再建築不可を可能にする?!
【43条2項2号(但し書き)
包括同意基準、個別同意基準】とは?
「再建築不可物件を何とか建替えたいんだけど、建替える方法はある?」
「救済措置ってよく聞くけど、それってなに?」
↑これ本当によく相談を頂きます
再建築不可物件を所有や相続されて困っていらっしゃる方、いらっしゃいますよね。
物件をリフォームして賃貸をする事も出来ますが
ココで特別にご紹介する”裏ワザ”を使えば、建て替える事も
“場合によっては”可能です。
(自治体によって変わるので、場合によってはと先にお伝えします)
今回は、物件の間口が2m無い場合の救済措置として
不動産ツウの中で知られている43条2項2号(但し書き)についてご説明します。
不動産屋さんが良く使う「但し書き道路」っていうアレですね。
この救済措置は自治体によって内容が異なりますが、
「自治体ごとに何かしらの再建築不可を特例で建て替える方法を定めている」事が多いです。
再建築不可物件でお悩みの方には、最後までお読みいただけましたら幸いです。
著者情報

高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、
日本全国の再建築不可物件や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に取り扱うため、多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
当サイトURUHOMEは、私達の積み上げてきたノウハウを
「不動産のお悩みを抱えていらっしゃる方々の問題解決に少しでもお役に立てれば」と思い
「ニッチな不動産のお悩み解決サイト」として立ち上げたものです。
大変ありがたい事に日本全国から不動産のご相談を頂いており、5000万円位までの物件であれば最短2日でお買取りさせていただくことも可能です。
ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.再建築不可物件の救済措置って何
1-1.建築基準法上の道路に2m接道してない敷地は建物の再建築が出来ません
そんなのは知っているよという方は、この項は読み飛ばしてください<m(__)m>
しかし、家ってどこでも建て替え出来ると思っている方は要注意です。
実は、建て替え出来ない土地っていうのがあります。
これが、いわゆる再建築不可物件というやつですね。
家を建てるには色々法律があるのですが、建築基準法に接道義務というのがあり、次のような条文になっています。
建築物の敷地は、道路に2m以上接していなければならない(建築基準法43条)
「何?道路に2m接していれば良いんでしょ!」と思った方
そうではないのです。
ちなみにこれは建築基準法43条の一部で、
「接しているのが建築基準法上の道路じゃないときも再建築できません。」
(ちなみに、建物を建てるには建築基準法以外にも色々な法律が絡むので、
他の法律で建て替え出来ない事もあります)
「接しているのが建築基準法以外に接している場合や、そもそも道路にすら接していない場合」
こちらの記事を参考にして頂きたいのですが
今回ご説明するのは「2mの間口が無い場合」についての再建築可能にする為の救済措置のご説明になります。
1-2.様々な理由により再建築出来ない物件がある為、救済措置があります!
建築基準法が制定されたのは昭和25年です。
昭和25年以前は市街地建築法という建築基準法の前身となる法律がありましたが
「そもそも間口が2m無いと建物が建てられないなどという法律ではなかった」のです。
終戦が昭和20年で、当時の住宅事情はひっ迫してましたので
終戦から建築基準法が出来るまでに都心部では割と自由にバラックを建てていた方も多かったと思います。
昭和25年に建築基準法が出来て、「建物を建てるには敷地が2m以上道路に接していないと建て替えが出来ない」
と言われても急に建物が建て替え出来ないと言われたら皆さん困ってしまいますよね。
そこで、間口2m無い建物などに関しても、
「特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」
については「基準法上の道路に2m以上接道していなくても再建築が出来る」とされてます。
つまりイメージ的にはこんな感じかと思います↓
住民「戦争終わってやっとこさ建てた家なのに、道路に2m接していないから建て替え出来ないよと言われても困るっぺ」
役所「うーん。一応決まりだから、本当はだめだけど、救済措置として建て替えできる基準を作るよ」
でも、1回1回建築審査会で同意するかどうか決めるのも大変です。
そこで、自治体である一定の基準を定め「クリアしたら再建築が出来ますよ」
という事にしたのが今回ご紹介する「包括同意基準」と呼ばれる救済措置の始まりです。

