「2024年4月から不動産の相続登記が義務化されたらしいけど、ウチの底地も何かしなくちゃいけないの?」
ニッチな不動産でおなじみドリームプランニングでは、日々底地の相続に関するお悩み相談が多く寄せられています。
今回は底地・不動産の相続登記について、世界一わかりやすく徹底解説いたしましょう!
【この記事で、こんなお悩みを解決できます】
- 底地・不動産の相続登記義務化って何をすればいいの?
- 底地・不動産の相続登記をしないとどうなるの?
- 相続登記が面倒な底地を売却&現金化したい!
著者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、創業より東京・神奈川を始め全国の底地の買取を行ってまいりました。
そのため、他社では買い取りできない底地でも再生できるノウハウがあり、2000万円位までの底地であれば最短2日でお買取りさせていただくことも可能です。
底地だけでなく、ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
- 相続登記の義務化とは?
- 底地を相続登記しないとどうなるの?
- 底地の相続登記って何するの?
- 底地の相続登記の必要書類は?
- 底地の相続登記にかかる費用は?
- 底地の相続人申告登記とは何?
- 底地の相続登記義務化でお悩みなら、URUHOMEへご相談を
1.相続登記の義務化とは?
それではさっそく始めましょう。
まずは予備知識として、相続登記とは何か、なぜ義務化されたのか等を解説してまいります。
1-1.相続登記とは(不動産登記法)
底地などの不動産を相続した場合、被相続人(相続された方=亡くなった方)の所有していた不動産が誰に相続されたのか、法務局では把握できません。
だから底地などの不動産を相続した方(相続人)は、自分に所有権が移転したことを登記する必要があります。
つまり相続登記とは「相続にともなって所有権が移転したことを登記する手続き」と言えるでしょう。
しかしこれまでは、底地など不動産の相続登記は義務ではありませんでした。
相続人にしてみれば、ちゃんと底地を自分のものに出来ていれば、わざわざ登記しなくても問題なかったのです。
1-2.2024年4月から相続登記が義務化
しかし、相続登記をしていないと、相続した底地などの不動産が自分の所有物だと保障されません。
極端な話、相続したものの登記せずに放置しておいた底地が他人に登記された場合、その底地は登記した他人のものとされてしまうのです。
また所有者が亡くなって相続登記がされていないと、現在の所有者が分からなくなってしまいます。
こうして「所有者不明土地」が全国で増加した結果、周辺の環境悪化や民間取引の阻害、公共事業の障害になるなど社会問題が深刻化してしまいました。
それらの社会問題を解決するため、2021年に不動産登記法が改正され、今まで任意(してもしなくても自由)であった相続登記が義務化されたという訳です。
1-2-1.【参考】不動産登記法第76条の2
不動産登記法 第76条の2
※参考:不動産登記法|e-Gov法令検索
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
3 前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
【意訳】相続によって不動産を取得した者は、(1)相続があったこと(2)相続によって自分が所有権を得たことを知った日から3年以内に所有権の移転登記をしなければなりません。遺贈(いぞう)で所有権を得た者も同様です。
(※以下略)
1-3.相続登記の義務化内容・対象は?
底地など不動産の相続登記義務化は、2024年4月1日に開始されました。
相続登記の義務化により、相続人は土地や建物などの不動産を相続によって取得したことを知った日から、3年以内に相続登記をしなくてはなりません。
(※自分が相続した日ではなく、自分が相続したことを「知った日」です。相続した事実を知らないまま、3年以上過ぎてしまうこともあるので……)
ちなみに、相続登記の義務化は、2024年4月1日より前(2024年3月31日以前)に相続された底地などの不動産にも適用されます。
相続した底地など不動産の相続登記をまだ済ませていない方は、相続した日から3年以内に相続登記を済ませましょう。
1-4.相続登記はなぜ義務化された?
