「親の成年後見人になったけど、親の持っている不動産を持て余しているので、売却したい」
でも、どうやって売ればいいの?成年後見人になった方の多くが、そんな悩みを抱えています。
一生のうちで何度も経験することではないし、デリケートな問題だから周りに聞くのも気が引けてしまうでしょう。
そこで今回は、成年後見人が不動産を売却する流れや方法について詳しく解説してまいります。
監修者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
「成年後見人として不動産をトラブルなく確実に売却したい」とお考えの方は、当サイトURUHOMEを運営する「株式会社ドリームプランニング」のような難しい不動産の専門業者にご相談ください。
創業より18年にわたり、「成年後見人としての不動産売却」「成年後見人の選任が必要な不動産売却」など様々な不動産の買取をさせて頂いてきたため、あらゆる不動産を買取可能でございます。
経験豊富な担当スタッフが対応、買取りの他、売却のお手伝いもさせて頂いておりますので、お気軽に査定をご依頼くださいませ。
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- 成年後見人とは何?
- 成年後見人が不動産を売却するには?
- 不動産を売却するときの流れはどうなってるの?
- 居住用でない不動産を売却する時の違いはあるの?
- 成年後見人の不動産売却は誰に依頼する?
- 成年後見人の不動産売却ならURUHOME
1.成年後見人とは何?
このページを見ている方は成年後見人になられた方が多いと思いますが、そもそも成年後見人とは何でしょうか。
そして、成年後見人には何ができるのでしょうか。
簡単に紹介したいと思います。
成年後見人とは本人(成年「被」後見人)に代わって生活全般をサポートする役割です。
このサポートには不動産などの財産管理も含まれ、一定の条件を満たせば不動産の売却も可能となります。
1-1.意思能力がなければ不動産売買契約は無効
不動産の売却には意思能力が必要です。
意思能力とは有効に意思を表示する能力であり、この意思能力がない状態でおこなった法律行為は無効になってしまいます。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
民法 第3条の2
ちょっと堅苦しい言い方ですが、要するに「意思をハッキリ表示できない時の法律行為は無効」ということです。
例えば寝ぼけているとか酔っぱらっているとか、そういう時に重要な契約を結んでしまった場合の救済措置とも言えます。
そして成年被後見人となった方は、家庭裁判所から「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある(民法第7条)」と審判されています。
また堅苦しい言い回しになりましたが、つまり「認知症など、精神に障害があって、物事をきちんと認識・判断できない状態がいつも続いている」ということです。
物事がきちんと判断できない状態なのだから、そういう方(成年被後見人)が不動産の売却という重要な契約を結んでも無効になってしまいます。
だから今回、あなたが成年後見人としてサポートにつけられたのです。
しかし、必ずしも無効というわけではなく、意思能力があると判断された場合に限っては不動産の売却契約が有効となります。
1-2.意思能力があるかどうかの見分け方
せっかくの不動産売却契約が無効にされてしまわないよう、本人に対する意思能力チェックは非常に重要です。
それでは、意思能力があるかどうかをどのように見分ければよいのでしょうか。
意思能力の有無について、現状では明確な基準は定められておらず、個別のケースで判断するよりありません。
明らかに意識がはっきりしている場合はともかく、不安な場合は長谷川式(改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(ミニメンタルステート検査)、WAIS-IV(ウェイス4)などの知能検査を実施して、その結果を参考にするのもいいでしょう。
また、不動産売買の際には、司法書士がOKといえば売却すること自体は可能です。
ただ、意思能力が無いのにもかかわらず、売買契約がなされた場合、契約が無効になり売買代金の返還と場合によっては損害賠償請求をされてしまうことがあるので気を付けましょう。
2.成年後見人が不動産を売却するには?
