのよくある質問|りそな銀行
2-3.三井住友銀行
三井住友銀行で市街化調整区域のローンについて問い合わせたところ、市街化調整区域であっても再建築可能な物件であればローンが組める可能性があるということでした。
ただし、審査のハードルが高いのは変わりません。また、新型住宅ローン「ネットdeホーム」などでは取り扱いできないようです。
※参考:新型住宅ローン『ネットdeホーム』取扱い開始について ニュースリリース:三井住友銀行
2-4.三菱UFJ銀行
市街化調整区域でもローンが組めるのか三菱UFJ銀行で問い合わせたところ「戸建ての中古物件であれば審査は可能」とのことでした。
ただし「属人性のある物件は不可、また事前審査を通過しても本審査でひっくり返る可能性もあります」ということです。
住宅ローンについて問い合わせる時は、最寄りの支店が担当しているとの事でしたから、それぞれご連絡ください。
※参考:三菱UFJ銀行 店舗検索
2-5.住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行でも、市街化調整区域のローンが組めるか確かめてみました。
すると「『第三者でも建物の建築をすることが可能か』を基準として所定の審査をさせていただきます。」とコメントがあります。
つまり「属人性がない物件ならば市街化調整区域でもローンを組むことが可能」と言えるでしょう。
※参考:〔住宅ローン〕 市街化調整区域の物件ですが、利用できますか?|よくある質問TOP|住信SBIネット銀行
2-6.楽天銀行
市街化調整区域でもローンが組めるかについて、楽天銀行では建築許可が下りる建物なら審査対象となるそうです。
2-7.SBI新生銀行
基本的に市街化調整区域の不動産でローンは組めないそうですが、開発許可を得た場合は例外となります。
※参考:市街化調整区域ですが、住宅ローンの申し込みはできるか教えてください。
2-8.auじぶん銀行
auじぶん銀行で市街化調整区域のローンについて調べたところ「所定の審査を行い、総合的に判断いたします。まずはお申込みをお願いいたします。」とのこと。
つまり市街化調整区域であってもフラットに審査するということでしょう。ただし、ハードルが高いのは言うまでもありません。
※参考:【住宅ローン】市街化調整区域の物件ですが、取扱われていますか。
2-9.イオン銀行
イオン銀行で市街化調整区域のローンを調べたところ、融資を受ける対象物件を抵当に入れることで、市街化調整区域でもローンが組めるそうです。
もちろん、その場合はイオン銀行を第一順位(※)の抵当権者とする抵当権を設定する必要があります。
(※)第一順位とは、抵当権が実行された時に得られた利益を受け取る優先順位と思って下さい。
市街化調整区域のほか、非線引き区域や準都市計画区域、都市計画区域外でもローンが組めるということです。
3.市街化調整区域でローンが組めない金融機関
よく「市街化調整区域ではローンが組めない」などと言われていますが、ハードルは高いものの不可能ではないようですね。
それでは続いて、はっきりと市街化調整区域ではローンが組めないとしている金融機関もピックアップしておきましょう。
3-1.PayPay銀行
物件の所在地が以下にあてはまる場合、当社の住宅ローンはご利用いただけません。
※参考:お客様サポート(個人のお客様) 【住宅ローン】物件の所在地によって審査が通らないことはありますか。
・市街化調整区域
・都市計画区域外
・離島
※上記以外の事由によって、取扱対象外となる場合もあります。
市街化調整区域ではローンが組めないことが、はっきりと示されています。PayPay銀行には相談する必要がありませんね。
3-2.ソニー銀行
「お取り扱い地域は日本国内全域の市街化区域です。市街化調整区域、いわゆる非線引き区域(*)などの区域および離島については、お取り扱いしておりません。」
※参考:【住宅ローン】 取り扱いの対象となる地域はどこですか?
