「傾斜地・崖地に家を建てたいけど、基礎工事はどうするの?」
そんな悩みをお持ちの方は必見です!
今回は傾斜地・崖地の基礎工事について、工法・費用・注意点などを不動産取引のプロが徹底解説!
ネット上に転がっている知識だけでなく、実務上のノウハウも盛り込んで紹介してまいります。
これから家を建てる方や、傾斜地・崖地を売却したい方のご参考になることでしょう。
著者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、日本全国の崖・傾斜地や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に買取りするため、多数の不動産トラブルの相談を受けておりました。
当サイトURUHOMEは、私達の積み上げてきたノウハウを不動産のお悩みを抱えていらっしゃる方々の問題解決に少しでもお役に立てればと思い、「ニッチな不動産のお悩み解決サイト」として立ち上げたものです。
傾斜地や崖地など、ご売却にお困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.傾斜地・崖地における基礎工事の問題点
1-1.傾斜地・崖地工事の問題点①安全上の問題が高い
傾斜地・崖地の土地をこれから購入されて家を建てようという方は結構いらっしゃると思います。
崖といっても30度を超える角度をなす傾斜は崖と定義されるため(高低差1mであってもです)割と身近な所で接する機会があると思います。
宅地造成工事規制区域内でなければ厳しい安全基準である宅地造成工事規制法がかからず、建物が建築基準法に適合して入れば良いのですが、基準法に適合していれば必ず安全とも言えません。
私のお客様でも以前住んでいたお家が「昨年の台風で朝起きたら敷地の半分が崖崩れして無くなっていた」という方もいらっしゃっいました。
その方は敷地の方もきちんと土留めの工事をしておけば良かったと悔やみ、結局は買ったときの半分程の価格で何とか買い手さんが付き、手放したそうです。
近年の自然災害を考慮し、安全上のリスクや予算を考えた上で、建物だけでなくどのように傾斜地部分の安全対策をするか考えなくてはなりません。
1-2.傾斜地・崖地工事の問題点②費用が高い
崖地、傾斜地で基礎工事をする際、鉄筋コンクリートの基礎工法とした場合、結構な費用がかかります。
「車両がどこまで入っていけるか」
「傾斜が何度位か」
「残土がどの位の量になるか」
「近くに駐車スペースがあるか」
などで価格もかなり変わります。
例えば一宅地の工事だと、一番高かった工事で幅20m位、高さ2~4m位の所で、セットバックの為に擁壁の築造替えをしたときには1000万円以上かかりました。
基礎一体擁壁の場合はかなり安くできますが、高低差によっては同程度かかることがあります。
1-3.傾斜地・崖地工事の問題点③様々な法規制がかかる
崖地・傾斜地で基礎工事をする際には
「各自治体の崖条例」
「宅地造成工事規制法」
「急傾斜法」
「土砂災害防止法」
など、様々な法律をクリアしなくてはならない事が多いです。
これらはそれぞれ別の法律で許認可が必要だったり、技術基準が違う事がほとんどです。
そのため、建築まで時間がかかったり、許認可の為の費用が多くかかることがあります。
2.傾斜地・崖地で基礎工事をする際の費用
2-1.傾斜地・崖地で鉄筋コンクリートの基礎一体擁壁を施工する場合
傾斜地で基礎一体型擁壁を造る場合の目安となる価格は、国税庁の傾斜地の宅地造成費の金額表を参考にすると以下の通りです。
東京・神奈川・千葉 | 埼玉・茨城・群馬 | 静岡・愛知・三重 | |
3度超5度以下 | 18600円/㎡ | 18400円/㎡ | 18100円/㎡ |
5度超10度以下 | 22800円/㎡ | 22600円/㎡ | 22200円/㎡ |
10度超15度以下 | 34900円/㎡ | 34600円/㎡ | 33500円/㎡ |
15度超20度以下 | 49500円/㎡ | 49100円/㎡ | 47000円/㎡ |
20度超25度以下 | 54700円/㎡ | 54400円/㎡ | 52100円/㎡ |
25度超30度以下 | 57900円/㎡ | 57100円/㎡ | 55300円/㎡ |
上記表はあくまで参考になります。
具体的な例を挙げると、最近行った基礎一体型の擁壁工事の場合、普通のお家で高さ1.5m位、30坪位で残土処理も含め150万円位で施工出来ました。
また、以前行った工事ですが、下のような基礎一体型の擁壁工事を行い、基礎工事のみで50万円位でした。
2-2.傾斜地・崖地で鉄骨杭基礎工法を施工する場合
名称は色々とありますが傾斜地でよく使われる工法で、宅地を造成せずに杭基礎と鉄骨の基礎を一体化させた工法です。
造成費がかからない分安くできるため、傾斜や地盤にもよりますが、200~500万円位で出来ることが多いです。
山林にある別荘地など、傾斜がきつく宅地造成するほど利用頻度が少ない住宅の場合に良く採用される工法となっております。
平成の初めころは市街地でも同じような工法で家を建てておりましたが、最近はこのような工法で家が建てられる事は少なくなりました。
3.傾斜地・崖地で基礎工事をする際にどうすれば良いか?