民法によると、後見人は原則として被後見人に代わり、財産を管理・処分をする権限が与えられています。
後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
民法859条(財産の管理及び代表)
これは要するに「後見人は、後見される本人の財産の管理や処分について、本人と同じ権限を持つ」イコール「自分の財産のように自由に処分できる」ということです。
じゃあ本人の意思能力があろうとなかろうと関係なく、不動産を好き勝手に処分・売却できるんじゃないの?と思われるかも知れません。
しかし、この原則には例外があります
2-1.成年後見人による不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
第859条の3 (成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
民法では後見人が本人の財産を自由に監理・処分できるのですが、成年後見人が本人が住んでいる家と土地の処分することについては、ちょっとハードルが上がるのです。
売却するのはもちろんのこと、誰かに賃貸したりその契約を解除したり、家や土地を抵当に入れて融資を受けたりするためには家庭裁判所の許可が必要になります。
なぜこういう規定が設けられているのかと言うと、本人の住環境が大きく変わってしまうと、その心身に大きな影響を及ぼしてしまうからです。
皆さんも、人生の節目ごとに引っ越しで大変な思いをされた経験があるかと思います。
自分で承知していてさえそうなのに、高齢で認知症をもっている状態で受けるダメージは、私たちの想像を絶します。
だから民法でも配慮されているのですが、この「居住の用に供する建物又はその敷地」に該当するかどうかは、住民票など形式的な基準のほかにも以下が判断基準となるようです。
- 本人が生活の本拠として現に使用している
- 現在は使用していないが、過去に使用していた
- 現在は使用していないが、将来使用する可能性がある
こうした不動産については処分する必要性をはじめ、本人や親族の意向なども重要なポイントとなります。
例えば「生活費のために売らざるを得ない」「思い入れがある家だから、売らずにみんなで維持していきたい」などの事情を踏まえて、トラブルを避けるためにも十分な検討が必要でしょう。
これらの要素を家庭裁判所が総合的に判断し、許可・不許可が決定されます。
ちなみに、家庭裁判所の許可を得ないで成年被後見人が住んでいる不動産を売却した場合、その契約は無効になるので注意しましょう。
2-2.裁判所以外にも許可が必要になる場合はあるの?
成年被後見人が住んでいる不動産については、家庭裁判所の許可が必要なことは分かりました。
ところで、家庭裁判所以外にも何か許可が必要になる場合はあるのでしょうか。
許可とは少し違いますが、本人の後見について成年後見人のほかに後見監督人がついている場合、その後見監督人の同意を得なければなりません。
後見監督人は成年後見人が本人をきちんと後見できているか、監督する役割を担っています。
また、後見人が行う事務の内容をチェックし、定期的に家庭裁判所に報告します。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる。
民法 第849条(後見監督人の選任)
また、後見監督人は原則として被後見人の側に立ち、後見人と対立することがあるため、後見人の身内は後見監督人になれません。
後見人と後見監督人がグルになったら、誰も被後見人を守ってくれませんからね。
後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。
民法 第850条 (後見監督人の欠格事由)
後見監督人の職務は、次のとおりとする。
民法第851条(後見監督人の職務)
1.後見人の事務を監督すること。
2.後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
3.急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
4.後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。
後見監督人の職務は、その他にも後見人が欠けた場合に代わりの後見人を選任するよう家庭裁判所に請求したり(二)、急迫の事情があれば応急処置をとったり(三)、後見人と被後見人で利害が対立する場合には被後見人の立場で対応します(四)。
3.不動産を売却するときの流れはどうなってるの?