先ほどもふれた通り、底地などの不動産を誰が相続したか分からないのは、行政当局にとって不便なのです。
【所有者不明土地が増え続けると……】
(1)固定資産税や都市計画税など、税金が取りにくい。
(2)所有者が分からないことで、権利調整などが難航。社会活動が阻害される。
(3)放置されている土地が増えることで、社会環境が悪化してしまう。
一番大きい理由は税金でしょうね。誰から税金をとればいいのかハッキリさせるために、底地など不動産の相続登記を義務化したのでした。
2.底地の相続登記しないとどうなるの?
さて、底地などの不動産について、相続登記が義務化されたことは分かりました。
それでは続いて、底地などの不動産を相続したのにもかかわらず、正当な理由なく相続登記しなかった場合はどうなってしまうのでしょうか。
- 2-1.相続登記しないと10万円以下の過料に(不動産登記法第164条)
- 2-2.過料とは何?
- 2-3.相続登記せず過料が科される流れは?
- 2-4.過料に不服がある場合は?(異議の申立て)
- 2-5.過料を払わないとどうなる?
- 2-6.相続登記しなくても罰せられない正当な理由とは?
2-1.相続登記しないと10万円以下の過料に(不動産登記法第164条)
結論から言うと、正当な理由がないのに相続登記の義務を怠った場合、10万円以下の過料(かりょう)に処せられる場合があります。
不動産登記法 第164条
※参考:不動産登記法|e-Gov法令検索
(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
2-2.過料とは何?
過料とは行政罰の一種類で、社会秩序の維持を目的として、法律違反者への制裁として金銭的負担を課す(強制する)ものです。
刑事罰の科料(かりょう)と発音は同じながら、刑事罰ではないため前科はつきません。
ちなみに「かりょう」だとどっちか分からないため、実務的には「あやまちりょう(過料)」「とがりょう(科料)」と呼び分けることもあります。
2-3.相続登記せず過料が科される流れは?
底地などの不動産を相続登記しなかった場合、このような流れで過料が科されることになるでしょう。
(1)登記官が相続登記義務違反者(相続したのに登記していないまま期限を過ぎた者)を発見した場合、登記官は当該違反者へ催告書を送付。相続登記するよう促します。
(2)登記官が促したにもかかわらず、催告書に記載された期限内に相続登記をしなかった場合、登記官は裁判所に対して相続登記義務違反の事実を通知します。
(※)ただし違反者が登記官に事情を説明し、相続登記をしなかったことに正当な理由があると認められた場合は通知しません。
(3)登記官から通知を受けた裁判所では、今回の案件が相続登記義務違反に該当するかを検討します。裁判において審査されるため、違反者は被審人(ひしんにん)と呼ばれます。
(4)検討の結果、今回の案件が相続登記義務違反と判断されれば、違反者に対して過料を科する旨の裁判が行われるのです。
(5)過料の金額は10万円以下(※不動産登記法による)とありますが、その範囲内であれば裁判所の判断で決定できます(上限金額は法律により異なる)。必ずしも最高限度額が科されるとは限りません。
(6)後日、検察庁から過料徴収の通知(過料決定謄本)が来るため、過料を納入してください。
※参考:過料決定についてのQ&A|裁判所
2-4.過料に不服がある場合は?(異議の申立て)
「こっちにだって事情があるのに、一方的に相続登記義務違反で過料なんておかしい!」
過料決定の通知を受けて、不満に思われる方もいるでしょう。
そういう方は過料決定謄本を受けとった日から1週間以内に異議の申立てをしてください。この期限を過ぎると、裁判が確定して不服の申立てはできなくなります。
異議の申立てをする場合、期限内(裁判所必着)に、過料を決定した裁判所あてに異議申立書を提出しましょう。
裁判所が異議の申立てを適法と判断すれば、再度過料について裁判してくれます。
【異議申立ての必要書類】
(1)異議申立書(事件番号・住所・氏名・電話番号・決定謄本受領日・異議理由を記載)
(2)証拠書類の写し
ただし異議理由についてはかなりハードルが高いため、めったなことでは認められないと覚悟しておくのが無難です。
2-5.過料を払わないとどうなる?
