借地や底地を所有していて、「借地非訟」ってよく聞くけど何?
どんな時に裁判でなく、借地非訟になるの?

借地非訟になるのは6つの場合に限られます。そこで今回、2005年創業の底地買取業者の現役不動産社長が借地非訟について詳しく解説いたします。

著者情報

借地非訟とは何か?「裁判と違うの?」with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、2005年の創業より、日本全国の底地・借地などの特殊な不動産の買取を行ってまいりました。

1億円程度であれば、現金決済可能で、東京、神奈川、千葉、埼玉、京都、大阪、兵庫、愛知は特に多く買取実績がございます。
売却でお悩みの不動産がございましたら、こちらからお気軽にご相談くださいませ。

  1. 借地非訟って何?裁判と違うの?
  2. 借地非訟で取り扱う事が出来る事件は?
  3. トラブルのある底地・借地の売却はURUHOME

1.借地非訟って何?裁判と違うの?

借地非訟は、借地借家法17条から21条の規定されている借地の問題を調整し、当事者に代わり裁判所が許可を与える手続きです。

旧借地法が適用される平成4年7月31日以前の契約に関しても適用され、扱える事件は下記に紹介する6種類のみとなっております。

つまり、その6種類以外の借地の争い(建物買取請求権など)については裁判で争う形になります。

1-1.借地非訟とはナニ?

建物所有目的の土地の賃貸借契約において、条件変更などを行うときには地主の許可が必要になります。

ところが、地主は何らかの理由でその許可を出してくれないとき、解決策となるのが借地非訟という制度です。

裁判所が通常の手続きでなく、簡易な手続きで賃借人に変わり地代や承諾を決定する為、借地非訟事件は決定という簡略な形式の裁判により行い、それに対する不服申し立ては抗告という形で行われます。

借地非訟というのは、裁判所に申し立てをして主張が認められたら、裁判所が地主の承諾に変わる許可を出せる制度です。

借地非訟とは

1-2.借地非訟で取り扱う事件は6種類

では、どのようなときに利用できる制度なのかというと、借地非訟は以下の6種類に分類できます。

それぞれどんな事件かは、後程ご説明いたします。

  • 借地条件変更(条件変更事件)
  • 増改築許可申立事件(増改築事件)
  • 更新後の建物再築許可申立事件(再築許可申立事件)
  • 土地の賃借権譲渡(譲渡事件)
  • 競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可申し立て(公競売事件)
  • 土地賃貸借権譲受申立(介入権事件)

1-3.借地非訟の手続きについて

借地非訟は下記の手順で進行し、おおよそ1年以内に終わります

  • 借地権者(申立人)が,民事第22部に申立書を提出する。
  • 裁判所が,第1回審問期日を定めるとともに申立書を土地所有者(相手方)に郵送する。
  • 裁判所は,第1回審問期日を開き,当事者(申立人及び相手方)から陳述を聴く(必要に応じて第2回,第3回と期日を重ねる。)。
  • 裁判所が,鑑定委員会に,許可の可否,承諾料額,賃料額,建物及び借地権価格等について意見を求める。
  • 鑑定委員会が,現地の状況を調査する(当事者も立ち会う。)。
  • 鑑定委員会が,裁判所に意見書を提出し,裁判所は意見書を当事者に送付する。
  • 裁判所が,鑑定委員会の意見について,当事者から意見を聴くための最終審問期日を開き,審理を終了する。
  • 裁判所が,決定書を作成し,当事者に送付する。
 借地非訟の詳しい手続きについてはこちらから
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2.借地非訟で取り扱う事の出来る事件は?

2-1.借地条件変更(条件変更事件)

借地条件変更申立は、契約の内容を変更したくても地主の許可が出ない場合に申し立てる事件です。(借地借家法17条1項)

借地契約には、下記のようなに条件を付加していることが多く、これらを変更する場合は借地条件変更といい、本来は地主と借地人の間で合意をする必要があります。

  • 建物の種類(居宅・店舗・共同住宅など)
  • 建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)
  • 建物の規模(床面積・階数・高さなど)
  • 建物の用途(自己使用・賃貸用・事業用など)

例えばこれまで居住用だった建物で、ビジネスをしたいから事業用に用途を変更したい、木造だけしか認められていないけどコンクリート造に変えたいといったことが変更する条件にあたります。

