連棟式住宅を所有されている方の多くは、切り離しについては『ただ単純に隣接する建物のみ許可をとれば良い』と思われているのではないでしょうか?

しかし、これは厳密には違います。そして、この事を知っている不動産屋も多くはありません。

隣接する建物所有者の許可を得たとしても、切り離すと裁判に発展してしまう事もあるのです。
そこで今回、当サイトURUHOMEを運営する不動産会社ドリームプランニングの社長が、連棟式住宅の切り離しルールや費用について解説いたします。

著者情報

連棟式建物の切り離しのルールと費用『99%の不動産屋が知らない』with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年より日本全国の連棟式建物などの特殊な不動産を専門的に買い取ってまいりました。
どんな連棟式建物でも買取りさせて頂きますので、お困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。

  1. 連棟式建物の切り離し費用
  2. 連棟式建物の切り離しのルール
  3. 連投式建物で困ったら?

1.連棟式建物の切り離し費用

1-1.連棟式建物の解体費用

解体費用はものによりますが、大体安いものでも80万円からです。

建物自体がつながっているため、一部手解体になるので一戸の解体だけでも200万円以上かかることもあります。

尚、解体は隣の壁も壊してしまうと大変なことになりますので、値段だけでなく信頼できる業者かどうかきちんと検討しましょう。

壁を壊さないとしても、連棟式建物を切り離すとどうしても切り離された側方向に対する建物の耐力が弱くなります。

それによって損害賠償請求をされることもあるので、とにかく解体の際は念には念を入れて工事するようにしましょう。

1-2.切り離された側の建物の壁の補修費用

切り離された側の建物ですが、壁の補修費用が必要になります。

どこで切り離すかにもよりますが「柱をきちんと補強し、断熱材、パネルを張る、サイディングを張る」という作業をすると100万円以上かかることもあります。

特に先ほどもご説明したように、柱をきちんと補強しないと解体した側に対する強度がどうしても弱くなりがちになってしまうので、壁の補修だけでなく柱も補修するようにしましょう。

また、基礎もつながっているため、基礎の補修も必要になる事もあり、もっと細かい事を言うと地中の配管も隣接地を通っていることもあります。

安さや速さで解体や建物の補修業者を選んでしまうと大変な事になるので、良い業者とのめぐり合わせが大事になります。

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2.連棟式建物の切り離しルール

2-1.連棟式建物の4/5以上の所有者の承諾が必要

連棟式建物の場合で敷地が他の所有者と明確に分かれている場合であれば『隣り合う建物所有者のみ許可を取ればよい』と思われる方も多くいらっしゃいます。

しかし、本来であれば区分所有法62条の建て替え決議が必要という判例もあり(東京地裁 平成25年8月22日)全住戸の所有者の4/5以上の許可を得たほうが安全です。

この判例については、「鉄骨3階建ての建物で元々は区分所有者全員で敷地を共有する予定であった」「解体工事を起因とする雨漏りが発生した」という経緯もあるため、必ずしも4/5以上の許可が必要とも言えません。

ですが、トラブルを避けるためには最低4/5以上、できれば全員の許可を得たほうが無難と言えます。

連投式建物の切り離しには『区分所有法の共有部分の処分』という解釈も出来るため紛争を避けることを考えた場合は、最低4/5以上、できれば全員の許可を取りましょう。

テラスハウスでも4/5以上の賛成が必要な事もあります
テラスハウス方式(敷地が明確に分かれている場合)でも4/5以上の賛成が必要な事があります。

集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

建物の区分所有等に関する法律 第62条 wikibooksより

2-1-1.連棟式建物切り離しの要旨(東京地判 平25・8・22)

 先ほど触れた東京地判 平25・8・22については、下記にご説明するように区分所有法を元に連棟式建物の切り離しによる、切り離された側の損害賠償請求権を肯定しています。