底地など不動産の相続登記義務違反で過料が決定されたけど、お金がないから払えない……そんなお悩み相談をよくいただきます。
相続登記義務違反によって過料を払わないと、どうなってしまうのでしょうか。
結論から言うと、民事執行法など強制執行の手続きによって処理されてしまいます。要するに「何が何でも取り立てる」のです。
中には「自己破産すれば過料を支払わなくていい」と思っている方がいるかも知れませんが、その認識はただちに改められることを強くおすすめします。
そもそも過料くらいの金額(相続登記義務違反では上限10万円)で自己破産する人はいないと思いますが、こうした罰を与える目的で科される過料については、自己破産しても免責されません。
自己破産したくらいで逃れられるのであれば、違反行為の抑止力にならないからです。実際にお金があろうとなかろうと、違反者に対する追及の手は決して緩められることはないでしょう。
2-6.相続登記しなくても罰せられない正当な理由とは?
さて、底地など不動産の相続登記は義務化されていますが、一定の要件を満たした(正当な理由がある)場合に限って相続登記しなくても罰せられないことがあります。
以下5つの事情が「正当な理由」として認められるので、該当する方は早めの行動に移りましょう。
(1)相続人があまりに多すぎて権利関係が複雑になっており、戸籍関係書類などを集めたり相続人を把握するのに時間がかかる場合。
(2)被相続人が書いた遺言(いごん)の有効性や、遺産の範囲などをめぐって相続人同士の争い(いわゆる争族)が起こっているため、誰が相続するか決まっていない場合。
(3)相続人が重病を患っているなど相続登記が困難である場合。
(4)相続人がDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)にかかる被害者であり、生命・心身に危険が及ばないよう避難を余儀なくされている場合。
(5)相続人が経済的に困窮しており、不動産の相続登記にかかる費用を負担できない場合。
これ以外にも、相続登記の期限内に相談すれば事情を酌んでくれる可能性もあります。
また上記の要件に該当していると思っても、当局に認められなければ相続登記義務違反と見なされてしまうので、放っておいてはいけません。
底地など不動産の相続登記義務は決して放置することなく、まず法務局で相談しましょう。
3.底地の相続登記って何するの?(具体的な手続き)
さて、底地など不動産の相続登記が義務化され、違反すると過料に処せられてしまうことは分かりました。
相続によって底地を得た地主様は、具体的に何をすればいいのでしょうか。
ここでは、底地など不動産の相続登記について、具体的な手続きを解説していまいります。
3-1.不動産の相続登記は大きく2パターン
底地など不動産の相続登記は、大きく①遺産分割協議で底地を相続した場合、②法定相続で底地を相続した場合の2パターンがあります。
【遺産分割協議】
相続人が複数いる場合、話し合いで誰にどのくらい遺産を分けるかを決めること。
【法定相続】
民法(第5編 相続。第882条~第1050条)にのっとって相続が行われること。
それぞれどのような違いがあるのか、これから解説していきましょう。
※参考:相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック):法務局
3-2.不動産の相続登記①遺産分割協議で底地を相続した場合
遺産分割協議によって底地などの不動産を相続した場合、以下の流れで相続登記を行うことになります。
【相続登記手続きの流れ・遺産分割協議で底地などを相続した場合】
(1)戸籍の証明書の取得
(2)遺産分割協議・協議書の作成
(3)登記申請書の作成
(4)登記申請書の提出
(5)相続登記完了
※参考:登記手続ハンドブック 登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編) 令和6年4月版
3-2-1.戸籍の証明書の取得
