市街化調整区域の売買で許可が必要な時について
「市街化調整区域の不動産を持っている」
「調整区域の売却をするときに許可が必要と言われた」
「土地を売るのに許可が必要ってどういう事?」
あまりピンと来ていない方もいらっしゃると思います。
しかし、市街化調整区域で不動産を売却するとき
「都市計画法の許可」か「農地法の許可」が必要になることがあります。
今回、それぞれどのような時に許可が必要か
市街化調整区域などの不動産売買を専門とする不動産業者の社長が詳しく解説いたします。
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、
東京・神奈川の市街化調整区域などの特殊な不動産を専門的に取り扱うため、
多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
当サイトURUHOMEは、私達の積み上げてきたノウハウを
不動産のお悩みを抱えていらっしゃる方々の問題解決に少しでもお役に立てればと思い、
「ニッチな不動産のお悩み解決サイト」として立ち上げたものです。
大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、
無料査定を行い、5000万円位までの物件であれば最短2日でお買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.市街化調整区域での不動産売却は許可が必要?
市街化調整区域で不動産を売却するとき、「都市計画法の許可」か「農地法の許可」が必要になることがあると冒頭でご説明いたしました。”なることがある”と言っているのは、もちろん必要がない事も多々あるからです。
まず最初に、どんな時に許可が必要になるか、ご説明してまいります。
1-1.市街化調整区域に住む親族の分家として建てた住宅などを売却するとき
市街化調整区域内に居住する親族の本家から分かれて、分家として世帯を新たに必要とする住宅を「分家住宅」といいます。本来は市街化調整区域内では建物を建築できないのですが、こうした分家住宅は建物を建てられることが多いのです。
これは、「本家が市街化調整区域に土地を保有しているのに、別途、市街化区域に土地を求めさせることが適当ではない」「分家の世帯構成員の生活権を保障する必要がある」という観点の元、分家住宅の建築は、「周辺環境と調和のとれた範囲内であれば、市街化を促進するものではない」と考えられているからです。
しかし、こうした特定の人のみが利用できるための許可(「属人的許可」などと言います)については、他の人に売却することも賃貸することも出来ません。
こうした属人的許可の例は以下表の通りです。
属人的許可がされる例 | 呼称 | 許可されたときの状況 |
---|---|---|
農林漁業従事者のための住宅 | 農家住宅など | 市街化調整区域内で農業を営む方の 居住のための建築物 |
世帯構成員の住宅 | 分家住宅など | 市街化調整区域の指定以前から 親族が住む本家から分かれて、 分家として居住するための建築物 |
収容移転により建築された住宅 | 代替建築物 | 土地収用法により市街化調整区域内の建物を 移転しなければならなくなったために 代わりとして建てた建築物 |
万が一、やむを得ない事情により建築物の使用者を変更する場合、開発審査会で許可を得ることで使用者の変更が出来ることがあります。
1-1-1.属人性とは?
属人性とは
市街化調整区域内において、建築物の用途、若しくは利用する人の属性によって許可された建築物をいいます。
属人性のある建築物は、ある特定の人が特定の用途に利用するために許可されたものであり、許可を受けた人以外が利用すると都市計画法違反になります。
1-1-2.農家住宅とは?
農家住宅とは
市街化調整区域内で農業を営む方の住居を言います。
農家住宅を建てるための用件は自治体によって異なりますが、
「自ら農家を営んでいる」
「一定以上の耕作面積があること」
「臨時的なものでないこと」などがあります。
1-2.市街化調整区域の農地を売却する時
市街化調整区域内の農地を売却する場合、いわゆる農地法の3条の許可か、5条許可が必要です。
3条許可とは、農地を農地のまま売却する際の許可の事で、この場合は農業従事者にしか売却できません。
5条許可とは、農地を転用するための売買で、農地転用が出来れば農業従事者以外も取得可能です。
農地法の許可 | 適用される場面 | 許可権者 |
---|---|---|
第三条の許可(権利移転) | 農地または採草放牧地について 所有権などを移転 | 農業委員会 |
第四条の許可(農地転用) | 農地を農地以外の土地にする場合 | 都道府県知事 |
第五条の許可(権利移転+転用) | 農地または採草放牧地を転用し 所有権などを移転 | 都道府県知事 |
市街化調整区域内の農地を売買する場合、ほとんどは農家以外の方に売却する5条許可が必要になります。しかし、農地転用は農地の区分によって難しいことが多く、基本的には、周辺が市街化している第三種農地以外の転用は難しい事が多いと考えた方が良いです。
農地の区分については、市町村の農業委員会で確認できますので、農地転用を考えている場合は農業委員会に問い合わせてみましょう。
農地区分 | 区域の内容 | 農地転用の許可 |
---|---|---|
農用地区域内農地 | 農業を推進するための「農業振興地域」のうち 農用地の利用確保として定められた区域 | 農地転用 原則不許可 |
甲種農地 | 10ヘクタール以上の特に良好な営農条件を 備えている農地。農業公共投資から8年以内の農地 | 農地転用 原則不許可 |
第1種農地 | 10ヘクタール以上の規模の一団の農地や 土地改良事業などの対象となった農地、 生産性の高い良好な営農条件の農地 | 農地転用 原則不許可 公共性の高い事業の用に 供する場合等は許可 |
第2種農地 | 駅から500m以内にあり、市街地化が見込まれる農地、生産性の低い農地 | 第3種農地に立地困難な場合等に農地転用許可 |
第3種農地 | 駅から300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地 | 許可 |
2.市街化調整区域の売買で許可が必要か確認するには?
