住宅を購入したあと、何の問題もなく周辺の道を通ることができるとすっかり思い込んでいたところ、ある日いきなり通行を拒否されるというとんでもないトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
著者も、今でこそ私道や再建築不可など困った不動産の専門家になりましたが、不動産屋になりたての頃に祖父母から相続した「私道持分の無い不動産」でトラブルに巻き込まれたこともありました。
そうならないためにどうすればよいか、私道持分無しなどの買取を専門とする不動産会社社長が解説します。
著者情報
株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人
著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年より日本全国の私道などの特殊な不動産を専門的に買い取ってまいりました。
どんな私道でも買取りさせて頂きますので、お困りの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。
1.私道の良くあるトラブル【通行料、給排水、植木など】
- 1-1.私道トラブル例①「私道を通行させない」と言われる
- 1-2.私道トラブル例②私道の通行料を請求される
- 1-3.私道トラブル例③給排水管の工事が出来ない
- 1-4.私道トラブル例④植木を植えられる
- 1-5.私道トラブル例⑤私道内に駐車される
1-1.私道トラブル①「私道を通行させない」と言われる
良くあるのは、中古住宅を個人から購入後、門前の道を通行していたところ、道の補修が必要になったので行政に相談したところ私人所有の土地であることが発覚。
私道の補修に関しては、行政が介入できないので、話し合いで解決を図るように打診されます。
そして、私道所有者との間で道の補修工事について協議をしたところ、費用負担で折り合いがつかず挙句の果てに「私道通行させない」などと言われる事があります。
私道持分持っていない時や、私道の通行承諾がない場合、このようなトラブルに巻き込まれることが多くなり、注意が必要です。
また、他人地を通行していて、地役権設定(一定の目的のために、他人の土地を利用する権利)がされてない場合なども急に通行できなくなることがあります。
他人地を利用している人が特定多数で無い場合は、いつ「通行させない」と言われてもおかしくない状態のため、特に注意が必要で、すぐにでも地役権設定や通行承諾の取得をすることをお勧めいたします。
1-2.私道トラブル例②私道の通行料を請求される
これも良くあるケースで、持分の無い私道を従前より利用していたところ、私道所有者が変わったことで突然通行料を請求されるというケースです。
2019年10月には、長崎市青山町の住宅団地内の私道の通行を巡り、私道を取得した福岡県の不動産業者が通行料を求めて道路の一部を封鎖する一方、住民側は妨害禁止を求めて提訴する事態が起こりました。
2020年には通行できる代替道路として町内の市道の一部を拡幅するなどして、事態は一時鎮静化されましたが、このような事態が起こりうることを忘れてはなりません。
この教訓としては、自分の土地に至るまでに私道を通行する事がある場合、このように第三者が通行を妨害する事があるという事です。
そうならないように3-3でご紹介するように、第三者が所有する私道を通行する場合は、通行掘削の承諾を取得する事をお勧めします。
1-3.私道トラブル例③給排水管の工事が出来ない
購入した物件が私道に面している場合、私道内から宅地内への給排水管工事は私道所有者の承諾が必要になる事がほとんどです。(不動産が所在する市町村にもよります)
この場合、宅地内までの給排水・ガス管については、既存の古い管を使わなくてはならない事がある為、購入前に私道所有者及び上下水道の私設管所有者から私道掘削の承諾が必要です。
私道の掘削の承諾が無いと、原則的には給排水管の交換が出来ないため、給排水管の老朽化により漏水などが生じてしまっても工事が出来ないというリスクも考えられます。
民法改正によって給排水管などの設置に関して必要な範囲内で他の土地に設置できる(新民法213の2 )ことが明文化されましたが、それでもトラブルになるリスクをはらんでいる事を忘れてはなりません。
1-4.私道トラブル例④植木を植えられる
セットバックが必要な私道で良くあるのは、植木をセットバック部分に植えられるという事です。
基本的にはセットバック部分は道路として公に供するもののため、植木を植えてはいけません。
近隣の方がセットバック部分に植木を植えられたこととにより通行の妨げになる場合、市町村の建築局に言えば所有者に通告してもらう事も出来ることが多いです。(自治体によって異なります)
1-5.私道トラブル例⑤私道内に駐車される
「私道内に駐車される」というのも良くあるトラブルの一つです。
私道に関してはあくまで民事の問題になってしまうため、警察対応が難しく、最終的には当事者間のマナーの問題になってしまいます。
まれに倫理観のない方もいる為、不動産を購入する前に私道に関する協定(私道内に緊急を要する場合以外に車を止めてはいけない)などの覚書を実印、印鑑証明添付を義務付けているような分譲地もあります。
購入する場合は覚書や合意書の有無、細かい決まりを確認することをお勧めいたします。
以上のようなトラブルになってしまった場合、弁護士に相談したり、解決出来ない場合は、現況のままで高値買取可能、当サイト「URUHOME」を運営する「株式会社ドリームプランニング」までこちらからご相談くださいませ。
無料査定サービスも好評で、査定から2日で買取をした実績もあり、お困りの不動産を現金化可能です。
2.私道持分を持っていない場合どうなるの?通行権は無い?