被相続人が亡くなったことで、相続が開始されたことを証明し、法定相続人を特定するために戸籍などの証明書を取得します。
3-2-2.遺産分割協議・協議書の作成
話し合いによって被相続人の遺産を誰がどれだけ相続するかを決定し、その内容を書面化しておきましょう。
3-2-3.登記申請書の作成
法務局HPからダウンロードした様式に基づいて登記申請書を作成します。
プリントアウトする時は長期保存に堪える上質紙(普通のコピー用紙等)を使用し、裏紙などはやめましょう。
後ほど解説する添付書類と一緒に、左とじに提出します。各ページに契印(けいいん)を忘れる方が多いので、よく確認してください。
手書きの場合は黒のボールペン(消せないインク)、PC出力の場合はすべて黒にします。
3-2-4.登記申請書の提出
登記申請書が完成したら、底地などの不動産を管轄する法務局(登記所)へ提出しましょう。
窓口でチェックしてもらい、登記申請書などに不備があれば指示を受けながら補足してください。
3-2-5.登記完了
不動産の相続登記が完了したら、法務局から登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。
これで底地などの不動産は確実に地主様のものとなりました。
3-3.不動産の相続登記②法定相続で底地を相続した場合
法定相続によって底地などの不動産を相続した場合、相続登記の流れは以下の通りです。
【相続登記手続きの流れ・法定相続で底地などを相続した場合】
(1)戸籍の証明書の取得
(2)登記申請書の作成
(3)登記申請書の提出
(4)相続登記完了
法定相続であれば遺産分割協議をする必要が無いため、民法の法定相続分に従って粛々と手続きをするぶん、比較的スムーズに進むでしょう。
※参考:登記手続ハンドブック 登記申請手続のご案内(相続登記②/法定相続編) 令和6年4月版
3-3-1.法定相続人とは?
法定相続人とは、民法の規定によって遺産を法定相続すべき人を指します。
具体的には以下の通りです。
【常に法定相続人】被相続人の配偶者
【第1順位】被相続人の子供、または直径卑属(孫、曾孫……)
【第2順位】被相続人の直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母……)
【第3順位】被相続人の兄弟姉妹、またはその子(甥、姪まで)
原則として、被相続人の配偶者+順位者で遺産を相続することになります。
※内縁関係の配偶者は法定相続人として認められないので注意しましょう。
よくあるのは夫が亡くなり、妻(配偶者)+子供たち(第1順位者)が遺産を相続するケースですね。
第1順位の者が一人もいない場合は第2順位、第3順位と相続していきます。
3-3-2.法定相続分とは?
民法の規定によって遺産を相続する人(誰が相続するか)が決まったら、次はいくら相続できるのかを確認しましょう。
配偶者+子供たちの場合:配偶者1/2、子供たち全員で1/2(均等割り)
配偶者+直系尊属の場合:配偶者2/3、直系尊属全員で1/3(均等割り)
配偶者+兄弟姉妹の場合:配偶者3/4、兄弟姉妹全員で1/4(均等割り)
ちなみに、法定相続人の中で相続放棄した人がいる場合は、人数に加えないので注意しましょう。
3-3-3.相続放棄とは?
被相続人が亡くなったからと言って、法定相続人が必ずしも遺産を相続しなくてはならないわけではありません。
相続は遺産(資産)だけでなく、借金(負債)などもまとめて引き受ける必要があるからです。
例えば遺産よりも借金の方が多かった、なんてケースではわざわざ相続したくありませんよね。
相続放棄をする場合は、自分が法定相続人となったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述(しんじゅつ)を行いましょう。
相続を放棄すると「最初から相続する権利がなかった(法定相続人ではなかった)」という扱いになります。
4.底地の相続登記の必要書類は?
