自身の所有している再建築不可物件の売却相場がどのくらいになるのか、気になる方は多いと思います。

しかし一口に再建築不可物件の売却相場と言っても、その種類(再建築不可物件の理由)によって売却相場は大きく変わってくるものです。

そこで今回は再建築不可物件の売却相場について、再建築不可物件の種類別に分かりやすく解説。
再建築不可物件の売却相場は個別的要因で大きく変わってくるため、再建築不可物件を売却する参考程度にしていただければ幸いです。

【この記事は、こんな方に向けて書きました】

著者情報

再建築不可物件の売却相場は?【種類によって売却相場は大きく変わる】with image|URUHOME

株式会社ドリームプランニング 代表取締役 高橋 樹人

法政大学工学部建築学科卒、中堅不動産仲介業者を経て、株式会社ドリームプランニングに入社。底地、再建築不可、市街化調整区域内の土地など、特殊な土地の売買を多く手掛ける。2020年8月より代表取締役に就任

著者が経営する「株式会社ドリームプランニング」は、日本全国の再建築不可物件や底地・借地などの特殊な不動産を専門的に買い取るため、多数の相談を頂いてまいりました。

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▲ 再建築不可物件の売却相場と、再建築不可物件を高く売る方法などをまとめています。
  1. 再建築不可物件とは ?売却相場が安い理由は
  2. 【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号(但し書き)道路の売却相場
  3. 【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準と個別提案基準の売却相場
  4. 【再建築不可物件の売却相場】法外道路の売却相場
  5. 【再建築不可物件の売却相場】袋地の売却相場は?
  6. 【再建築不可物件の売却相場】市街化調整区域の売却相場
  7. 再建築不可物件の売却相場を知りたいならURUHOMEへご相談を

1.再建築不可物件とは?売却相場が安い理由は

再建築不可物件の売却相場について解説する前に、そもそも再建築不可物件とは何か、なぜ再建築不可物件は売却相場が安くなるのか、ピンと来ない方もいるかも知れません。

そこでまずは再建築不可物件についてざっくり解説。再建築不可物件の売却相場を知る上での予備知識としてお含みおきください。

再建築不可物件とは

「いやいや再建築不可物件については分かってる。早く売却相場を知りたい」という方は「2.再建築不可物件の売却相場」まで読み進めて下さい。

▲再建築不可物件とは何か?そのメリット・デメリットを徹底解説しています。

1-1.『敷地の間口が2m以上ない』ので再建築不可物件

再建築不可物件とは、読んで字のごとく「再建築(建て替え・改築)が不可能な物件」を言います。

なぜ再建築できないのかと言えば、再建築不可物件は建築基準法(第43条第1項)に抵触しているからです。

建築基準法
(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
一 自動車のみの交通の用に供する道路
二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内の道路

※参考:建築基準法|e-Gov法令検索

意訳すると「建物の敷地は『道路』に2m以上接していなければならない」逆に「2m以上『道路』と接していない土地に、建物を建ててはならない=再建築不可物件」と言えるでしょう。

ただし建築基準法によって規制される以前から建っていた建物については、見逃されている≒現状維持を黙認されています。

しかし今後はこの基準を満たさなければ、建て替えが認められません。だから再建築不可物件となっており、売却相場も安いのです。

1-2.『接している道路が建築基準法道路でない』ので再建築不可物件

では、道路に2m以上接していれば必ず再建築が可能なのかと言えば、そうでないケースもあります。

接している道路が「建築基準法上の道路でない」場合、どれだけ広く接道していても再建築不可物件として、建物の再建築はできません。

あくまで「建築基準法上の道路に2m以上接している」のが、再建築が可能な条件となるのです。この条件を「接道義務」と言い、不動産取引の実務でよく出てくるので覚えておくといいでしょう。