市街化調整区域のほか、非線引き区域や離島でもローンを組めないようです。
やはり不便であるがゆえに資産価値が低く抑えられるため、担保にしにくいのでしょうね。
4.市街化調整区域でローンを組むなら信金・労金・農協が有利
市街化調整区域でローンを組むなら、先ほど紹介してきた有名な金融機関よりも、地元に根づいた信用金庫や労働金庫・農協の方が有利かも知れません。
なぜならこれらの期間は、地域に密着している人々を支援する目的で設立されており、必ずしも営利最優先ではないからです。
もちろん慈善事業ではないのでザルとまではいかないものの、大手金融機関に比べると審査のハードルがいくら低くなっているのは間違いありません。
元々、信用金庫の住宅ローンは、大手金融機関の審査基準に乗らなかった方を幅広く受け付ける傾向にあります。
なので、万が一大手銀行での審査が通らなかった場合、地元の信金にかけあってみると良いでしょう。
4-1.かながわ信用金庫
かながわ信用金庫でローンの条件を調べてみると、購入物件に第1順位の抵当権を設定することなどは書いてありますが、物件が市街化調整区域か否かは問わないようです。
なのでひとまずはローンの審査を受け付けてくれるとみていいでしょう。
※参考:かながわ信用金庫|住宅ローン
4-2.横浜信用金庫
それでは次に、横浜信用金庫はどうでしょうか。こちらも融資対象物件に第1順位の抵当権を設定するよう求めているものの、物件自体の区域区分には言及がありません。
じっさい審査に通るかはともかくとして、ローンの審査は受け付けてくれそうです。
4-3.湘南信用金庫
湘南信用金庫では、市街化調整区域のローンについて、どのような条件がついているのでしょうか。
・ご購入する不動産(お借り換えの場合は現在所有している不動産)を担保として差
※参考:住宅ローン|借りる|湘南信用金庫
し入れていただくことになります。
抵当権の設定と文言は異なりますが、購入する物件を担保に差し入れることは変わりません。
ここでも対象物件が市街化調整区域であるかどうかは問題にしていないようです。
4-4.中央労働金庫
中央労働金庫でローンの条件を調べたところ、こちらも購入する物件に抵当権を設定することは書いているものの、市街化調整区域かどうかについては明示されていません。
なので、市街化調整区域であっても審査の俎上にはのせてくれると思っていいでしょう。
もちろん、審査のハードルは決して低くはないものと思われます。
※参考:住宅ローンご利用にあたって|中央ろうきん(中央労働金庫)
4-5.農協(JAバンク)
農協が運営しているJAバンクでローンを組むとき、購入物件が市街化調整区域だとどうでしょうか。
こちらも融資対象物件に第1順位の抵当権を設定することが条件となっているようです。
市街化調整区域でも門前払いということはなく、審査自体は受け付けてくれるでしょう。
※参考:住宅ローン|JAバンク
5.市街化調整区域でローンが組める条件まとめ
以上、16の金融機関について市街化調整区域でもローンが組めるかを調べてきました。
あらかじめはっきりと断っているところ以外は、あくまでケースバイケースでローンを組める可能性があるようです。
大手金融機関は物件と人物(勤続年数≒返済能力など)の双方とも厳しく審査するのに対し、信金・労金・農協系は物件に比べて人物の方をより重視している印象が見受けられます。
なので市街化調整区域でローンを組む場合には、大手金融機関よりも地域密着を重視している信金・労金・農協系に相談した方がいいかも知れません。
6.市街化調整区域のお悩みなら、まずはURUHOMEへご相談を
ここまで読んできて、市街化調整区域でもローンを組める可能性があることはご理解いただけたかと思います。
今回の知識は、ご自身で市街化調整区域を購入する時はもちろん、所有している市街化調整区域を売却する際のアドバイスにも使えるでしょう。
買主「市街化調整区域はローンが組めないからなあ……」
売主「いえいえ、金融機関によっては、市街化調整区域でもローンを組めるケースもありますよ」
など、購入を迷っている相手の背中を押してあげることも可能です。
しかし市街化調整区域の売却を検討されているなら、当社URUHOMEを運営しているドリームプランニングへ買取りをご相談くださいませ。
あの手この手で市街化調整区域の不動産を売却するより、当社に買取らせれば一発で手放せてスムーズだからです。
ドリームプランニングは2005年の創業より、全国各地で市街化調整区域など訳アリ不動産の取引を手がけて参りました。今回も、お客様のお悩みを解決出来る事と思います。
買取り査定はもちろん無料、最短では2時間査定&2日で売却できたケースもございます。
市街化調整区域はじめ訳アリ不動産のスピード売却をお考えでしたら、ぜひドリームプランニングへご相談くださいませ。