この包括同意基準という救済措置が使われるようになったのが平成11年前後と最近です。
「厳密に基準法通り間口2m無いと建て替えを許可しないよ」という保守的な自治体と
「京都やし、町屋もおーいから建て替えてえーよ」という柔軟な自治体に分かれているようです。
もっと細かく言うと「包括同意基準」以外にも
「個別同意基準」というものがあります。
これにも基準があるのですが、包括同意基準よりより細かい内容になっており
許可をとれるまで時間がかかるのが特徴です。
こういった救済措置を利用することで、
再建築出来ない不動産も再建築できる可能性があるというのが、今回紹介する救済措置の概要です。
再建築不可物件の建替えや売却でお困りの方は
当サイトを運営する「ドリームプランニング」までお気軽にご相談下さいませ。
相談・査定はすべて無料で行います。
2.『再建築不可を可能にする?!』
包括同意基準、個別同意基準とは
2-1.包括同意基準とは『再建築の手続きを簡素化』
では、具体的に包括同意基準、個別提案基準とはどういったものなのでしょう?
まずは包括同意基準から説明いたします。
「包括同意基準」とは
建築基準法上の道路に2m接道していない物件について
「建築審査会が定めた一定の基準をクリア」をすれば
特定行政庁(県知事や市長)の許可を得て再建築出来るとしたものです。
「じゃあその一定の基準ってなに?」
と気になるところだと思うのですが
この基準は自治体によって異なります。
例えば、神奈川県では県の建築審査会で定めた包括同意基準があり
横浜市や川崎市でも建築審査会で定めた包括同意基準があります。
「県にも基準があって、市にも基準があるってどういう事?」
と思われるかもしれませんが
政令指定都市のような大規模な都市には市単位で基準を定めており
県ではなく市の基準をクリアしていれば再建築可能になるという事です。
これは、人口25万人以上の都市では市長が特定行政庁といって、
建築行政全般の行政行為を行っていて
その市町村によっての包括同意基準が個別に存在するためです。
県と市で異なる包括同意基準があった場合、市のものが適用されます
包括同意基準については、自治体によって全く異なるります。
※例えば神奈川県横浜市では間口1.5mで再建築出来る事がありますが、平塚や藤沢、川崎などは出来ません。

包括同意基準については、各自治体によって基準が異なるため
対象不動産の自治体に基準を確認してみましょう。
例えば横浜市を例に挙げると包括同意基準は次のようなものがあります↓↓
包括同意基準1号 | その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること。 |
包括同意基準2号 | その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道に2メートル以上接する建築物であること。 |
包括同意基準3号2 | 都市計画法第29 条の規定に基づく許可を受けた者が行う都市計画法第4条第12 項に規定する開発行為により築造される予定の道路に2m以上接する敷地に建築する建築 |
包括同意基準3号3 | 平成11年5月1日において現に存在する路線型の道等に接する敷地に建築する建築物【空地幅員1.8m以上、中心後退2m以上】 |
包括同意基準3号3の2 | 平成11年5月1日において現に存在する専用型の通路の終端等に接する敷地に建築する建築物【空地幅員1.5m以上、かつ、延長20m以下】 |
包括同意基準は自治体によって定められており
「間口1.5mあれば再建築出来る自治体」
「間口2m無いと再建築出来ない自治体」
など自治体によって異なります。
インターネットで検索する場合『43条2項 〇〇市』というキーワードで調べると、
建替えの為の同意基準が市町村のホームページに掲載されている事もあります。
また、自治体の建築課等に所定の相談表や詳細な資料持っていくと、
包括同意基準を取得することで再建築可能か教えてくれる自治体もあります。
2-2.個別同意基準とは
『月1回程度に開かれる建築審査会の承認を得ること』
次に包括同意基準で建て替え出来ない物件については
自治体によって個別同意基準という、かなりマニアックな特例を定めているところもあります。
「個別同意基準」とは
自治体によって「個別審査基準」「個別提案基準」などとも呼ばれます。
「包括同意基準」によって基準をクリアできない場合に、
月に1回程度開かれる建築審査会の審議で再建築出来るかどうか判断されるものです。
かなり特殊な個別案件の為、不動産屋でも知らない事が多いです
包括同意基準でも建て替えが出来ない案件でも
例外的に『建築審査会の同意を得て行政が認められたもの』
に関しては建て替えが出来る事となっております。
余談ですが、建築審査会では「間口2mが無い物件の建替え」(法43条)だけでなく
「用途地域によって建てられる建物の緩和」(法48条)
「低層住居専用地域の高さの限度の緩和」(法55条)
等についても審査しております。
つまり、かなり特殊な案件を個別で扱っているという事ですね。
建築審査会で審査する事は多岐に渡り
「すべてを個別に審査をするのも大変」という事で
『個別審査基準』を設けて、審査会の同意を得る為の基準を制定しているところもあります。

包括同意基準についてはある程度不動産屋や金融関係者の間では知られておりますが
個別同意基準というものは裏技中の裏技のようなもので、ほとんど知られておりません。
理由は、物件の担保評価も低くなり、ローンを借りれる金融機関も限りなく少なくなるためと
手続きが面倒なためで、実際はあまり利用されていないのが現状です。
※例えば神奈川県横浜市では以下のような個別提案基準を定めています↓↓↓
個別提案基準3-4 | 平成11年5月1日において現に存在する路線型の道等に接する敷地に建築する建築物【空地幅員0.9m以上1.8m未満、中心後退2m以上】 |
個別提案基準3-4-2 | 平成11年5月1日において現に存在する専用型の通路の終端等に接する敷地に建築する建築物【空地幅員0.9m以上、かつ、延長15m以下】 |
個別提案基準3-5 | 平成11年5月1日において現に存在する路線型の道等に接する敷地に建築する建築物【空地幅員0.9m以上、中心後退1.35m以上2m未満】 |
再建築不可物件の救済措置に関しては、自治体によっても異なります。
売却できるか悩んでいらっしゃるようでしたら
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相談・査定は無料でございます。