さて、成年後見人が居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可や後見監督人の同意が必要な場合があることが分かりました。
それではいよいよ不動産の売却に入りますが、不動産売却の大きな流れを大きく7ステップで紹介したいと思います。
- 家庭裁判所に事前相談する
- 不動産会社に売却の相談をする
- 不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始する
- 買主と売買契約を締結する
- 家庭裁判所に許可の申立をする
- 家庭裁判所の許可が出たら、不動産を引き渡して決済する
- 不動産売却後の確定申告を行う
- 3-1.家庭裁判所に事前相談をする
- 3-2.不動産会社に売却の相談をする
- 3-3.不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始する
- 3-4.買主と売買契約を締結する
- 3-5.家庭裁判所に許可の申立をする
- 3-6.家庭裁判所の許可が出たら、不動産を引き渡して決済する
- 3-7.不動産売却後の確定申告を行う
3-1.家庭裁判所に事前相談をする
不動産の売却に家庭裁判所の許可が必要な場合、いきなり申立をするよりも、売却する不動産についてあらかじめ相談しておくのが望ましいでしょう。
この時点ではまだ契約(買主や売却価格など)について具体的なことが決まっていなくても、家庭裁判所によって異なるルールが運用されることもあるため、今後の手続きをスムーズに進める上でも相談しておくのがおすすめです。
ちなみに、次で紹介する不動産会社への相談と多少前後しても、その後の流れに支障はありません。
3-2.不動産会社に売却の相談をする
たいていの場合は不動産会社に売却の媒介を依頼すると思われますが、不動産会社によって満足な売却ができるかが大きく変わってくるでしょう。
会社の評判や実績をインターネットで調べれば、ある程度は絞り込んでいけます。
また担当者の人柄や熱意なども重要なポイントとなりますから、出来れば対面で相談するのがおすすめです。
対面予約を電話で入れれば、出た者の受け答えから社内の雰囲気(明るいか、忙しそうか)も伝わってきます。
相談に行く不動産会社が決まったら、予約した日時に訪問しましょう。
3-2-1.不動産売却の際にあれば良いもの
当日は手ぶらでも支障はないのですが、可能な限り必要な書類をあらかじめ準備しておくのがおすすめです。
- 所有不動産の物件概要書
- 登記事項証明書、もしくは固定資産税納税通知書
- 間取り図と敷地測量図
これらの書類をきちんと持参することで、物件の売却価格を決める査定がスムーズに進むでしょう。
また、相談の具体性が高まるため不動産会社の担当者もこちらが本気で売却したいと判断して、買い手探しにも熱が入るでしょう。
相談の段階で不動産がいくら位で売却できるかおおむね見えてきますが、可能であれば複数社に相談することで、価格の相場観がつかめてきます。
また不動産会社によって担当者の相性も違いますから、よりよい条件で不動産を売却するためのベストパートナーを探すつもりで臨みましょう。
3-2-1.成年後見人の不動産売却は経験豊富な業者にお任せする
成年後見人としての不動産売却についても、今まで取り扱いが無い会社も多いので、実績があるかどうかも重要なポイントです。
当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングであれば、成年後見人としての不動産売却の実績も豊富で、弁護士や司法書士を紹介させて頂くことも可能です。
成年後見人になられている方、成年後見人になるかもしれない方、被後見人様の不動産売却でお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
3-3.不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始する
こうして不動産会社を決定したら、不動産会社との間で媒介契約を結ぶことになります。
「媒介契約」とは、売主となるあなたと買主の間を不動産会社が媒介する(取り持ってくれる)契約です。
媒介契約では不動産の売却が成立したときに不動産会社へ支払う報酬金額や、宣伝活動の方針などを取り決めます。
この時、売主は自分が売ろうとしている不動産について、把握している限りの事情をまとめて記入します。
これを告知書と呼び、有利なことも不利なこともきちんと伝えておくことでトラブルを予防するのです。
3-3-1.媒介契約には3種類がある
また、媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の三種類があります。
