生産緑地

2022年問題【5分でわかる生産緑地法改正】



2022年問題で『不動産価格は下落するか』『所有している場合、2022年以降解除すべきか』についてお答えいたします。

2022年問題という話をよく聞きませんか?2022年になると土地の価値が下落するらしい!一体なぜ?と思われる方もいらっしゃると思います。

また、2022年に生産緑地を解除できることとなり、解除すべきかどうか悩まれていらっしゃる方もいらっしゃると思います。

結論から申し上げますと「政策により2022年になっても不動産価格は暴落しない」と思われますし、2022年以降は生産緑地の利用要件が拡充されますので、資金的に余裕のある方は生産緑地として引き続き、利用されることをお勧めいたします。

その理由をこれからご説明してまいりますが、2022年問題とは何か?不動産価格に与える影響、2022年問題に備えて何をすべきかについて解説致します。

1.2022年問題とは何か?

1-1.1991年、三大都市圏の市街化区域内で保全すべき農地(生産緑地)以外の農地は、宅地並みの課税がされることとなりました。

都市計画法が1968年に制定されて以来、市街化区域内の農地の宅地化する為に、農地に宅地並みの課税を行うような政策が取られてきました。(農地所有者の反対により実際は宅地並みの課税が免除されることが多かったのですが)

その後、生産緑地法が1974年に制定、翌1975年に相続税納税猶予制度の創設、1982年に長期営農継続農地制度の創設がされ、市街化区域内の農地の税制面の優遇が行われてきましたが、都市の住宅不足解消の為、1991年の生産緑地法の改正によって三大都市圏においては、生産緑地地区内のみにおいて固定資産税の農地課税と相続税の猶予が適用されることになりました。(生産緑地地区ではない市街化区域内の農地は宅地並みの固定資産税が課され、相続税の納税猶予が出来ないこととなりました)

1-2.1991年以降、市街化区域内農地として残る生産緑地、宅地化してゆく市街化区域内農地に分かれる事になりました。

1991年の生産緑地法改正によって生産緑地に指定された市街化区域内の農家は農業に従事できなくなるような要因が生じない限り、30年間の間は農地として維持管理をすることにより、税制面の優遇が受けられることになりました。

生産緑地指定の要件として「農林漁業などの生産活動を営めて、継続可能で、面積が 500㎡以上であること」があります。しかし、いったん生産緑地に指定されると「指定後30年経過」か「農業等の継続が困難な場合」か「土地所有者が亡くなられた時」以外は生産緑地を解除できない事となりました。

生産緑地指定要件が厳しかったため、市街化区域内でも生産緑地に指定する農家、指定しない農家に分かれた結果、三大都市圏の市街化区域内の農地は少しづつ宅地化(市街化区域内農地―平成4年に30628ha→令和元年12月31日 12209ha)され、生産緑地に指定された農家はほぼそのまま宅地として残りました。(生産緑地―平成4年 15109ha→令和元年12月31日 12324ha)

これを考えると、いかに改正生産緑地法が生産緑地の市街化の抑制に貢献していたかが良くお分かりいただけると思います。

1-3.2022年に保全する農地が宅地化する可能性が高くなります。

1991年の生産緑地法改正から翌年までに市街化区域内の農家は生産緑地に指定するか否かの選択をする事が多かったのですが、生産緑地の解除期限を迎えるのが30年後の2022年の為、12324haの内約8割の農地が期限を迎え、その時に東京ドーム2097個分の土地が不動産市場に流入するのは?と言われております。


この結果、大量の戸建て用地・アパート用地・マンション用地が不動産市場に出回り、供給過多で不動産価格の大暴落をおこすと言われているのが「2022年問題」です。

都道府県都市数決定面積(ha)地区数
東京都273063.511121
神奈川県191293.18324
千葉県221069.33904
埼玉県371668.76918
茨城県86.8361
静岡県234.82054
愛知県341048.97851
大阪府341924.19234
京都府11770.82931
兵庫県8504.72665
奈良県12571.63036
和歌山県79273
生産緑地地区 平成31年3月1日現在(国土交通省 平成31年都市計画現況調査より)

2.2022年問題で不動産価格は下落する?

2-1.不動産価格の暴落が起こらないように2017年に生産緑地法が改正されました。

2017年の生産緑地法改正によって「生産緑地の面積を300㎡に引き下げ」「直売所や農家レストラン、製造・加工工場の設置が可能」「生産緑地の10年延長ができる特定生産緑地制度の創設」「生産緑地の賃貸借には農地法を適用しない」など、生産緑地を続けやすくする法改正となりました。

また。特定生産緑地に指定されない生産緑地に対しても、固定資産税が急激に上昇しないよう、課税価格を毎年20%ずつ、5年間で宅地並みの評価に上げていくこととなりました。

2-2.2022年になっても不動産価格の急激な暴落は起きない?!

