地目『山林』と『原野』どのように違うか解説いたします
登記簿上の地目はどのように決まるのでしょう?山林と原野、どこがどのように違うのか気になる方もいらっしゃると思います。
それぞれの地目がどのように決まっているか、雑種地と何が違うのか、課税はどうなっているのかを現役不動産屋社長が解説いたします
1.地目『原野』と『山林』の違いについて
1-1.地目は不動産登記事務手続準則で定められております。
地目は不動産登記事務手続準則第68条で次のように定められております。
次の各号に掲げる地目は,当該各号に定める土地について定めるものとする。この場合には,土地の現況及び利用目的に重点を置き,部分的にわずかな差異の存するときでも,土地全体としての状況を観察して定めるものとする。
wikiboooksより 不動産登記事務手続準則第68条
1-2.地目『山林』と『原野』について
山林は大木が立ち並んでいる土地で、原野は農地などに適さないためにそのままになっている低木や雑草が生えている土地、いわゆる原っぱのようなものです。
山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
原野 耕作の方法によらないで雑草,かん木類の生育する土地
wikiboooksより 不動産登記事務手続準則第68条9
1-3.地目『雑種地』について
山林や原野と少し似ているものに、地目雑種地があります。地目は全部で23あり、『田』『畑』『宅地』『学校用地』『鉄道用地』『塩田』『鉱泉地』『池沼』『山林』『牧場』『原野』『墓』『境内地』『運河用地』『水道用地』『用悪水路』『ため池』『堤』『井溝』『保安林』『公衆用道路』『公園』『雑種地』になっておりますが、雑種地については、他のいずれにも回答しない土地と定められております。
また、不動産登記事務手続準則第69条でも「遊園地,運動場,ゴルフ場、飛行場で建物が附随的なものであるとき」「競馬場内の土地の馬場」「テニスコート、プールの宅地に接続するもの以外」「鉄塔敷地又は変電所敷地」などは『雑種地』と定められております。
2.地目山林と原野の課税について
2-1.地目『山林』の課税評価について
地目『山林』は「純山林」「中間山林」「市街地山林」があり、評価額は純山林ほど安く、市街地山林ほど高くなります。
「市街地山林」は市街化区域内にある山林で、住宅地に隣接するような土地を指し、「純山林」は市街地から遠く離れた場所で、宅地の影響を受けない山林、「中間山林」は文字通りその中間の山林を指します
また、「保安林」に指定されると固定資産税が非課税になったり、相続税が優遇されたりもします。「特別緑地保全地区及び近郊緑地特別保全地区」も指定されると固定資産税が最大1/2になったり、相続税評価額が安くなることもあります。
2-2.地目原野の評価
地目『原野』も山林と同じく「純原野」「中間原野」「市街地原野」があり、評価額は純原野ほど安く、市街地原野ほど高くなります。
「純原野」とは、市街化調整区域内にあり、”隣接して主要な公道が存在しない””周囲が開発されておらず、該当する土地を開発することが容易ではない”等の条件にあてはまる土地を指し、「中間原野」とは、市街化調整区域にあるが開発が進んでやや地価が高くなっている原野、「市街地原野」とは、市街化区域内に存在している原野のことを指します。
保安林は原野にはないですが、山林のように「特別緑地保全地区、近郊緑地特別保全地区」に指定されると固定資産税が最大1/2になったり、相続税評価額が安くなることもあります。
地目山林と原野はわずかな違いですが、地目の判定に困ったときは土地家屋調査士や法務局に確認してみましょう。
著者情報
高橋 樹人