2-1.私道持分を持っていないとある日突然通行できなくなることも
前面道路が私道に接道している不動産を取得して、接道する私道の前面道路を持っていない場合、ある日突然私道の所有者から通行料の請求をされるリスクが無いとは限りません。
このような事態に直面したときは、通行権の有無が問題になります。
2-2.【私道持分無し】通行権に関する過去の裁判の判例
過去の判例などを見てみると、私道の開設時よりずっと私道を利用し続けてきて、私道(主に建築基準法上の2項道路である事がほとんど)を通行する以外に公道に出る方法が無い場合は通行権が認められることが多く思われます。
ただし、今まで私道内で車両を利用していなかったけれども、新たに利用する事となった場合、車両に関しては通行権が否定されるケースはあります。
また、私道が新設された位置指定道路等で私道持分や通行承諾を取得しておらず、他に利用している通路や道路がある場合は通行権が否定されるケースが多いようです。
全部のケースがこのような結論になる、というわけではありませんが、難しい問題を多く抱えるリスクがありますので注意が必要です。
私道が新設された場合は、通路新設後の利用状況(前の所有者が長年通行していた等)により変わる可能性があります。人格権に基づく通行権等,いろいろな理屈がこれまでに使われています。
2-3.私道持分を持っていないと、売却の際に売りづらい
前面道路が私道で私道持分を有していない場合、売却の際に売りづらいという事が良くあります。
その理由としては、私道持分を有していない物件の場合、銀行の見方としてトラブルの可能性を秘めている担保価値の低い物件の為、購入者が住宅ローンを組むのが非常に困難であるというのが挙げられます。
現金で不動産を購入できる人は少数で、かつトラブルになる可能性のある物件をそうでない物件と同じ条件で購入する人は居ない為、周辺相場より安くなってしまう事が多いのが事実です。
3.私道トラブルにならない為にどうすれば良い?【弁護士、専門家の見解】
私道に接する不動産に関しては、色々なトラブルがあり、対策を当社の顧問弁護士にも聞いてみました。
既にご存じの方も多いかと思いますが、今できる対策について解説いたします。
3-1.私道トラブル回避①私道持分を取得する
私道の持ち分が無い時は、私道持分の一部でも私道所有者から取得するようにした方が無難です。
法務局で公図を取得した上で、私道の地番を調べ、私道の謄本から私道所有者を調べましょう。
持分を取得するのは1/100でも良いので、権利者の中から話が出来そうな人に話を持ちかけて、その人の持分のさらに一部を取得する事をお勧めいたします。
私道は所有しているだけでも固定資産税がかかる場合もあるので、価格はタダでも良いという人から、法外な値段を吹っ掛けてくる人まで色々な人が居るので、話が分かる人に話しましょう。(ちなみに著者も私道で1000万円近く通行料を請求されたことがあります)
3-2.私道トラブル回避②私道の通行掘削の承諾書を取得
私道の持分取得と合わせて行った方が良いのは、「私道の通行掘削の承諾」の取得です。
私道内に埋設されている給排水管の保守点検修復の際には、私道及び私設管の掘削承諾が自治体によって必要になります。
また、新たに給排水管を宅内に引き込むとき、私道内の給排水管の維持管理が必要な際には必要になる事が多いため、出来る限り私道持分と合わせて取得するようにしましょう。
また、持分が取得出来ない場合でも、私道の通行掘削の承諾があるだけでも銀行の担保評価も上がるので、出来るだけ取得するようにしましょう。
尚、私道の通行掘削の承諾については、下のような承諾書を利用します。
作成する時は第三者に継承する文言も忘れないようにしましょう!
3-3.私道トラブル回避③合意書、覚書の作成
私道については、持分を持ったり通行承諾を取得することはもちろん大事です。
しかし、位置指定道路や開発道路などの場合においても、私道の利用に関する合意書を印鑑証明付きで所有者全員と交わすのが一番安全です。
これは売主が宅建業者の場合、売主の方で売買の際に合意書の署名捺印が必須になることもありますが、昔の分譲地などの場合、決まりがあいまいなことも多くトラブルに発展することもあります。
そうならないためには、普段から近隣住民の方々と良好な関係を築き、町内会の班などを通じてルールを明確化しておく必要があります。
4.私道トラブルで困ったら
私道に接する不動産は色々とトラブルが多いことが分かってきました。
しかし、私道トラブルで困っても相談する人が居なくて困りませんか?
URUHOMEを運営するドリームプランニングは買取会社の為、買取がメインとなるのですが、買取ではなくまず一旦相談したいという方も多くいらっしゃると思います。
そこで、私道トラブルで困ったとき、売却するときにどのようにすればよいかご説明いたします。
4-1.私道トラブルのある不動産を売却するにはURUHOME
私道トラブルのある不動産については解決方法が複雑なことを説明してまいりました。
そこで、いっそのこと売却したいという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時は当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングで買取をさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。
ドリームプランニングでは、私道トラブルのある不動産を積極的にお買取りさせていただいており、即査定、最短2日で買取させて頂いた事例もあります。
また、買取が難しい場合でも、一般のお客様へ売却するお手伝いもさせて頂いておりますので、お気軽にご連絡ください。
4-2.私道トラブルのある不動産の相談ならウチカツ
私道トラブルのある不動産売却については、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングにご相談いただければお買取り可能でございます。
しかし、「売却は直ぐではないけど、将来的に売却を考えている」「取り合えず売却でなく相談をしてみたい」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合は「不動産SNSウチカツ」を利用してみてはいかがでしょう?
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