1991年に生産緑地法が改正されてから現在に至るまで、「3大都市圏の市街化区域内の農地については15年で半減する位」のペースで緩やかに宅地化されてきた事や、前述しておりますように生産緑地法改正によっても生産緑地を続けやすく、不動産価格に影響が出ないような法改正となっている為、不動産価格への影響も限定的であると予想されます。

3.2022年に生産緑地を続けるべき?

3-1.生産緑地を解除した方が良い場合

生産緑地を続けたが良い方は次のような要件に当てはまる方です。

  • 農業を続けず、後継者がいない方で相続税の納税猶予をしていない方
  • 相続税の納税猶予をしており、農業を続けず、後継者がいないなどで納税猶予を受けられない方
  • 農業を続けず、アパート経営などをされたい方

生産緑地に指定されてから、納税猶予を受けていない方で、農業を続けず後継者のいない方であれば、いずれ売却されると思うので、特定生産緑地の指定を受けずに売却された方が良いかと思われます。これは次の世代に納税義務の問題を残さないようにする為であります。

また、相続税の納税猶予をしている場合でも農業の継続を考えられていない場合も生産緑地の指定から30年で売却せざるを得ないかと思います。

生産緑地に指定されている間、市街化区域内の他の農地がアパート経営などをされているのをみて、興味がある方も多くいらっしゃると思います。農家さんの1戸当たりの不動産経営所得は70%程度あることから、この機会に宅地化を検討されてみてもよいでしょう。

3-2.生産緑地を続けた方が良い方(特定生産緑地の指定を受けた方が良い場合)

  • 農業を続ける予定か、後継者がいらっしゃる方
  • 農業は続けないが、納税猶予をしていて人に貸したり、農家レストランなどを営んだりして特定生産緑地の指定を受けられる場合

特定生産緑地の指定を受ければ、10年ごとの更新制で税制優遇を受けながら営農を続けることが可能となります。その為、農業を続ける方や、後継者がいらっしゃる方は継続された方が税制面的に有利になります。

また、納税猶予を受けていて、引き続き受けることが可能な場合、生産緑地の指定を解除すると猶予されていた相続税に利子税(年3.6%)も加算して納めなければならないため、納税猶予を引き続き受けられる方は受けたほうが良いです。

4.2022年問題に備えて何をすべきか?

4-1.生産緑地を所有されている方

生産緑地を所有されている方は2022年に期限を迎える方が8割いらっしゃいます。そのような方々は今のうちから売却を検討されるか、農地として誰かに貸すか、農家レストランなどを営むかなどを検討される必要があると思います。

実際私の知っている農家さんでも栽培した野菜を使って料理を提供することを実験的に始められているところもございます。

4-2.2022年以降に不動産を取得しようとされている方

2022年問題が不動産価格に与える影響は少ないことはお話ししてまいりましたが、東京都内では西部(八王子や立川、町田、小平、清瀬など)、千葉では(船橋、松戸)、埼玉では(さいたま市、新座市、川越市、川口市)、神奈川では(横浜市、川崎市、秦野市、相模原市)、愛知では(名古屋市、一宮市)、大阪では(八尾市、栄市)、兵庫では(神戸市、伊丹市)が比較的生産緑地の多い地区です。ただ、このような場所でも、宅地として供給されてくるのは全体の5%程度と予想されるため、影響があっても本当に僅かだと思われます。

2022年に不動産が暴落するのでそのタイミングで購入しようと思っていらっしゃる方もいると思うのですが、それよりもスタグフレーションにより物価の上昇圧力のほうが強くなると予想されます。この記事を読んでいただいているような金融や不動産に興味がある方にはわかると思うのですが、コロナにより株価が一時的に暴落しましたが、金融緩和政策により市場に円が大量に流れ込み、貨幣価値が下がり株価や物価が上昇するためです。

借金返済のために紙幣を大量に市場に流通させ、経済は良くならないのに物価が上がっていくスタグフレーションの仕組みについては、知っている方も多いと思いますし、また別の機会にご説明できればと思っております。

いずれにしても、2022年問題では農家さんが今後の生産緑地の運営や解除について色々と頭を悩ませる事かと思います。

日本全国の土地運用についてご相談承っておりますので、お困りのことがございましたらお気軽にご相談くださいませ。

著者情報

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、フリーカメラマンを経て、某中堅不動産仲介業者で7年勤務、成績優秀者賞等を受賞、月間最高売り上げ1800万円。退社後、株式会社ドリームプランニングに入社、底地、借地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

URUHOME
BY
DREAMPLANNING CO.,LTD.
ニッチ不動産のプロである私達が
お困りの不動産を高値買取いたします
再建築不可
CAN NOT BE REBUILT
底地・借地
LAND・LEASED LAND
市街化調整区域
URBANIZATION CONTROL AREA
私道・階段
PRIVATE ROAD
Slider