これは後にいくほど条件が厳密となります。
それぞれの条件を表にまとめました。
【一般媒介契約】
・複数社と締結できる(他社にも同時で依頼できる)
・売主が自力で買主を見つけた場合は仲介手数料の支払いが不要
・指定流通機構(レインズ)への登録は任意
・売却活動の報告も任意
【専任媒介契約】
・1社としか締結できない
・売主が自力で買主を見つけた場合は仲介手数料の支払いが不要
・指定流通機構(レインズ)への登録は義務
・売却活動の報告は2週間に1回以上
【専属専任媒介契約】
・1社としか締結できない
・自力で買主を見つけても直接取引できない(自分で見つけても不動産会社に仲介に入ってもらう必要がある)
・事務報告……1週間に1回以上
それぞれの媒介契約にメリット・デメリットがあるので、特性を踏まえつつ、どの契約を結ぶか検討しましょう。
3-3-2.不動産の売却活動を開始する
こうして媒介契約を締結すると、不動産の売却活動が開始されます。
この段階において、売り主としてできることはあまりなく、基本的には不動産会社にお任せです。
物件に興味を持って下さった方々の反響などから、今後どのように売り出すかを検討するくらいでしょうか。
また不動産会社から、買主に対して売却する不動産について案内や説明を求められることもあります。
これは不動産会社に任せてもいいし、物件の魅力を伝えられるなら自ら出ていくのも一つの手でしょう。
ご案内が入ったら、あとは基本的に不動産会社からの連絡を待ちます。
すぐに連絡が来ないこともありますが、何ぶん大きな買い物ですから、向こうも慎重に考えているのだと思って気長に待ちましょう。
そしてこの段階で、不動産の購入を検討している方が現れた場合、値引きをはじめ条件交渉を持ちかけられる場合もあります。
条件には他にも引き渡し時期や費用(これを売主持ちで撤去しておいて)など、お客様によってさまざまです。
どこまで妥協できるか、じっくり検討して臨機応変に対応しましょう。
注意すべきポイントとしては、あまり軽々に妥協してしまうと、せっかく大事にしてきた不動産が安く買い叩かれてしまいかねません。
しっかりと不動産の価値を説明し、理解してもらった上で納得できる方に買ってもらうのが望ましいです。
3-4.買主と停止条件付き売買契約を締結する
こうしてお互いの納得できる条件が固まり、この方に売ろうと決意したら売却活動は終了。
売買契約の締結は目前です。
不動産会社が買主に対して住宅ローンの事前審査と、不動産について最終調査を行い、「特に問題なし」となれば、「裁判所の許可を得たうえで売却する」という停止条件付の売買契約を締結します。
しかし、家庭裁判所によっては許可を得ていない段階での不動産売買契約の締結を禁じているところもありますので、物件所在地を管轄する裁判所に確認するか、依頼している弁護士に確認してもらいましょう。
3-4-1.売却時の必要書類
売買契約は売主と買主、そして媒介する仲介業者が一堂に会して行い、買主側にも仲介業者が入っていれば、その担当者が同席することが多いです。
しかし、売主と買主の都合がどうしてもつかない場合もあります。
そういう時は、手付金の支払い方法やその領収書を受け渡す方法などの重要事項をあらかじめ決めておき、別の日に署名捺印を行うこと(※持ち回り契約)も場合によっては可能です。
売買契約の前に、あらかじめ必要書類を準備しましょう。
不動産の売主が準備すべき書類等はこちらになります。
- 実印、認印
- 身分証明書
- 登記済み権利証
- 印鑑証明書
- 収入印紙
一堂に会して挨拶をすませたら、いよいよ契約に移りましょう。
同席する宅地建物取引士(宅建士)が重要事項説明書(契約するかどうかを判断する上で重要な事柄を説明する書面)を買主に交付して説明し、その内容を理解・納得した上で買主が署名・捺印します。
※重要事項説明書は原則として買主のみに交付すれば足りますが、その内容を確認するために写しを保管しておくといいでしょう。
続いて契約書についても説明を行い、買主と売主が相互に署名・捺印したものを二部作成し、それぞれ一部ずつ保管します。
これで契約事態は完了しますが、他にも身分証明書による本人確認や手付金の受領、契約書に収入印紙を添付する等の手続きがあります。
ちなみに登記済み権利証(登記識別情報通知)は決済に欠かせない書類です。
不動産を取得した時に入手しているはずですが、万が一紛失してしまった場合は司法書士に本人確認情報を作成してもらわねばなりません。
本人確認情報の作成費用(司法書士の報酬)は事務所によって5~10万円ほどかかってしまいます。
手痛い出費となるので、日ごろから大切に保管し、決済までにがんばって探し出しましょう。
3-4-2.停止条件付売買契約であるかを確認