さて、底地など不動産の相続登記をするにあたっては、法務局(登記所)に提出する書類を準備しなくてはなりません。
ここでは、相続登記に必要な書類をまとめて解説していきましょう。
【注意】相続のケースによっては、別途書類の提出を求められることがあります。詳しくは法務局でご確認ください。
※参考:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等 法務局
4-1.遺産分割協議による相続登記の必要書類
遺産分割協議によって底地など不動産を相続登記する場合の必要書類を確認しましょう。
あらかじめ集める書類と、それを基に作成する書類の2種類に分類されます。
4-1-1.【遺産分割協議による相続登記】集める書類①被相続人に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
戸籍謄本(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 出生から死亡まで、すべて必要 |
除籍謄本 | 〃 | 〃 |
改製原戸籍 | 〃 | 〃 |
住民票の除票 | 住所地の市区町村 | 登記簿上の住所及び本籍地の記載があるもの被相続人の登記上の住所が戸籍謄本等の本籍と異なる場合に必要 |
戸籍の附票 | 本籍地の市区町村 | 必要となる条件は住民票の除票と同じ住民票の除票とどちらかでよい |
4-1-2.【遺産分割協議による相続登記】集める書類②法定相続人に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 被相続人の死亡日以降に発行されたもの |
印鑑証明書 | 住所地の市区町村 | 遺産分割協議書に押印された印鑑に関するもの |
固定資産課税明細書 | 毎年4月ごろ送付 | 登記申請をする年度のもの |
住民票 | 住所地の市区町村 | 法定相続人のうち、新しく底地などの不動産を相続した方のみ必要 |
4-1-3.【遺産分割協議による相続登記】作成する書類
書類の名称 | 誰が作成? | 備考 |
登記申請書 | 新しい所有者 | |
委任状 | 新しい所有者と代理人 | 代理人が登記申請を行う場合に必要 |
遺産分割協議書 | 法定相続人 | 全員の協議・合意内容を記載印鑑証明書の印鑑を押印 |
相続関係説明図 | 新しい所有者or代理人 | 戸籍関係書類の原本還付を希望しない場合は不要 |
4-2.法定相続による相続登記の必要書類
法定相続によって底地などの不動産を相続登記する場合の必要書類はこちらです。
法定相続の場合でも、あらかじめ集める書類と、それを基に作成する書類の2種類に大分されます。
4-2-1.【法定相続による相続登記】集める書類①被相続人に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
戸籍謄本(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 出生から死亡まで、すべて必要 |
除籍謄本 | 〃 | 〃 |
改製原戸籍 | 〃 | 〃 |
住民票の除票 | 住所地の市区町村 | 登記簿上の住所及び本籍地の記載があるもの被相続人の登記上の住所が戸籍謄本等の本籍と異なる場合に必要 |
戸籍の附票 | 本籍地の市区町村 | 必要となる条件は住民票の除票と同じ住民票の除票とどちらかでよい |
4-2-2.【法定相続による相続登記】集める書類②法定相続人に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 被相続人の死亡日以降に発行されたもの |
固定資産課税明細書 | 毎年4月ごろ送付 | 登記申請をする年度のもの |
住民票 | 住所地の市区町村 |
4-2-3.【法定相続による相続登記】作成する書類
書類の名称 | 誰が作成? | 備考 |
登記申請書 | 新しい所有者 | |
委任状 | 新しい所有者と代理人 | 代理人が登記申請を行う場合に必要 |
相続関係説明図 | 新しい所有者or代理人 | 戸籍関係書類の原本還付を希望しない場合は不要 |
4-3.遺言書がある場合、相続登記の必要書類は?
被相続人が遺言書を作成していた場合、相続登記の必要書類はどのように違ってくるのでしょうか。
ここでも集める書類と作成する書類の大きく2種類を解説していきます。
4-3-1.【遺言書による相続登記】集める書類①被相続人に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
自筆証書遺言 | 自宅or法務局 | 法務局で保管されている場合は「遺言書情報証明書」が必要法務局以外で保管されていた場合は家庭裁判所での検認が必要 |
公正証書遺言 | 公証役場 | 家庭裁判所での検認は不要 |