そこで借地権の設定をしたときは周辺の建物は木造が主流だったけど、今は防火性や耐震性の高いコンクリート造がほとんどになっているといった事情が認められたら、条件の変更は相当だと認められることがあります。(借地借家法第17条1項による許可)

建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

引用:借地借家法第17条1項 – Wikibooks
借地条件変更(条件変更事件)、借地非訟

2-2.増改築許可申立事件(増改築事件)

増改築許可申立事件は、契約に増改築に関する取り決めが盛り込まれており、工事をする前に地主の許可がほしいけど認めてくれない場合に行われます。

裁判所は、土地の通常の利用をするときに、その増改築工事が必要であると認めれば、相当の理由があるとして工事の許可を出します。(借地借家法第17条2項による許可)

増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

引用:借地借家法第17条2項 – Wikibooks
増改築許可申立事件(増改築事件)、借地非訟

2-3. 建物再築許可申立事件(再築許可事件)

借地契約の更新後に、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造するとき、土地所有者の承諾を得る必要があります。

しかしこれを地主が認めない場合、借地人は、更新後の建物再築許可の申立てをして、裁判所が認めれば、土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。(借地借家法18条1項)

※なお、再築許可の申立ては、平成4年8月1日以降に設定された借地権についてのみ適用されます。

契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

引用: 借地借家法18条
建物再築許可申立事件(再築許可事件)
 借地上の建物の建て替え、承諾料などについて解説

2-4.土地の賃借権譲渡(譲渡事件)

借地権を第三者に譲渡したり転貸するときに、地主の許可が得られない場合に行われる借地非訟です。

譲渡や転貸によって地主が不利益を被ることがなければ、その行為に問題はないとして裁判所は許可を出します。(借地借家法19条1項による許可)

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

引用:借地借家法第19条 – Wikibooks
土地の賃借権譲渡(譲渡事件)、借地非訟

2-5.競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可(公競売事件)

競売又は公売で借地上の建物を買い受けた人は、土地の賃借権の譲受けについて土地所有者の承諾を得る必要がありますが(民法612条)、土地所有者の承諾を得られないことがあります。

借地上の建物を買い受けた人は,競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可の申立てをして、裁判所が相当と認めれば、土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。

この申立ては、建物の代金を支払った後2か月以内にしなければならないのでご注意ください。(借地借家法第20条1項による許可)

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

引用:借地借家法第20条1項
競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可(公競売事件)、借地非訟

2-6.土地賃借権譲受申立(介入権事件)

最後の土地賃借権譲受許可申立は、「土地の賃借権譲渡(譲渡事件)」や「競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可(公競売事件)」の事件が起こった際、地主が優先的に土地賃借権と借地上の建物を優先的に購入できる権利(介入権と呼ばれるもの)です。

これは、裁判所が定めた期間内に地主が介入権申し立てを行うと、原則として地主が優先して裁判所が定めた価格で借地権及び、借地上の建物の買い取りができます。(借地借家法第19条3項、20条2項)

第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

引用:借地借家法第19条3項
土地賃借権譲受申立(介入権事件)、借地非訟

借地人さんと地主さんでどうしても諸条件が整わなかった場合、借地非訟にせざるを得ないこともあります。

一度借地非訟になると時間がかかるうえ、第三者に売却する時に問題のある土地として価格が下がってしまう事もあります。

トラブルになる前に売却を検討したり、専門業者に相談する事をお勧めいたします。

3.トラブルのある底地・借地の売却はURUHOME

上記にご紹介した借地非訟事件で取り扱うような底地や借地のトラブルは、地主と借地人で立場が違うため話し合いだけでは進まないこともあります。

そのようなときには、当サイトURUHOMEを運営しているドリームプランニングにご相談くださいませ。

当社は2005年の創業より、底地の買取専門業者として東京、神奈川の底地の買取りをしてまいりました。

トラブル発生直前の底地・借地の買取りのご相談を受けることもあり、特に底地であれば基本的にどんな場所でも買取させていただいております。

また、実際にトラブルが発生してしまっている場合は、弁護士法第72条により、当社では交渉事に当たらず、弁護士さんをご紹介させて頂くなどして、問題解決のお手伝いをさせていただくこともあります。
お困りごとなどがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

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