先ほど、さらっと触れてしまいましたが、売買契約書の中に「家庭裁判所の許可が出たら契約が成立する≒許可が出なければ契約は白紙」とする旨の停止条件が入っているか確認しましょう。
特約部分にこのような文章が入っているはずです。
1.売主○○氏は成年被後見人であり、令和○年○月○日に□□氏(あなた)が■■家庭裁判所において成年後見人に選任されているが(別添「成年後見人選任決定書」写し参照)、本件売買物件は売主○○氏の居住のための物件であり、その売却には家庭裁判所の許可が必要であるところ(民法859条の3)、本売買契約は上記許可決定を停止条件として効力を生ずるものとする。
2.令和〇年〇月〇日までに前項の家庭裁判所の許可を取得できない場合には、本売買契約は当然に白紙解除されるものとし、売主は受領済みの手付金を直ちに買主に返還するものとし、その場合、買主は売主に対し何らの金銭的請求、法的請求をなし得ないものとする。
※売買契約書の特約事項に容認事項を同時に記する文例
かみ砕くと
「1.この売買契約は家庭裁判所の許可が得られたら成立します」
「2.もし家庭裁判所の許可が得られなかったら契約は白紙解除され、あなた(売主)はすぐに手付金を返し、相手はあなたに対して損害賠償などを請求しません」という意味です。
3-5.家庭裁判所に許可の申立をする
売買契約を締結したら、この契約内容で許可してくれるよう、家庭裁判所に対して「居住用不動産の処分許可審判」の申立を行います。
申立に際して、家庭裁判所に提出する必要書類はこちらです。
【参考:居住用不動産の処分の許可の申立に必要な書類等】
- 申立書(2枚綴り)
- 収入印紙 800円(申立書の1枚目に貼付)
- 郵便切手 84円(審判書謄本の郵送交付を希望する場合)
- 売却不動産の全部事項証明書
- 不動産売買契約書(買主の氏名・住所を正確に記載)
- 売却する不動産の査定書(不動産会社が作成)
- 居住用不動産の処分理由(必要性について)報告書
- 成年後見監督人の意見書(いる場合)
契約書案をはじめ各書類を審査して、これなら問題ないと家庭裁判所が判断したら許可審判が出るのですが、許可審判が下されるまでには申立から6か月以上かかることも珍しくありません。
普通の買主がそんな悠長に待ってくれることは少ないため、成年後見人が不動産を売却する場合、不動産会社に直接買い取ってもらう事も多くなります。
当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングであれば、成年後見人の不動産売却の経験も豊富で、直接買取も可能です。
3-6.家庭裁判所の許可が出たら、不動産を引き渡して決済する
家庭裁判所から許可が出たら、「居住用不動産処分の許可審判書」が交付されます。
これで停止条件は満たされたので、ようやく不動産の引き渡しと決済に移れます。
不動産の売買契約書に定められた日時に、定められた方法で決済と引き渡しを行いましょう。
買主から売却価格分の金額を受け取るだけでなく、売主に住宅ローンが残っている場合は、融資先の金融機関との間で同時に返済を行う手続きがあるので忘れずに行いましょう。
金融機関に残債の返済と同時に抵当権抹消の手続きを行う必要がありますが、金融機関に連絡すれば、必要な書類を準備してくれるから大丈夫です。
金融機関に対する一括返済費用、不動産会社への仲介手数料、司法書士に対する登記費用を支払ったら決済は完了です。
こうして売主と買主、そして不動産会社と金融機関の担当者が一堂に会して決済を完了させたら、その日の内に現地で不動産が引き渡されます。
3-6-1.引き渡しまでに確定測量を済ませておく
買主へ不動産を引き渡す際に、隣地との境界線を確定する面積を確定させるための確定測量が行われます。
測量は売却する不動産の範囲を決定するために行うもので、費用がかかるため、売買契約の締結後に行うのが妥当でしょう。
ただ、これもURUHOMEを運営する株式会社ドリームプランニングのような買取業者に売却すれば、測量不要で買取可能です。
3-6-2.引き渡し後、家庭裁判所に報告
所有権移転の登記を済ませたら、家庭裁判所へ不動産売却の報告手続きを行なわなければなりません。
下記書類の準備をして、家庭裁判所に報告しましょう。
【家庭裁判所への報告書類】
- 報告書
- 売買契約書の写し
- 登記完了証の写し
- 全部事項証明書の写し
- 売買費用の明細書・領収証(司法書士の報酬など)の写し
- 売却代金が入金された通帳の写し
ここまで終わったら、売却を仲介してくれた不動産会社や、家庭裁判所に申し立てを依頼した弁護士の役目はひとまず完了。
不動産売却に区切りがつきました。
しかし、まだやるべきことは残されています。
3-7.不動産売却後の確定申告を行う
不動産会社への相談から始まり、ようやく不動産が手元を離れました。