▲ 再建築不可物件と接道義務の関係を分かりやすく解説しています。

1-3.【再建築不可物件の予備知識】建築基準法上の道路とは

建築基準法上の道路とは、果たしてどのように定義されているのでしょうか。具体的には第42条に書いてあります。

建築基準法 第42条 第1項 【クリックで全文表示】

(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
一 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路
二 都市計画法、土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)、旧住宅地造成事業に関する法律(昭和三十九年法律第百六十号)、都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)、新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)又は密集市街地整備法(第六章に限る。以下この項において同じ。)による道路
三 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
四 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
※第2項以下略

※参考:建築基準法|e-Gov法令検索

非常にややこしい条文なので、ごくざっくり解説しましょう。道路には1号から5号まで5種類あり、このようになっています。

建築基準法第42条第1項
第1号道路:いわゆる公道(道路法)
第2号道路:区画整理・宅地開発でできた道路(区画整理法・都市計画法)
第3号道路:建築基準法施行(1950年11月23日)前からあった道路
第4号道路:都市計画事業などで2年以内に築造予定の道路(特定行政庁が指定)
第5号道路:いわゆる位置指定道路(土地造成で新たに作られた道路)

※参考:2-2 道路とはどのような道のことですか? 江戸川区ホームページ

これらの道路に2m以上の間口で接道できているかどうかが、再建築の可否つまり売却相場に影響するのです。

1-4.【再建築不可物件の予備知識】幅員4m未満の「みなし道路(2項道路)」も道路

基本的に、建築基準法の定める道路は4m以上の幅員が原則となります。

ただしこれには例外もあり、建築基準法が施行された1950年11月23日時点で既に建物が立ち並び、公衆が自由に利用できた道路については幅員4m未満であっても建築基準法上の道路と見なされるのです。

これを文字通り「みなし道路」と呼び、建築基準法第42条第2項に規定されているため「2項道路」とも呼ばれます。

建築基準法 第42条 第2項 【クリックで全文表示】

2 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。

※参考:建築基準法|e-Gov法令検索

この「みなし道路」に2m以上の接道がある場合でも、その敷地で建物の再建築が可能です。

ただし、道路というものは将来的に4m以上の幅員を目指さねばなりませんから、再建築に際してセットバック(※)が必要なので注意しましょう。

(※)敷地を後退させ、道路として提供すること。基本的に道路の中心から2mまでの範囲が対象となります。

2.【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号(但し書き)道路の売却相場

43条第2項2号(但し書き)

さて、接道義務を満たしていないため再建築できない再建築不可物件ですが、まだ諦めるのは早いかも知れません。

実は再建築不可物件の救済措置として、建築基準法第43条2項2号の規定が適用されるケースがあります。いわゆる「但し書き道路」です。

建築基準法
第43条第2項第2号
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

※参考:建築基準法|e-Gov法令検索
▲ 再建築不可物件の抜け道?43条2項道路とは何か?解説しています。

これは周囲に広い空き地があるなどの理由から、特定行政庁が建物を建て替えても交通上・安全上・防火上・衛生上もろもろ支障ないと認めた道路に面している敷地については、再建築不可物件でも建て替えが許可されることになります。

再建築不可物件の救済措置である但し書き道路については、大きく路線型と専用型の2パターンがあり、それぞれの売却相場を見ていきましょう。

43条2項2号(但し書き)道路の売却相場

2-1.【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号の路線型の売却相場

43条2項2号の路線型(の道)とは、建築基準法の道路に接しておらず、接道義務を満たしていないけど再建築が認められる特例です。

間口は2m以上接しているけど、その道路が建築基準法の道路でないパターン等が挙げられます。

2-1-1.【予備知識】誓約書とは

建築基準法第43条2項2号の許可を受けるに当たって、誓約書の提出を求められることがあります。

その内容は自治体によって若干異なるものの、敷地の周囲に十分な広さの空き地を確保することや、道路の維持管理に努めることなどが書かれているので確認しましょう。

誓約書は自分だけでなく、再建築不可物件に関係する地権者全員からとれるに越したことはありません。

※参考:建築基準法第43条第2項第2号許可(様式集)/佐世保市役所

2-1-2.【再建築不可物件の売却相場】路線型で誓約書があって再建築可能な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】誓約書があって再建築可能な場合の売却相場 