秘密証書遺言 | 自宅など | 家庭裁判所の検認が必要 |
戸籍謄本(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 出生から死亡まで、すべて必要 |
除籍謄本 | 〃 | 〃 |
改製原戸籍 | 〃 | 〃 |
住民票の除票 | 住所地の市区町村 | 登記簿上の住所及び本籍地の記載があるもの被相続人の登記上の住所が戸籍謄本等の本籍と異なる場合に必要 |
戸籍の附票 | 本籍地の市区町村 | 必要となる条件は住民票の除票と同じ住民票の除票とどちらかでよい |
4-3-2.遺言書の種類を簡単に解説
【自筆証書遺言とは】
文字通り、被相続人が自筆で書いた遺言書。法務局またはそれ以外の場所で保管しておきます。
自宅保管すれば費用はほとんどかかりませんが、内容・書式不備による無効や、第三者による破棄・盗難に注意しなければなりません。
また、遺言書の存在を誰にも話さないまま亡くなってしまうと、そもそも遺言書を見つけてもらえない可能性もあります。
【公正証書遺言とは】
被相続人の口述を公証人が記録・作成した遺言書を公証役場で保管しておくものです。
法的有効性はほぼ確実、盗難などのリスクはないし、家庭裁判所での検認も必要ありません。
ただし、遺言書を作成した公証人にだけは遺言書の内容を知られてしまいます。
【秘密証書遺言とは】
公証人にも遺言書の内容を知られたくない場合、遺言書の表面(封紙)だけを公証役場で作成してもらい、遺言書の内容は秘密にしておける秘密証書遺言も検討しましょう。
公証役場では封紙の控えだけが保存されるので、遺言書の存在は示しつつ、具体的な内容は誰にも知られません。
ただし、秘密証書遺言の原本は自分で保管しなければならないため、保管方法によって盗難や紛失などのリスクがあります。
4-3-3.【遺言書による相続登記】集める書類②新所有者に関する書類
書類の名称 | どこで入手? | 備考 |
戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) | 本籍地の市区町村 | 被相続人の死亡日以降に発行されたもの |
固定資産課税明細書 | 毎年4月ごろ送付 | 登記申請をする年度のもの |
住民票 | 住所地の市区町村 |
4-3-4.【遺言書による相続登記】作成する書類
書類の名称 | 誰が作成? | 備考 |
登記申請書 | 新しい所有者 | |
委任状 | 新しい所有者と代理人 | 代理人が登記申請を行う場合に必要 |
相続関係説明図 | 新しい所有者or代理人 | 戸籍関係書類の原本還付を希望しない場合は不要 |
5.底地の相続登記にかかる費用は?
底地など不動産を相続した場合、相続登記にかかる費用にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、不動産の相続登記にかかる費用を確認しておきたいと思います。
5-1.必要書類の取得費用
先ほど、底地など不動産の相続登記に必要となる書類を紹介しました。
各種証明書の発行手数料は、1通あたり数百円です。
【必要書類の発行手数料例】
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 450円/通
除籍謄本(除籍全部事項証明書) 750円/通
改製原戸籍謄本 750円/通
戸籍の附票(写し) 300円/通
住民票の除票(写し) 約200~300円/通(自治体により異なる)
住民票の写し 約200~300円/通(自治体により異なる)
印鑑証明書 約200~300円/通(自治体により異なる)
固定資産評価証明書 約200~400円/通(自治体により異なる)
大した金額でもないように感じられるかも知れませんが、相続人が一人しかいないケースはあまりないため、数倍にもふくれ上がってくるでしょう。
また、被相続人にしても何度か転籍(戸籍を移転すること)していたり、相続人が被相続人よりも先に亡くなっていたりすると次の相続が発生してしまいます。
そうなると、戸籍だけでも数十通単位で必要となることも珍しくありません。
また、戸籍謄本は被相続人や相続人の本籍地でないと取得できないため、現地までの交通費や郵送料金もかかってきます。
夫が亡くなり、妻と子供たちだけで相続するといったシンプルなケースでも数千円、相続関係が複雑化してしまっていると数万円以上の出費となることもあるでしょう。
5-2.相続登記の登録免許税
底地など不動産を相続した場合は、相続登記にかかる登録免許税も納付しなくてはなりません。
登録免許税の計算は、底地など不動産の固定資産税評価額に登録免許税率(1,000分の4=0.4%)をかけて求めます。
例えば底地(土地)の固定資産税評価額が2,000万円であれば、その金額に0.4%(0.004)をかけて80万円が登録免許税の納付額です。
5-2-1.遺贈の場合は、登録免許税の税率が5倍の2%に!