➤ 敷地が分かれている連棟式区分所有建物で、建物を分離して取り壊し、切り離された他の区分所有者より損害賠償請求をされた事案

この事案においては、独立した建物を建築した区分所有者Yに対して、他の区分所有者Xらが、切り離しによって屋上防水、外壁等に損傷を負い、高度地区制限に違反する違法建築物になったとして損害賠償請求されました。

 この裁判では、敷地が明確に分かれている連棟式建物についても、一部建物の区分所有者が分離、建替えを行うには、区分所有法の適用があることから、区分所有法6条、57条を根拠に561万円の損害賠償を認めました。

 このため、土地が分有である連棟式建物についても、切り離し、建替えを行うには、区分所有法の適用があることから、区分所有法62条の建て替え決議(区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数)が必要と考えられます。

第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

建物の区分所有等に関する法律 第6条(区分所有者の権利義務等)建物の区分所有等に関する法律 | e-Gov法令検索

第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。

 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。

 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。

建物の区分所有等に関する法律 第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)建物の区分所有等に関する法律 | e-Gov法令検索

2-2.切り離された建物が建築基準法に抵触しないようにする

切り離された建物についても以下のような事が守られないと後々トラブルの原因になります。

  • 建築基準法の接道義務(4m以上の道路に2m以上接道する事)
  • 斜線制限(北側や隣地、道路側の通風や採光を確保するために、建築物を真横から見たときに斜線で切り取ったような形態に制限する事)
  • 建蔽率・容積率

2-2-1.接道義務を守るとは?

接道義務とは、都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4mの建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地(土地)でなければならないという、建築基準法の決まりの事を言います。

つまり、間口が2m以上ないと建物が建てられないという事です。

例えば、隣の人の許可を取ったから、別に切り離しをしても大丈夫だろうと思って切り離したとします。

その後、土地を分筆した後に、建物を切り離して自分の建物を解体、建て替えたとします。

しかし、隣の土地も建て替え出来るような形で間口部分2m以上残しておかないと、隣接地の方の土地が建て替えられなくなったとしてトラブルに発展する事もあります。

そうならないためにも、隣接地の建物がきちんと間口2m確保できるように分筆しましょう。

第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

建築基準法 第43条(敷地等と道路との関係)建築基準法 | e-Gov法令検索
基準法上の道路に接道が必要
切り離す場合でも、全ての建物が建築基準法に適合しなければなりません。

2-2-2.斜線制限を守るとは?

斜線制限とは、通風、採光等を確保し、良好な環境を保つことが目的で、建物の各部分の高さに関する制限のひとつです。
建築物を真横から見たとき、空間を斜線で切り取ったような形態に制限をするため、斜線制限と呼ばれています。

連棟式建物の切り離しを行ったときも、隣接地の建物が北側斜線制限や、道路斜線制限、隣地斜線制限などを守れるような形にすることが望ましいと言えます。

〇道路斜線制限 ➤ 当該建物の前面道路の反対側の境界線から、一定の水平距離の範囲内においては、建物の高さを一定以下にしなければならないという規制であり、用途地域や容積率ごとに基準が決められています。

〇隣地斜線制限 ➤ 隣地境界線からの水平距離との関係で、一定の高層建築物の高さを制限する規制です。

〇北側斜線制限 ➤ 住居専用地域や田園地域において、北側隣地の日照、風通し等を確保するために、建物の北側部分の高さを制限するものです。

第五十六条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。(クリックで全文を表示)