こうして地権者全員から43条2項2号の許可に関する誓約書をもらい、再建築が可能となった土地の売却相場は、元から再建築可能な類似物件と比べておよそ9割と言ったところでしょう。

ただ、この誓約書は基本的に私道所有者全員から取得せねばならないので、かなり手間がかかります。

2-1-3.【再建築不可物件の売却相場】路線型で誓約書の取得不可な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】誓約書の取得が出来ず再建築不可な場合の売却相場 5~7

一方で、地権者から誓約書をとることが出来なかった再建築不可物件については、売却相場がおよそ5~7割まで下落してしまいます。

のちのちトラブルが起こりかねない火種を抱えている再建築不可物件ですから、それが織り込まれて再建築不可物件の売却相場が下がってしまうのは仕方ないところです。

2-2.【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号の専用型である場合の売却相場

43条2項2号の専用型(の通路)とは、接している道路が建築基準法の道路か否かに関係なく、間口が2m未満の場合に適用されるものです。

自治体によって再建築可能を認める特例基準があり、後ほど紹介する包括同意基準と個別提案基準に分かれます。

ちなみに、この専用型の通路幅の規定は自治体によって異なり、間口1.5mでも建て替え出来るところもあれば、自治体によっては2m以上無いと絶対ダメという所もあります。

取り合えず再建築不可物件の売却相場を査定してみたいと言う方は、URUHOMEを運営するドリームプランニングまでお気軽にご連絡ください。

2-2-1.【再建築不可物件の売却相場】専用型で43条2項2号により建て替え可能である場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号により建て替え可能な場合の売却相場 5~7

この専用型の通路に該当する再建築不可物件については、43条2項2号によって建て替えが可能であれば、売却相場は通常の5~7割となるでしょう。

路線型の道に比べて、売却相場で不利なことが分かりますね。

というのも、43条2項2号の専用型の場合、間口が2m以下で車両が入らないため、通常に比べて売却相場が安くなってしますのです。

また、路線型による43条2項2号の許可に比べて、銀行の担保評価も厳しめに見られる傾向があります。

2-2-2.【再建築不可物件の売却相場】専用型で43条2項2号による建て替え不可である場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】43条2項2号による建て替え不可な場合の売却相場 4~5

一方、43条2項2号の適用がされず、建て替え出来ない再建築不可物件の売却相場は、市場価格の4~5割といったところです。

間口が2m無い事で車が入らない上に、完全な再建築不可物件のため、一般的な銀行でのローンを組むことが出来なくなります。

再建築不可物件を購入する方は基本的に現金か、金利が高いノンバンクを利用しなければならないため、周辺相場に比べて売却相場が安くなってしまうのです。

何とかして再建築不可物件を建て替えできるようにしたいですが、そのハードルは高いかも知れません。

3.【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準と個別提案基準

再建築不可物件の救済措置である43条2項2号の許可基準は自治体によってことなります。

ここでは43条2項2号の許可基準である包括同意基準と個別提案基準について解説しましょう。

包括同意基準と個別提案基準
▲ 43条2項2号の許可について詳しくこちらで解説しております。

3-1.【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準の場合

3-1-1.【再建築不可物件の予備知識】包括同意基準とは

43条2項2号の許可基準は再建築不可物件によってケースバイケースとなるのですが、すべてを一件ずつ審査していたら、とても許可が追いつきません。

そこであらかじめ「この基準を満たしている再建築不可物件については、43条2項2号の許可を出します」という最低限のハードルを建築審査会で定めておけば、再建築不可物件の許可手続きもスムーズに進むでしょう。

これが包括同意基準です。建築審査会によっては一括同意基準と呼ぶこともあります。

3-1-1.【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準で再建築可能な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準で再建築可能な場合の売却相場 5~9

