借地, 賃貸借契約

借地非訟とは何か?「よく聞くけど知らない」

借地非訟とは何か?


借地非訟について【「増改築許可申立事件」「土地の賃借権譲渡」「借地条件変更」「競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可申立」「土地賃貸借権譲受申立」】の5種類があります

借地を所有していて、借地非訟って借地非訟ってよく聞くけど、借地非訟って何?

どんな時に裁判でなく、借地非訟が出来るの?裁判との違いはナニ?

借地非訟で扱う事件や、手続きについて解説致します。

著者情報

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高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、フリーカメラマンを経て、某中堅不動産仲介業者で7年勤務、成績優秀者賞等を受賞、月間最高売り上げ1800万円。退社後、株式会社ドリームプランニングに入社、底地、借地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

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1.借地非訟って何?裁判と違うの?

1-1.借地非訟とはナニ?

建物所有目的の土地の賃貸借契約において、条件変更などを行うときには地主の許可が必要になります。ところが、地主は何らかの理由でその許可を出してくれないとき、解決策となるのが借地非訟という制度です。

借地非訟というのは、裁判所に申し立てをして主張が認められたら、裁判所が地主の承諾に変わる許可を出せる制度です。

裁判所が通常の手続きでなく、簡易な手続きで賃借人に変わり地代や承諾を決定する為、借地非訟事件は決定という簡略な形式の裁判により行い、それに対する不服申し立ては抗告という形で行われます。

1-2.借地非訟で取り扱う事件は5種類

では、どのようなときに利用できる制度なのかというと、借地非訟は以下の5種類に分類できます。それぞれどんな事件かは、後程ご説明いたします。

  • 増改築許可申立事件(増改築事件)
  • 土地の賃借権譲渡(譲渡事件)
  • 借地条件変更(条件変更事件)
  • 競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可申し立て(公競売事件)
  • 土地賃貸借権譲受申立(介入権事件)

1-3.借地非訟の手続きについて

借地非訟は下記の手順で進行し、おおよそ1年以内に終わります

  1. 借地権者(申立人)が,民事第22部に申立書を提出する。
  2. 裁判所が,第1回審問期日を定めるとともに申立書を土地所有者(相手方)に郵送する。
  3. 裁判所は,第1回審問期日を開き,当事者(申立人及び相手方)から陳述を聴く(必要に応じて第2回,第3回と期日を重ねる。)。
  4. 裁判所が,鑑定委員会に,許可の可否,承諾料額,賃料額,建物及び借地権価格等について意見を求める。
  5. 鑑定委員会が,現地の状況を調査する(当事者も立ち会う。)。
  6. 鑑定委員会が,裁判所に意見書を提出し,裁判所は意見書を当事者に送付する。
  7. 裁判所が,鑑定委員会の意見について,当事者から意見を聴くための最終審問期日を開き,審理を終了する。
  8. 裁判所が,決定書を作成し,当事者に送付する。

2.借地非訟で取り扱う事の出来る事件は?

2-1.増改築許可申立事件(増改築事件)

増改築許可申立事件は、契約に増改築に関する取り決めが盛り込まれており、工事をする前に地主の許可がほしいけど認めてくれない場合に行われます。

裁判所は、土地の通常の利用をするときに、その増改築工事が必要であると認めれば、相当の理由があるとして工事の許可を出します。(借地借家法第17条2項による許可)

増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

引用:借地借家法第17条2項 – Wikibooks

2-2.土地の賃借権譲渡(譲渡事件)

これは借地権を第三者に譲渡したり転貸するときに、地主の許可が得られない場合に行われる借地非訟です。

譲渡や転貸によって地主が不利益を被ることがなければ、その行為に問題はないとして裁判所は許可を出します。(借地借家法19条1項による許可)

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

引用:借地借家法第19条 – Wikibooks

2-3.借地条件変更(条件変更事件)

借地条件変更申立は、契約の内容を変更したくても地主の許可がでない場合です。

例えばこれまで居住用だった建物で、ビジネスをしたいから事業用に用途を変更したい、木造だけしか認められていないけどコンクリート造に変えたいといったことが変更する条件にあたります。

そこで借地権の設定をしたときは周辺の建物は木造が主流だったけど、今は防火性や耐震性の高いコンクリート造がほとんどになっているといった事情が認められたら、条件の変更は相当だと認められることがあります。(借地借家法第17条1項による許可)

建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

引用:借地借家法第17条2項 – Wikibooks

2-4.競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可(公競売事件)

競売又は公売で借地上の建物を買い受けた人は、土地の賃借権の譲受けについて土地所有者の承諾を得る必要がありますが(民法612条)、土地所有者の承諾を得られないことがあります。

借地上の建物を買い受けた人は,競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。この申立ては,建物の代金を支払った後2か月以内にしなければならないので,ご注意ください。(借地借家法第20条1項による許可)

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。

引用:借地借家法第20条1項

2-5.土地賃借権譲受申立(介入権事件)

最後の土地賃借権譲受許可申立は、上記2「土地の賃借権譲渡(譲渡事件)」や4「競売、公売に伴う土地賃借権譲受許可(公競売事件)」の事件が起こった際、地主が優先的に土地賃借権と借地上の建物を優先的に購入できる権利(介入権と呼ばれるもの)です。

これは、裁判所が定めた期間内に地主が介入権申し立てを行うと、原則として地主が優先して裁判所が定めた価格で借地権及び、借地上の建物の買い取りができます。(借地借家法第19条3項、20条2項)

借地借家法第19条 – Wikibooks

第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

引用:借地借家法第19条1項

借地人さんと地主さんでどうしても諸条件が整わなかった場合、借地非訟にせざるを得ないこともあります。一度借地非訟になると時間がかかるうえ、第三者に売却する時に問題のある土地として価格が下がってしまう事もあります。ですので、トラブルになる前に専門業者に相談する事をお勧めいたします。

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(10)件のコメント

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