市街化調整区域の売買で、許可が必要か確認する時は「属人的許可によって建てられているか」「地目が農地かどうか」を下記のような手順で調べる必要があります。
まず、法務局などで謄本や評価証明を調べ、現地の利用状況を鑑みたうえで、明らかに宅地の場合などは売買の際は、農地法の許可は不要で土地売買が可能です。(都市計画法の許可は別です)
また、登記簿の地目や現況が宅地であっても農家や分家のための住宅など、属人性によって許可されている住宅の場合、売買には都市計画法の許可が必要になってきます。属人的許可かどうかは、不動産の最寄りの市町村の調整区域課などで調べる事が出来ます。
あるいは、登記簿上の地目や現況が田や畑の場合は、最寄りの市町村の農業委員会で、農地の区分を確認し、転用できるかどうかも調べることができます。
順序 | 必要なもの | 取得場所 | 確認事項 |
---|---|---|---|
1 | 土地登記簿謄本 | 最寄りの法務局 | 地目が田、畑でないか |
2 | 評価証明 | 最寄りの市町村税務課等 | 地目が田、畑でないか |
3 | 都市計画法の開発許可、 建築許可を証する書類 | 最寄りの市町村調整区域課等 | 建築の際、属人的許可に よって建てられていないか |
4 | ― | 農業委員会 | 農地区分の確認 |
3.市街化調整区域で不動産を売却したいときは
市街化調整区域での土地売買は、上記のように属人的許可など、知らずに売買すると都市計画法違反になってしまうこともあり得ます。
都市計画法に違反した場合、購入者が自らの責任において是正しなければなりません。場合によっては、建築物の除去などの命令を受け、罰則が適用される場合があります。
知らずに売買した場合、結局は購入者は利用できない土地、建物を入手することになるため、後々訴訟などになってしまうことも考えられます。
不動産業者の中には、こういった事を知らずに売買してしまう会社も少なくありません。ですので、市街化調整区域内の不動産を売却する際は、市街化調整区域専門の不動産会社に売却を依頼しましょう。
3-1.市街化調整区域の買取ならドリームプランニング
ニッチな不動産でお馴染み「URUHOME」を運営する株式会社ドリームプランニングは、創業より18年以上もの間、市街化調整区域などの売却の難しい不動産に特化して買取をさせていただいてまいりました。
おかげさまで、東京、神奈川を中心に日本全国で市街化調整区域の不動産の買取において、新聞やネットニュースなどでもご紹介いただき、ご好評いただいております。
調整区域の不動産売買はご説明してまいりましたように、許可なく売買してしまうと知らずに都市計画法違反になってしまうこともありますが、不動産業者の中にはこれを知らない会社さんも多数存在します。
ですので「どこに相談したらよいか分からない」と相談出来るところもなく困っていらっしゃる方は、是非お気軽にご連絡くださいませ。
3-2.市街化調整区域が得意な不動産業者を探したいならウチカツ
”不動産SNS”でお馴染み「ウチカツ(UCIKATU)」は、市街化調整区域、農地、山林など、売却が特に難しい不動産などを得意とする不動産業者に、匿名かつ無料で相談できる不動産サイトです。
一般的な一括査定サイトの場合、不動産業者の利用料が高額なため、そもそも市街化調整区域の売却を得意としている不動産業者は極めて少ない上、査定の前に相談することができず、個人情報をさらけ出して詳しくもない会社に査定してもらうしかありません。
しかし、ウチカツは不動産業者から利用料を頂いていないSNSのため、市街化調整区域に詳しい不動産業者も多数登録していて、まず匿名で相談することも可能です。
下記のリンクから相談フォームに入力し不動産の相談をすると、複数の不動産会社の回答の中から、気になる回答の不動産業者に直接お問い合わせできますので、ぜひ利用してみてください。
更に、ウチカツでも不動産の売出価格の査定や、買取価格の査定もすることが出来ますので、是非ご利用なさってくださいませ。