借地借家法第38条【定期建物賃貸借契約、一年未満の契約、契約を終了させる場合など絶対に知っておくべき決まり】について解説します
気に入った物件が定期建物賃貸借契約(定借)って書いてあるけど、どういう事?
今まで大家業をやっていて、賃借人に恵まれなかったので、定期建物賃貸借契約にしたい
定期建物賃貸借契約のメリット、デメリットって何?
そんな疑問にお応えすべく、借地借家法第38条【定期建物賃貸借契約】についてご説明いたします。
著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、
日本全国の再建築不可物件や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に取り扱うため、
多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
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1.定期建物賃貸借契約【借地借家法38条】って何?
1-1.定期建物賃貸借契約【借地借家法38条】って何?
建築物に賃貸借契約を設定する場合は、アパートや賃貸マンションなどの例によく見られるように2年程度の契約期間を設け、満了後も契約を続ける意志がある時は更新するというスタイルがよく知られています。
その一方で、これとは異なる契約形態も存在します。それが、借地借家法38条に基づく定期建物賃貸借契約です。
定期建物賃貸借契約の最大の特徴は、更新が行われないということです。当初合意した契約期間が満了すれば、貸し手と借り手の意志の如何に関わらず、契約は終了します。ただし、両者の合意があれば改めて再契約を結ぶことはできます。
この場合の契約期間は、両者の合意に基づいて自由に定めて良いとされています。
冒頭に掲げた一般的な普通建物賃貸借契約であれば、1年未満の期間を定めた場合には期間を定めない契約と見なすという規定がありますが、定期建物賃貸借契約にあっては書面で契約のみ期間1年未満可となります。したがって、月単位や週単位での契約も理論上は可能です。

1-2.定期建物賃貸借契約のメリット、デメリット
借りる側にとってのメリット、デメリットは、短期で借りたい方にとっては、定期建物賃貸借契約は安い賃料で借りれる可能性があるなどメリットがありますが、長期で住みたい方の場合、定期建物賃貸借契約は再契約出来ない可能性もあり、不利な契約になります。
貸す側にとってのメリットは、借主の建物の利用方法などについてトラブルがあった場合、再契約を行わない事が出来るというのが最大のメリットです。
貸主にとっては一度貸すと使いたくなったり、賃借人とトラブルになった場合においても、正当事由が無い限り、立ち退きをお願いできないというリスクを回避できる事は最大のメリットです。
1-3.更新をしない旨を書面で説明しないと無効
平成11年12月に公布された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって借地借家法38条「定期建物賃貸借契約」については次のように改められました。
つまり、「書面において定期建物賃貸借契約を行い」別の書面にて「建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了する」旨を記載し、書面を発行した上で説明しなければなりません。

2.定期建物賃貸借契約中の建物を解約するにはどうしたら良い?
- 2-1.貸主が契約更新をしない場合
- 2-2.借主が途中解約をしたい場合
2-1.貸主が契約更新しない場合
期間が満了すれば当然に解消されるこの契約ですが、一定の要件に該当した時は、終了の際に必要な手続きがあります。
具体的には、契約期間が1年以上の場合において賃貸人が賃貸借を終了するには、期間満了の1年前から6か月前までの間に賃借人に対して「期間の満了により建物の賃貸借が終了する」旨の通知を行わなければならないとされています。
この手続きを怠ると、契約の終了について賃借人側に対抗できません。場合によっては、再契約を黙認したものと見なされることもあります。
2-2.借主が途中解約をしたい場合
賃借人が契約を終了させる場合は、満了時に関する特別な規定はありませんが中途解約の際には注意が必要です。定期建物賃貸借契約は更新がない代わりに短縮もないというのが原則となっているため、基本的には中途解約ができません。厳密には中途解約は出来ても賃料は払い続けなければなりません。
ただし、床面積が200平方メートル未満の居住用建物であって、転勤や療養、親族の介護等やむを得ない事情がある時は解約を申し入れてから1か月経過した時点で契約は終了します。
平成11年の法改正によって、大家業をする方々にとって定期建物賃貸借契約はかなり身近なものになりました。定期建物賃貸借契約を結ぶ上での決まりをしっかり押さえた上で、契約をするようにしましょう。借主さんも定期建物賃貸借契約のメリット、デメリットを抑えた上で契約するようにしましょう。