被相続人が亡くなる時、遺言によって法定相続人以外の第三者に贈ることを遺贈と言います。
この遺贈によって底地などの不動産を相続した場合、登録免許税の税率は0.4%⇒2%(1,000分の20)、何と5倍にはね上がるのです。
先ほど解説した底地の固定資産税評価額が2,000万円のケースだと、80万円の5倍で400万円もかかります。
法的な権利がないのに底地など不動産を相続できるのだから、そのくらいの負担は甘受すべき……そんな行政当局の声が聞こえてきそうですね。
5-3.司法書士へ支払う報酬
底地など不動産の相続登記を行う場合、自分でやってもいいのですが、非常に労力がかかります。
そこで多くの方は司法書士に相続登記の代行をお願いすることになるでしょう。
この司法書士に支払う報酬はおおむね5~15万円が相場となっています。ただし、司法書士の報酬金額は自由化されているため、実際の報酬金額は依頼を検討している司法書士へ直接お問い合わせください。
また、今回の底地相続がシンプルか複雑かなど、ケースバイケースで報酬金額が加算されるパターンも少なくありません。
必要書類の取得などについてもきちんと手間賃が含まれるため、少しでも安くすませたいなら、自分で出来る部分は自分でやっておくのがいいでしょう。
5-4.その他の諸経費
先ほども少し触れたとおり、底地の相続登記には現地へ赴くための交通費や必要書類の郵送料(取り寄せる場合)など、さまざまな諸経費が発生します。
つい見落としがちですが、こうした出費についても気づけば大きな金額になってしまうものです。
こだわり過ぎるとキリがないものの、なるべくコスト意識を持って相続登記を行うといいでしょう。
6.底地の相続人申告登記とは何?
底地など不動産の相続登記義務化にともない、相続登記をスムーズに促進するために相続人申告登記という制度が2024年4月1日から創設されました。
相続人申告登記とはどういう制度なのか、その方法などについて解説しておきましょう。
6-1.相続人申告登記の方法は?
相続人申告登記の方法は、相続人が相続する底地などの不動産を特定し、法務局に以下を申告することで行います。
(1)その底地など不動産について、相続が開始されたこと
(2)自分がその底地など不動産の相続人であること
相続人申告登記に際しては、戸籍謄本などの必要書類を添付して、自分が底地など不動産の相続人であることを相続登記義務化の期限内(3年以内)に申告しましょう。
より詳しいことを知りたい場合は、以下のページも参考にご確認ください。
※参考:法務省:相続人申告登記について
6-2.相続人申告登記を行うべき場合は?
相続人申告登記は、相続登記義務の期限が迫っている場合などに、相続登記義務を果たすために利用することが想定されています。
相続した底地などの不動産を売却したり、抵当権を設定したりしたい場合は、相続登記を済ませなくてはなりません。
なるべく早めに相続人同士で遺産分割協議をまとめ、相続登記義務を果たしておくのがおすすめです。
6-3.相続人申告登記は誰が行う?
相続人申告登記は、底地など不動産を相続した全員が行わなくてはなりません。
基本的には底地など不動産を相続した一人ひとりが申告登記しなくてはなりませんが、複数の相続人が協議した上で連盟の申出書を作成・提出も可能です。
どのみち義務を果たさねばならないなら、みんなで相続登記をすませてしまった方が気が楽かも知れませんね。
7.底地の相続登記義務化でお悩みなら、URUHOMEへご相談を
以上、底地など不動産の相続登記義務化について、世界一わかりやすく徹底解説して参りました。
正直なところ、相続登記の義務化については複雑かつ奥が深いので、ここでは語りつくせません。
もし皆様が、相続された底地など不動産の相続登記義務化でお悩みなら、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングへ売却してしまうのも一つの手でしょう。
当社は2005年の創業以来、神奈川・東京を中心に日本全国の底地買取業者として、皆様の底地売却をお手伝いして参りました。
今回も、皆様が相続登記義務化でお悩みの底地売却についてお役に立てることと存じます。
底地の買取査定は完全無料。最速のケースでは、底地買取のご相談をいただいてから2時間で査定完了、2日で売却できたこともございました。
相続登記義務化でお悩みの底地がございましたら、ぜひドリームプランニングへご相談くださいませ!