これでやれやれと思っていたら、もう一つ大きな仕事が残っているのです。
そう、不動産を売却したら、その譲渡所得または損失について、確定申告を行わねばなりません。
その年の不動産売却で生じた利益または損失は、翌年の2月中旬から3月中旬にかけての約一か月間で確定申告をする必要があります。
この期間は年(1~12月)であって年度(4月~翌3月)でないことにご注意ください。
確定申告を行うことで、利益にかかる税額(譲渡所得税)を節減できる特例制度があります。
また不動産売却で損失が出てしまったという場合でも、損失を減らせる特例制度もあります。
ただし特例の適用には条件があるため、今回の不動産売却が条件を満たしているかについては税務署等に確認しましょう。
確定申告を行うためには、以下の書類を準備する必要があります。
- 住民票(市区役所、町村役場)
- 登記事項証明書(法務局。建物・土地)
- 源泉徴収票(勤務先より。給与所得者)
- 確定申告書(税務署。HPからダウンロード可)
- 計算明細書(税務署。HPからダウンロード可)
- 不動産売買契約書の写し(不動産を売却した証拠)
これらを元に確定申告書と計算明細書を作成し、所轄の税務署で確定申告手続きを行います。
特に不備がなければそのまま終了。
ここまでやりとげて、ようやく今回の不動産売却は完了となります。お疲れさまでした。
4.居住用でない不動産を売却する時の違いはあるの?
後見人が被後見人の不動産を売却する時、必ずしも居住用の物件だけではありません。
田んぼや畑など、居住を目的としない物件の売却を検討することもあるかと思います。
先ほど紹介した民法第859条に規定されている通り、後見人は被後見人の財産について自由に管理・処分できるのが原則です。
居住用不動産とは異なり、居住用ではない不動産の場合、家庭裁判所の許可は不要です。
しかし、法律的に許可が不要とは言え、不動産の売却は大きな影響を及ぼします。
住んでない建物や土地であっても、被相続人や親族にとって思い入れがあるなど、勝手に処分してしまうとトラブルの原因となりかねません。
なので、多くの方は不動産の売却に際してあらかじめ家庭裁判所に相談されています。
居住用の不動産売却に比べてハードルが低い分、より慎重な対応が必要となることもあるでしょう。
5.成年後見人の不動産売却は誰に依頼する?
ここまで読んできて、成年後見人の不動産売却が大変そうだと感じた方は少なくないのではないでしょうか。
それでもやらねばならない時はあるのですが、できることなら誰かに依頼してしまいたいと思われるかも知れません。
まず思いつくのは、法律手続きのプロフェッショナルである弁護士。
今回の不動産売却も、丸ごとお任せ出来たらどれほどいいでしょう。
もし弁護士に被後見人の不動産売却を依頼するのであれば、まずはその弁護士に成年後見人となってもらう必要があります。
そこでここでは、弁護士に成年後見人を依頼する場合のメリット・デメリットをまとめてみましょう。
5-1.弁護士に不動産売却を依頼するメリット・デメリット
【弁護士を成年後見人にするメリット】
➤ メリット1.わずらわしい事務手続きを一任できる
成年後見人になると、家庭用裁判所とのやりとりをはじめ、わずらわしい事務手続きがたくさんあります。
法律的な知識が求められることも少なくありませんし、これらを一任できれば、わずらわしさに頭を悩ませる時間を大幅に削減できるはずです。
➤ メリット2.公正な財産管理や処分が期待できる
親子や兄弟などと違い、親族のしがらみや利害関係にとらわれずに公正な立場で不動産の売却ができるのも、弁護士に成年後見人を依頼する大きなメリットと言えるでしょう。
➤ メリット3.遠方に住んでいても対応してくれる
諸事情によって被後見人と離れた場所に住んでいる場合、きちんと後見するためには必要の都度近くへ行ってあげねばなりません。
それが難しい場合でも、近くの弁護士に依頼すればあなたに代わって被後見人に寄り添ってくれます。
➤ メリット4.合わせて相続についてもサポートしてくれる
被後見人が高齢である場合、遠からず相続の問題が発生するのは避けられません。
そんな時に、いざ相続と慌てて弁護士を探すより、かねて成年後見人として依頼していた弁護士がいれば心強いでしょう。
あらかじめ計画を立てておくことも可能です。
【弁護士を成年後見人にするデメリット】
➤ デメリット1.弁護士費用が発生する
当たり前ですが、他人様に仕事を依頼すればその対価を支払う必要があります。
不動産売却にかかるコストをなるべく抑えたいのであれば、得られるメリットと天秤にかけて十分検討した方がいいでしょう。
不動産売却にともなう弁護士費用については、後ほど詳しく紹介します。
➤ デメリット2.横領などのトラブルリスクも?