3-1.崖の工事の場合一定の要件を満たせば自治体より防災助成金が支給される
防災補助金支給の要件は自治体によって結構異なります。
例えば横浜市の場合「市で定めた単価により算出した金額」又は「工事費の1/3」の内、いずれか少ない額で上限額が400万円という要件があります。
(川崎市は工事費用の1/3かつ上限300万円)
(横須賀市は工事費の1/2かつ上限500万円まで)
(大田区は工事費用の1/3かつ高さ5m以上の場合500万円まで)
・建築基準法又は宅地造成等規制法が定める基準に適合した、擁壁工事又は切土・盛土工事。
横浜市建築局企画部防災対策課より
・擁壁の築造に伴い原則として従前の崖と高さが変わらず、平坦地が広がらない工事。
・交付決定を受けた年度の2月28日までに完了報告書を提出することができる工事。
ただし、復旧工事又は市長が必要と認めた工事を除く。
横浜や川崎、横須賀等傾斜地の多い自治体には特別に、助成金に多く予算が当てられております。
例えば、藤沢市などは横浜の1/10程度の補助金しかありません。
藤沢市では防災補助金という名目でなく、「危険ブロック塀等の安全対策工事費助成制度」という名目になっており、工事費の1/2(上限30万円、5年間売買と譲渡は禁止)と全く要件が異なります。
自治体によって予算も要件も全く違うので、詳しくは自治体の建築課や土木課に確認しましょう!
3-2.前述した鉄骨杭基礎工法を使ってみる。
バブル期の建物など、新築住宅の着工戸数が現在の2倍程度あったころは、新築住宅でもこちらの工法が利用され、傾斜地の開発が行われておりました。
ですが最近では、定住する住宅であえてこの工法を使うことはほとんどありません。
別荘地などであれば鉄骨杭基礎は施工費用的にも、工期の短縮のために良く利用されております。
建築確認も取得できますが、あえてデメリットとしては、鉄骨が露出してしまうため経年劣化の進行が早く、鉄筋コンクリートの擁壁ほどの耐久性は見込めません。
4.傾斜地・崖地の土地を売却するには?
4-1.近くの不動産業者に相談し、傾斜地・崖地の買い手を探す
ここまで記事を読んでいただいた方は、傾斜地の基礎工事が大変でどうしても費用がかかってしまうのはお分かりいただけたかと思います。
売却する際には、近くの不動産業者に行き、不動産を売りに出す媒介契約を結んで売却する方法があります。
ただ、傾斜地や崖地は非常に売却が難しいため、売却が長期にわたるとその間に傾斜地でがけ崩れが起こってしまう可能性も無くはありません。
私が以前購入した不動産は、崖崩れでは無いですが、似たケースで売主さんが損害賠償請求をされたそうです。
後で知ったことですが、売却に出す少し前に、壊れたフェンスから人が転落して骨折したという事で、何ら過失もないのにその物件の所有者なだけで、病院代を請求されたそうです。
その時その売主さんは遠方に住んでおり、建物は賃貸で貸していたのにもかかわらず、所有者責任を問われたという事でした。
理不尽な事だとは思うのですが、不動産の所有者であるだけで所有者責任が生じるため、危険な崖は早く工事を行うか、売却することが賢明です。
4-2.傾斜地・がけ地の相談はウチカツ
近くの不動産業者を探すといっても、どこが傾斜地が得意かわからないですよね。
そんな時にお勧めなのが「不動産SNSウチカツ」です。
こちらは、傾斜地やがけ地の専門の不動産業者に匿名で相談ができるうえ、「買取価格査定」「予想成約価格査定」「売出価格査定」の3つの査定が選択できます。
また、相談に回答してくれる不動産業者様も無料で業者登録できるという誰もが完全無料で利用できる「業界初のサービス」です。
そして、不動産業者様も無料で利用できるという事で、全国の不動産業者が利用しているのが特徴です。
傾斜地、がけ地の不動産でのお困りごとや、どのくらいの価格で売れるのかなど、不動産で困ったら利用してみましょう!
4-3.傾斜地、がけ地の買取ならURUHOME
また、傾斜地を所有していて崖崩れが起こってしまい、歩行者がけがを負ったりしてしまった場合、なんらかの工事による崖崩れであれば傾斜地の所有者は「工作物責任」を負います。
ただ、自然のがけで所有者に過失がなければ所有者は責任を負いません。
工作物責任(こうさくぶつせきにん)とは、土地の工作物の瑕疵によって他人に損害を与えた場合に、工作物の占有者・所有者が負う賠償責任をいう。(民法717条)土地工作物責任ともいう。
原則として責任を負うのは工作物の占有者で、工作物の占有者が損害防止のために必要な注意義務を果たしている場合には工作物の所有者が賠償責任を負う。(民法717条但し書き)
wikipediaより 民法717条
717条1項は貸している家でも貸主が賠償責任をを負う可能性があるという事です。
しかし、自然のがけに関して「過失がない」と証明するのも難しいことですし、住宅地に今あるがけは何らかの工事によって生じた可能性が高いと言えます。
基本的に崖崩れによる事故は所有者か占有者の責任になってしまいます。
2019年発表の主な海溝型地震評価結果では、M7級の地震は「青森県東方沖及び岩手県沖北部」で90%程度以上、「宮城県沖」で90%程度、「茨城県沖」で80%程度と高い確率で予想されております。
何かあってからでは手遅れになってしまいますので、少しでも所有している傾斜地に危険を感じたら、きちんと責任をもって工事をしてくれる業者に買い取ってもらうのが安全です。
上記でご紹介したウチカツは日本全国の不動産相談が可能ですが、URUHOMEを運営するドリームプランニングでは、傾斜地・がけ地などのニッチな不動産を専門に買取を行っております。
宜しければこちらの無料査定だけでもご利用くださいませ。