包括同意基準は基本的に再建築不可物件の救済措置なので、再建築不可物件の売却相場は通常の5~9割程度になります。

包括同意基準➤43条2項2号の路線型or専用型なので、路線型なら売却相場は9割、専用型は間口が狭くなるので売却相場は5~7割程度になります。

3-2.【再建築不可物件の売却相場】個別提案基準の場合

3-1-1.【再建築不可物件の予備知識】個別提案基準とは

一方、自治体によっては包括同意基準に該当しない再建築不可物件であっても、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めたものについては個別に建築審査会で審査されるケースもあるのです。

ただ、包括同意基準に適合しないもので、個別に建築審査会に審査してもらいたい再建築不可物件を全て審査するわけにはいきません。

なぜなら、建築審査会が開催されるのは1ヶ月に1回程度、委員も弁護士や建築士、大学教授など、他の仕事もしている人たちなので、1ヶ月に1回に一つ一つの案件を審査していられないのです。

その為、事前に建築審査会で審査する為の最低限の基準を設けていて、その基準を満たす再建築不可物件だけを審査する方法を取っている自治体もあります。

この基準を「個別提案基準」といいますが、個別提案基準を作っている自治体は少なく、あまり利用する機会は少ないと言えます。

3-2-2.【再建築不可物件の売却相場】個別提案基準で再建築可能な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】包括同意基準で再建築可能な場合の売却相場 4~6

個別提案基準は、再建築不可物件を救済する裏技中の裏技で、銀行の融資を受ける事がかなり難しくなります。

銀行評価としては、再建築不可物件と同じ扱いなので、購入者が現金購入者に限定されることになり、金額が安くなってしまうのです。

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4.【再建築不可物件の売却相場】法外道路の売却相場は?

建築基準法外道路に接道

さて、間口は2m以上あるけれど、前面道路が法外道路の場合は再建築不可物件として売却相場が安くなってしまいます。

そんな再建築不可物件の売却相場はどのくらいなのでしょうか。また再建築不可物件の予備知識として、法外道路についても解説しておきましょう。

建築基準法外道路、暗渠

4-1.【再建築不可物件の予備知識】法外道路とは?

法外道路とは、建築基準法で認定されていない道路のこと。ここまで建築基準法上の道路か、そうでないかと言及してきましたが、建築基準法上の道路ではない道路を指します。

実務的には自治体や不動産会社によって「法定外道路」「認定外道路」「基準外道路」などと呼ばれることもあるものの、これらはすべて同じです。

かつて里道(りどう)や農道、水路だった通り道が未整備のまま現代に至っているものが多く、都市開発や防災面において課題となっています。

43条2項2号の路線型(但し書き道路)も法外道路に該当しますが、過去に一度でも但し書き道路として許可や認定を受けていれば43条2項2号の路線型(但し書き道路)の扱いになり、一度も許可を受けていない場合は法外道路となります。

4-2.【再建築不可物件の売却相場】法外道路だけど43条2項2号により建て替え可な場合の売却相場

➤➤43条2項2号により建て替え可能な場合の売却相場 

そんな法定外道路に面している物件ですが、43条2項2号の許可が出て建て替えが可能であれば、売却相場はおよそ7割といったところでしょう。

43条2項2号の道路に接する不動産より安くなるのは、過去に一度も許可を受けていない法外道路を43条2項2号の道路として許可を受けるには難易度が非常に高く、地権者全員の印鑑証明付き誓約書を取得しなければならないためです。

基本的には法外道路の場合、再建築不可物件と同じ扱いになるため、売却相場も安くなる傾向があります。

4-3.【再建築不可物件の売却相場】法外道路で43条2項2号の許可も得られない再建築不可物件の売却相場

➤➤43条2項2号の許可が得られない再建築不可物件の売却相場 3~5

一方で、法外道路で43条2項2号の許可が得られなければ、そのまま再建築不可物件として売却することになります。

しかも過去に一度も許可を得たことが無い再建築不可物件だと、再建築可能にする難易度が非常に高く、一度43条2項2号の許可を得たことがある再建築不可物件より売却相場は安くなってしまいます。

その場合、再建築不可物件の売却相場は市場価格のおよそ3~5割。それでも売れればまだいい方ですが……。

5.【再建築不可物件の売却相場】袋地の売却相場は?