 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
 当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が一・二五とされている建築物で高さが二十メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が二・五とされている建築物(ロ及びハに掲げる建築物で、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあるものを除く。以下この号及び第七項第二号において同じ。)で高さが三十一メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては二十メートルを、イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては三十一メートルを加えたもの
 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。) 一・二五(第五十二条第一項第二号の規定により容積率の限度が十分の三十以下とされている第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域以外の地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、二・五)
 近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(ハに掲げる建築物を除く。)又は商業地域、工業地域若しくは工業専用地域内の建築物 二・五
 高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの 二・五
 用途地域の指定のない区域内の建築物 一・二五又は二・五のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内又は第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域(次条第一項の規定に基づく条例で別表第四の二の項に規定する(一)、(二)又は(三)の号が指定されているものを除く。以下この号及び第七項第三号において同じ。)内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に一・二五を乗じて得たものに、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては五メートルを、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては十メートルを加えたもの
 前面道路の境界線から後退した建築物に対する前項第一号の規定の適用については、同号中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは、「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。)に相当する距離だけ外側の線」とする。
 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が十二メートル以上である建築物に対する別表第三の規定の適用については、同表(に)欄中「一・二五」とあるのは、「一・二五(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に一・二五を乗じて得たもの以上の区域内においては、一・五)」とする。
 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に二を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。
 建築物が第一項第二号及び第三号の地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、これらの規定中「建築物」とあるのは、「建築物の部分」とする。
 建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路若しくは隣地との高低の差が著しい場合その他特別の事情がある場合における前各項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。
 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
 第一項第一号、第二項から第四項まで及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
 第一項第二号、第五項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 隣地境界線からの水平距離が、第一項第二号イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては十六メートル、第一項第二号イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては十二・四メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
 第一項第三号、第五項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 隣地境界線から真北方向への水平距離が、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては四メートル、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては八メートルだけ外側の線上の政令で定める位置

▲ 接道義務についてはこちらで詳しく解説しています。

2-2-3.建蔽率・容積率を守るとは?

建蔽率とは「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」の事を指します。

一方、容積率は「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する延床面積(各階全てを足した面積)の割合」を算出し、制限するための基準になります。

連棟式建物を切り離す際には、切り離された側も厳密にいえば建蔽率・容積率を守るようにしなければなりません。

2-3.切り離しの際に4/5以上の所有者より同意書、承諾書をもらう

切り離しの際には言った言わないのトラブルに発展させないために『4/5以上、できれば全員の所有者より同意書、承諾書を取得したほうが安全』です。

また、その際に切り離された側の建物の壁の補修を誰の負担でどのようにするかも明記したほうが良いでしょう。

2-3-1.切り離し承諾書に記載する内容

承諾書に記載するのは以下のものを記載するようにしましょう。

  • 切り離しする土地、建物の地番・家屋番号
  • 切り離し後、土地も分筆するかどうか
  • 切りはなされた建物の壁の補修費用の扱い
  • 損害賠償の定め
  • 第三者にも同様の内容を継承させる旨

第三者に継承させる文言については、切り離しする側、された側が売却してしまったとしても、取得した方に覚書を継承させるために記載します。

2-3-2.越境の覚書も取得する

また、連棟式建物を切り離した場合、基本的に越境が残ることがほとんどですので、越境容認の覚書も交わすようにしましょう。

越境容認の覚書とは、現在の越境が生じている状態を認め、越境している側が新たに建物を建て直すときは越境を解消し、越境されている側はその時まで異議申し立てしないという内容のものです。

こうした覚書を交わすことで、切り離された側は越境を建て替えるまで容認してもらう事が出来ます。

安心して取引するためには、こうした細かいところまで取り決めをしておくことをお勧めいたします。

3.連棟式建物で困ったら

「連棟式建物を切り離して売却したい」「その際の費用を何とかしたい」など色々なお悩みもあるかと思います。

しかし、連棟式建物の建て替えは隣地以外の承諾が必要なことや、切り離し後の遵法性の担保など意外と難しいことを説明してまいりました。

切り離せたは良いものの、後々裁判に発展してしまったとなってしまっては、元も子もありません。

それなら、いっそのこと売却したいという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

もし連棟式建物の売却をお考えであれば、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングが、連棟式建物の不動産を積極的にお買取りさせていただいております。

2005年の創業より、年間300件ほどの連棟式建物や再建築不可物件の売却相談を頂いており、日本全国で連棟式建物の買取をさせて頂いております。

ですので、連棟式建物の売却をお考えの際は、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングへお気軽にご相談くださいませ。

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