公正・公平な弁護士と言っても生身の人間。やはり中には魔が差してしまう方もいるようです
最近では弁護士が被後見人の預金2,100万円を横領してしまった事件が発生しています(2021年9月24日、京都地裁判決)。
被後見人の預金2100万円横領、元弁護士(京都・島根)に実刑判決 京都地裁 9月24日
これはデメリット(確実に起こる不利な条件)と言うよりリスク(不確定要素)であり、すべての弁護士がそうという訳ではありませんから、成年後見人を依頼する弁護士はじっくり吟味して選びましょう。
ここまで弁護士に不動産売却を依頼するメリット・デメリットを紹介してきましたが、弁護士だけではなく司法書士や行政書士にも不動産売却を依頼できます。
5-2.弁護士に不動産売却手続きを依頼する場合の報酬はいくら?
先ほど、弁護士に成年後見人≒不動産売却を依頼するのにコストがかかると言いました。
具体的にはいくらかかるのかを見ていきましょう。
➤ 後見申立費用……総計7,000~10,000円程度(住民票や戸籍の請求など不確定な金額を含む)
※このほか被後見人の診断書(数千円)や、意思能力の鑑定(実施する場合。約5~20万円が相場)が考えられます。
➤ 成年後見人報酬……これは管理する財産の金額によって変わり、管理財産の金額が5,000万円以下の場合は月額3~4万円、5,000万円を超える場合は月額5~6万円が目安となっているようです。
※参考:成年後見人等の報酬額のめやす(平成25年1月1日、東京家庭裁判所 東京家庭裁判所立川支部)
これらの金額に加えて支払う不動産売却時における弁護士報酬を以下にまとめます。
➤ 相談料……5000~10000円/時間が相場(初回無料のところもあり)
➤ 着手金……10~30万円程度が相場(成果にかかわらず支払う)
➤ 報酬………売却で得られた利益の4~16%が相場(もしゼロ円以下なら支払いなし)
その他……実費(交通費や切手代など)、日当(出張手当。3~10万円/日)など
これらの費用を弁護士に支払う必要があるため、あらかじめ用意しておくといいでしょう。
ただしすべてを一度に支払うわけではなく、報酬のように売却の利益確定後に金額が決定するものや、実費のように請求の都度支払うものもあります。
5-3.自分で成年後見人の手続きをする場合
弁護士報酬の金額を見て、これなら自分でやった方がいいと思った方がいるかも知れません。
その場合、基本的には自分が成年後見人となる後見申立費用のみですみます。
また、成年後見人報酬(管理財産5,000万円以下なら3~4万円/月額、5,000万円超なら5~6万円/月額)を受け取る権利も生まれます。
ただし、何もかも自分でやるとなると家庭裁判所とのやりとりなど、かかる労力は決して小さくありません。目先のお金だけでなく、全体の見通しを考えて検討したいところです。
6.成年後見人の不動産売却ならURUHOME
これまで紹介してきたとおり、成年後見人が成年被後見人の不動産を売却するためには、様々な条件や留意点があります。
慣れないことも多いですし、お困りの際には当サイトURUHOMEを運営しているドリームプランニングにご相談くださいませ。
当社は創業より18年、不動産売却のエキスパートとして東京・神奈川県の物件を取り扱ってまいりました。
トラブルが発生してしまう前に入念な打ち合わせはもちろん、トラブルが発生してしまった場合でも問題解決に向けて、お客様に寄り添いながらアドバイスさせていただきます。
また、当社から信頼できる弁護士さんをご紹介させていただく形で問題解決のお手伝いをさせていただくこともございます。
お困りごとや聞いてみたいことなどがございましたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。