囲繞地

他人の土地に囲まれて、まったく接道がとれない。そんな袋地(ふくろち)となっている再建築不可物件の売却相場はどれくらいになるのでしょうか。

ここでは再建築不可物件の基礎知識も含めて解説していきます。

取り合えず囲繞地の売却相場を知りたい方は➤5-2まで読み進めて下さい。

袋地,再建築不可物件

5-1.【再建築不可物件の予備知識】袋地と囲繞地(いにょうち)とは?

袋地とは、先ほど紹介した通り、他人の土地に囲まれて道路に出られない土地を言います。

これに対して、袋地を取り囲んでいる土地のことを囲繞地(いにょうち)と言いますが、繞って難しい漢字ですね。大抵は「囲にょう地」などと書かれているでしょう。

そのままだと一歩も外に出られない袋地。当然再建築不可物件ですがご安心ください。袋地の所有者には囲繞地通行権という権利が民法(第210条~第213条)で定められています。

5-1-1.囲繞地通行権は最低限認められるが、建築基準法の敷地と認められるかは別

民法 第210条~第213条 【クリックで全文表示】

第二百十条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 略
第二百十一条 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2 略
第二百十二条 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
第二百十三条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2 略

※参考:民法|e-Gov法令検索

長いので、かいつまんで解説するとこんな具合です。

第210条 袋地の所有者には、公道に出るための囲繞地通行権が認められます。
第211条 通る土地の所有者になるべく迷惑がかからないように通りなさい。
第212条 囲繞地通行権を行使する者は、相手に通行料を支払いなさい。
第213条 土地の分割で袋地が生じた場合、通行料は支払い不要です。
(ただし分割前の土地を通る場合に限る)

▲ 私道の通行料について、まとめたページがこちら

囲繞地通行権を行使して公道に出るための間口が確保されたら、これで接道義務が満たせて再建築可能に……はなりません。

囲繞地通行権はあくまで「通行する権利」であって、あなたの土地になった訳ではないのです。

接道義務を満たすためには、建築基準法上の道路に通じるための間口を、囲繞地通行権とは別に確保する必要があります。

この確保とは土地を購入するだけでなく、借りてもOK。その後のトラブルはともかく、接道義務のハードルはちょっと下がるかも知れませんね。

5-2.【再建築不可物件の売却相場】袋地などで他人の土地を借りて再建築可能な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】他人の土地を借りて再建築可能な場合の売却相場 

さて、他人の土地を借りて接道義務を満たせたとしましょう。それで再建築が可能になった場合の売却相場はどのくらいでしょうか。こちらは市場価格のおよそ5割。かなり渋くなります。

土地を購入して完全な所有権を確保できた場合と違い、地主しだいで状況が大きく変わるため、そのリスクが売却相場に織り込まれてしまうからです。

金融機関も他人の土地を借りて再建築できる物件は再建築不可物件とみなし、基本的には融資をしません。

そのため、再建築できる物件と比べて売却相場は半分位になってしまうのです。

5-3.【再建築不可物件の売却相場】袋地などで他人の土地を借りても再建築不可な場合の売却相場

➤➤【再建築不可物件の売却相場】他人の土地を借りても再建築不可な場合の売却相場 

それでも他人の土地を借りて再建築できるならいい方で、他人の土地を借りても再建築不可物件だった場合、再建築不可物件の売却相場は市場の3割程度になります。

袋地で他人の土地も借りられないとなると、いくら民法で保護されていると言っても、いつ通行が出来なくなるか分かりません。

そうしたリスクの高さから、再建築不可物件の売却相場は周辺相場の3割程度になってしまうのです。これは涙を呑むしかないでしょう。

6.【再建築不可物件の売却相場】市街化調整区域の売却相場は?

市街化調整区域の農地等

都市計画法第7条によって定められた区域区分のうち、最も厳しい規制がかかるため売却が難しい市街化調整区域(第7条第3項)。

都市計画法 第7条
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

※参考:都市計画法|e-Gov法令検索

なるべく市街化=開発したくないからこそ、行政当局は規制をかけているのですが、それでは市街化調整区域&再建築不可物件の売却相場はどのくらいでしょうか。

市街化調整区域の売却相場
▲市街化調整区域について、徹底的に分かりやすく解説!

6-1.【市街化調整区域の売却相場】既存宅地の売却相場 8~9割

➤➤【市街化調整区域の売却相場】既存宅地の売却相場 8~9

既存宅地とは、文字通り宅地として既に使われてきた土地のこと。市街化調整区域であっても、例外的に家を建てる・再建築などが認められやすい傾向にあります。

家を建てられるなら、その売却相場もおよそ8~9割と高め。納得の価格で売却できるかも知れません。

再建築不可物件と言えるか微妙な所ですが、既存宅地制度は色々な自治体で廃止されてきており、不動産の担保評価としては不安定なものになります。

そもそもスマートシティだ、都市機能を集約化だと叫ばれている昨今で、行政にとって市街化調整区域の為にインフラを維持するのはかなりの負担なのです。

多少売却相場がお安くなってしまったとしても、再建築不可物件を早く売った方が得と言えるでしょう。

6-2.【市街化調整区域の売却相場】農地転用可能な場合の売却相場 3~5割

➤➤【市街化調整区域の売却相場】転用可能な農地などの売却相場 3~5

農地は基本的に農家の方しか所有・売買できませんが、他の土地として転用(農地転用)ができれば、市場相場のおよそ3~5割で売れる可能性が見えてきます。

市街化調整区域で家が建てられなくても、農地転用が出来れば資材置き場や太陽光発電用地として利用する事も可能です。

場所にも寄りますが、幹線道路沿いなどで広い土地であれば、転用後建物を建てられる可能性もあり、市街化区域と同じくらいの価格で売却できることもあります。

※農地の転用には、農地法で定める許可が必要です。

6-2-1.転用可能な農地とは

とは言え、すべての農地が何でも転用可能なわけではありません。

農地には5種類の農地区分があり、農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地となっています。

【農地区分と農地転用の可能性】
農用地区域内農地(農用地農地):原則として転用不許可
甲種農地:原則として転用不許可
第1種農地:公共性の高い事業に供する場合は許可される可能性も
第2種農地:周辺の農地が転用できない場合に許可される可能性も
第3種農地:原則として転用可能

基本的に個人レベル(家を建てるなどの理由)で転用可能なのは第3種農地のみと思っておけばいいでしょう。

6-3.【市街化調整区域の売却相場】転用不可の農地などの売却相場 1割

➤➤【市街化調整区域の売却相場】転用不可の農地などの売却相場 

農地の転用は難しく、転用できても売却相場は市場の3~5割。となると、転用できない農地の売却相場はもっと下がってしまいます。

農地転用できない農地の売却相場は、おおむね市場の1割ほど。

ずいぶんと買い叩かれてしまいますが、持て余すよりは手放した方がいいと割り切った方がいいかも知れませんね。

7.再建築不可物件の売却相場を知るならURUHOME

以上、再建築不可物件の売却相場について、種類別に解説してきました。

売却相場と言っても、「なぜ再建築不可なのか」「再建築可能になる事はあるのか」など、状況によりまちまちで、必ずしもこうという事は言い切れません。

もし再建築不可物件の売却を検討されているor売却相場を知りたいのであれば、当サイトURUHOMEを運営するドリームプランニングまでご相談くださいませ。

当社は2005年の創業以来、神奈川・東京を中心に日本全国で数多くの再建築不可物件を買取りしてまいりました。今回も、お客様の役に立てるかと思います。

再建築不可物件の買取査定は完全無料。最短のケースでは、ご連絡いただいてから2時間で査定完了、2日で売却できた事例もございました。

持て余している再建築不可物件のスピード売却&現金化をご希望でしたら、ぜひ一度ドリームプランニングへご相談くださいませ。

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